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第7回北海道大学−ソウル大学ジョイント・シンポジウム開催

 第7回北海道大学−ソウル大学ジョイント・シンポジウムが7月8日,9日の2日間に渡り,本学を会場として開催されました。
 本学とソウル大学は,1997年に大学間交流協定を締結し,これを記念して1998年に第1回合同シンポジウムを札幌で開催して以来,毎年交互に開催校となって合同シンポジウムを開催しており,今回で7回目となりました。
 今回のシンポジウムでは,今年4月,日本の国立大学が国立大学法人へ移行したことを機に,韓国の国立大学でも関心の高い「国立大学の法人化」に関して講演,情報交換を行うとともに,分科会では昨年に引き続き,本学において実施中の「21世紀COEプログラム」10課題と韓国で世界的水準の大学院の育成,優秀な地方大学の育成や学術研究基盤の整備等を目的として1999年に開始され,本年2回目の中間評価を迎えようとしている「頭脳韓国21」(Brain Korea 21)プログラムのうちソウル大学において実施中の13課題の中から双方に共通する分野並びに今後共同研究の可能性の高い分野など8テーマを取り上げ,これまでの研究成果等についてそれぞれ発表が行われました。
 第1日目,学術交流会館で行われた全体会では,中村総長のあいさつに続いて,CHUNG Un-Chanソウル大総長の「21世紀における高等教育の課題:ソウル大学の場合」と題する基調講演,中村副学長による「国立大学の法人化」と題する特別講演が行われるとともに,午後からは,「変革期にある大学の課題に関する情報交換セッション」と題する大学経営に関する情報交換会が行われ,法人化や入試の状況など,両校が抱える課題についての講演がなされ,参加者からは積極的な質問がなされました。
 また,第1日目午後からと第2日目は,各分野ごとに会場を分かれて分科会が行われ,共通する分野での専門的研究内容等の発表が行われました。8テーマもの異なる分科会が一斉に行われることは今回が初めてであり,ソウル大学との交流は,本学の海外大学との大学間交流の中でも最も活発な交流のひとつであることをうかがわせました。
 本学からは全体会,分科会合わせて延べ350名余りが参加し,ソウル大学からは,CHUNG Un-Chan総長,LHO Kyongsoo国際交流担当副学長をはじめとする5名の副学長,大学院学生等を含む過去最高となる総勢50名以上が参加したほか,日本の文部科学省にあたる韓国教育部からPARK Chun-ran改革課長が参加しました。
 7回目を迎え,交流の量・質ともに充実したこのシンポジウムにより,これまで以上に両校の教育・研究交流の幅が広がり,大学間の協力関係がますます発展することが期待されます。
全体会後の記念集合写真
全体会後の記念集合写真
(学術国際部国際企画課)

第7回 北海道大学−ソウル大学ジョイント・シンポジウム日程
New Paradigm in Management and Research Collaboration at National Universities: Pursuing Excellence in Changing Environment
(国立大学における経営と研究協力の新展開−環境変化への高度な対応に向けて)

全体会 平成16年7月8日(木) (於:学術交流会館)
挨 拶 中 村 睦 男  北海道大学総長
基調講演 “The Challenges of Higher Education in the Twenty-First Century:The Case of Seoul National University”(21世紀における高等教育の課題:ソウル大学の場合)
CHUNG Un-Chan  ソウル大学総長
特別講演 “What is Corporatization of Japanese National University?“(国立大学の法人化について)
中 村 研 一  北海道大学副学長
「変革期にある大学の課題」に関する情報交換セッション(於:学術交流会館)
 Wan・Jin KIM ソウル大学アドミッションオフィス長
 常 本 照 樹 北海道大学大学院法学研究科教授
 佐々木 隆 生 北海道大学大学院経済学研究科教授
 齊 藤 秀 昭 北海道大学理事・事務局長

分科会 平成16年7月8日(木)〜9日(金) (於:各研究科等)

 ○知識メディアを基盤とする次世代ITのための量子ナノエレクトロニクス
  (北大グループ代表:量子集積エレクトロニクスセンター 教授 長谷川英機)

 ○人獣共通感染症と獣医学の最近の進歩
  (北大グループ代表:大学院獣医学研究科 教授 高島郁夫)

 ○システム情報科学とサイバーフィールド情報学の新しい地平
  (北大グループ代表:大学院情報科学研究科 教授 金子俊一)

 ○第2回北大−ソウル大学校数学シンポジウム
  (北大グループ代表:大学院理学研究科 教授 小澤 徹)

 ○組み込み機器に関する合同ワークショップ
  (北大グループ代表:大学院情報科学研究科 教授 山本 強)

 ○環境科学
  (北大グループ代表:大学院地球環境科学研究科 教授 池田元美)

 ○衛星を用いたシベリア森林火災検知
  (北大グループ代表:北ユーラシア・北太平洋地域研究センター 教授 福田正己)

 ○ロシア帝政史・ソ連史研究の交差点:ロシア,韓国,日本の歴史家の対話
  (北大グループ代表:スラブ研究センター 教授 家田 修)


分 科 会 報 告

○分科会『知識メディアを基盤とする次世代ITのための量子ナノエレクトロニクス』
 量子集積エレクトロニクス研究センター
  助教授 佐 藤 威 友

 本分科会は,北海道大学21世紀COEプログラム「知識メディアを基盤とする次世代ITの研究」,北海道大学量子集積エレクトロニクス研究センター,およびソウル大学ナノシステム研究所(NSI)の共催のもと,7月8日(木),9日(金)の2日間にわたり,大学院情報科学研究科11階会議室にて開催されました。ソウル大学からは,今年の春に設立されたナノシステム研究所のPark. Young June 所長他,4名の教員が参加し,5件の口頭発表がなされました。北海道大学からは,分科会議長の長谷川英機教授をはじめ,本COEプログラムの量子ナノエレクトロニクスに関連する研究グループから,5件の口頭発表と,若手教員,COE研究員および大学院生(RA)による22件のポスター発表がなされました。会議参加者は,2日間で60名近くにのぼり,半導体材料,磁性体材料,高分子材料を対象とした量子ナノエレクトロニクスに関する最新の研究発表と,活発な議論がなされました。
 特に,大学院生を含む若手研究者にとっては,ポスター発表での活発な討論や,有益なサジェッションを受けるなど,将来の研究活動に非常に有意義な分科会になったと思われます。また,ソウル大と北大の双方から,次回のジョイント・シンポジウムへの参画を希望する声があがり,本分科会を機に,共同研究や交流がますます発展するものと期待されます。

分科会風景:発表に聞き入る参加者たち
分科会風景:発表に聞き入る参加者たち


○分科会『人獣共通感染症と獣医学の最近の進歩』
 獣医学研究科 講師 奥 村 正 裕

 7月8日及び9日の2日間本学で開催された第7回北海道大学−ソウル大学ジョイント・シンポジウムの分科会として,7月8日午後2時から午後5時半まで,大学院獣医学研究科附属動物病院講義室において『人獣共通感染症と獣医学の最近の進歩』に関するシンポジウムが企画・開催されました。本分科会は,本研究科が主体となって取り組んでいる21世紀COEプログラム『人獣共通感染症制圧のための研究開発』の内容を中心とした両大学の鳥類疾病学,生化学および生理学の専門家をシンポジストとして迎えて最新の話題を提供していただきました。
 本研究科副研究科長の梅村孝司教授によるWelcoming Addressおよびソウル大学獣医学部長Mun-Han Lee教授のOpening Remarksにより開始されたセッションでは,本研究科小沼 操教授および高島郁夫教授の座長のもと,6演題が発表され,活発な質疑応答がなされました。特に,両国において問題となっている”鳥インフルエンザ”については長時間の有意義な意見交換が行われました。
 本分科会には,本研究科副研究科長およびソウル大学獣医学部長をはじめ,本学およびソウル大関係者合わせて71名の参加があり,その多くが若手の研究員,大学院生および学部学生でした。質疑の中心も研究科の中堅以下の教員・若手研究者によってなされ,時間が足りずに,座長が時間の配分に窮する場面も多々みられました。数多くの若手研究者・学生の自発的な参加が得られ,これを機会に将来の相互交流の充実が非常に期待される分科会となりました。
 分科会翌日7月9日には,本研究科主催のレセプションを開催し,本研究科長喜田 宏教授を中心にソウル大学獣医学部より来学された4名の教授を迎え,双方の今後の交流について意見の交換を行いました。


○分科会『システム情報科学とサイバーフィールド情報学の新しい地平』
 情報科学研究科 教授 金 子 俊 一

 7月8日14時から17時半に亘って,この春新設となった情報科学研究科棟5階中会議室において,上記の題目を掲げて,サテライトセッション(C)を開催しました。ソウル大学より4件,システム情報科学専攻の4研究室より4件,計8件の講演を中心に,日韓のシステム情報科学の現状について意見を交換しました。更に,本専攻内の共同研究プロジェクトである「サイバーフィールド情報学」プロジェクトに関する日本側の提案,現状報告を行い,韓国側からそれに対する意見をいただきました。日韓両国から40名の参加者が活発に議論に参加しました。
 以下講演内容の要約です。Moon Seung-Ill 教授より,Power Quality Monitoring Systemとその制御のためのGUIを中心として研究内容の紹介がありました。北裕幸助教授より,高信頼・知的配電システム FRIENDS について研究講演がありました。この2件の研究内容は,将来様々なシステムが自律化・分散化・普遍化する場合の安定電力供給の問題に対する有効なアプローチと考えられます。Cho Dong-Il 教授より,微細システムを支える基本技術としてのMEMS技術について講演がありました。小野里雅彦教授より,「サイバーフィールド情報学」の概念とそれを構成する要素技術,特にVMS(Virtual Manufacturing System)について紹介されました。後半では,Kim Seung-Jo 教授より,VDDについて研究発表があり,特にその実現にとって不可欠となるグリッド高速計算技術の紹介がありました。五十嵐一教授より,プロセスプラズマの数値解析に関する発表がありました。以上4件のシステム化技術の統合に関する必要性などについて議論がありました。続いて,Koh Hyun-Moo 教授より,MEMSと無線通信技術を融合した橋梁(きょうりょう)構造の実時間動的観測システムの紹介があり,木村圭司助教授より,森林観測におけるGIS技術の利用に関して研究講演がありました。この2件はサイバーフィールド情報学の重要性の再認識を促しました。


○分科会『第2回北大−ソウル大学校数学シンポジウム』
 理学研究科 助教授 大 本   亨

 当数学教室(COE「特異性から見た非線形構造の数学」)は昨年度に引き続いて本年度もジョイント・シンポジウムに参加し,ソウル大学校数学教室(BK21)との合同セッションを開催しました。昨年度はテーマを固定せず多様な数学系分野からの参加が新鮮であったのに対して,今回はテーマを「非線形解析」にしぼってみました。集会は3つのパラレルセッション−偏微分方程式(座長が利根川・福泉両氏)・逆問題(中村玄氏)・数値解析学(飯間氏)−に分かれて開催する形を採りました。9日の朝9時から夕刻5時半まで合計で24講演(各セッションで8講演,半数がポスドク・院生枠)という過密な内容でしたが,参加者の大変活発な研究討議が行われました。8日午後等の空いた時間においても個人毎に数学交流が行われた様子ですし,ソウル側の参加者からは短期間ながら有意義な会議であったと感想を頂いています。私共も同感です。
 特に半数以上の参加者が有能な学生達であることは「大学」間交流の観点においても多いに意味ある事だと考えます。今後の詰めるべき課題は多々あるとは予想されますが,両数学教室間の協力関係が一層発展していくことを期し,形骸化を忌み実を採るべく両教室の数学シンポジウムが回を重ねていくことを希望します。

福泉氏の講演風景
福泉氏の講演風景


○分科会『組み込み機器に関する合同ワークショップ』
 情報科学研究科 助教授 土 橋 宜 典

 去る7月9日に第7回北海道大学−ソウル大学ジョイント・シンポジウムの一環として,大学院情報科学研究科とソウル大学School of Electrical and Computer Engineeringの研究グループによる組み込み機器に関する合同ワークショップが開催されました。この会議では,大学院情報科学研究科を中心に研究を行っている文部科学省知的クラスター創成事業「札幌ITカロッツェリア構想」(代表者:メディアネットワーク専攻・山本強教授)および21世紀COEプログラム「知識メディアを基盤とする次世代ITの研究」(代表者:コンピュータサイエンス専攻・田中譲教授)とソウル大学School of Electrical and Computer Engineeringの関連研究グループによるディスカッションが行われました。
 組み込み機器はこれからのユビキタス情報技術社会を支えるための重要な基盤技術の一つです。本ワークショップでは,組み込み機器の次世代開発システムやCAD/コンピュータグラフィックスの技術を利用したプロトタイプシステムなどの組み込み機器開発システムに関するセッション,ユビキタスコンピュータや低電力システムの設計など応用技術に関するセッションといった組み込み機器に直接関連したセッションに加え,グラフィカルユーザインターフェースやリアルタイムオペレーティングシステムなど次世代情報処理技術のためのセッションを設けました。そして,本学ならびにソウル大学の教官各5名ずつによる講演を行い,お互いの研究成果について活発な議論が行われました。
 今回の分科会は,30名程度の参加者となり,やや小規模となりましたが,かえって積極的なディスカッションが行われました。特に,大学院生を含む若手研究者にとっては,日本国内に留まるのではなく,広く世界に目を向けた交流が実現できたという点で,非常に有意義な分科会になったと考えています。


○分科会『環境科学』
 地球環境科学研究科 助教授 豊 田 和 弘

 環境科学の分科会は学術交流会館第一会議室にて7月9日朝9時から開催されました。これまで本研究科とは5年間も交流が続いているソウル大学の大学院環境科学研究科から教官3名の参加を得ました。21世紀COE計画「生態地球圏システム劇変の予測と回避」に参加している大学院地球環境科学研究科と低温科学研究所,及び密接な研究をしている北方生物圏フィールド科学センターなどから20数名の参加があり,活発な質疑応答がありました。
 21世紀COE計画の拠点リーダーである池田研究科長からの歓迎スピーチに始まり,以下のような題目の講演がありました。「本研究科の21世紀COE計画の初期進捗状況」(池田元美教授),「特に山域の韓国庭園に関連した景観設計における水理環境技術」(SUNG Jong-San 教授),「北海道大学森林圏ステーションにおける現在の取り組みと将来戦略〜広域・長期生態学研究〜」(柴田英昭助教授),「海洋短波レーダーを用いた宗谷暖流の観測」(江淵直人教授ら)「ハードウエアインザループシミュレーションを活用した輸送機関からの排ガス制御システムの試作品」(LEE Young-Ihn 助教授),「カーボンナノチューブの機能部位による環境修復」(古月文志助教授)。最後にソウル大学のHWANG Keewon 研究科長による閉会の辞があり,その後懇親会にて親睦を深めました。

講演者に質問している池田元美研究科長(左から2番目)とHWANG Keewon 研究科長(左端)ら参加者
講演者に質問している池田元美研究科長(左から2番目)とHWANG Keewon 研究科長(左端)ら参加者


○分科会『衛星を用いたシベリア森林火災検知』
 北ユーラシア・北太平洋地域研究センター
  教授 福 田 正 己

 分科会は7月9日(金)9:30―16:30に北ユーラシア・北太平洋地域研究センター会議室で開催されました。北大側8名,ソウル大学側5名が参加しました。この分科会は現在北大・ソウル大学・アラスカ大学で共同実施中のプロジェクト(Boreal Forest Fire Control Initiative)の一環として,開催されました。シベリア・アラスカで多発する森林火災を抑制するために,衛星データによる森林火災早期検出のアルゴリズムの開発を目的としています。北大で受信したNOAA AVHRR衛星データとソウル大学・アラスカ大学で受信したMODIS TERRA衛星データによる火災検知と,航空機からの火災検知報告とを比較し,検出の能力の向上を目指しています。分科会では北大側が担当しているアラスカで検知した火災事例と衛星検出結果の比較,及びソウル大学側で構築しているシベリア地域対象のMODIS TERRAデータセットについての報告があり,進行中の共同観測結果について具体的な解析比較等を討論しました。北大とソウル大学との間でMODIS衛星データを交換するためのプロトコルについても検討を加えました。その後センターの情報解析研究室で,北ユーラシアセンターが保有するNOAA受信装置や大容量データ収録装置を実際に運用しながら,ソウル大学側に説明を加えました。
 来年度以降も共同研究を継続するために,日本学術振興会とKOSEFの双方に二国間(日韓)共同研究課題を申請することとし,申請書作成に必要とされる情報交換を行いました。今後は共同観測終了後,解析と成果取りまとめのために11月に合同ワークショップをソウル大学あるいは北大で開催することを決めました。
 分科会では進行中の国際共同観測の中間報告がなされ,技術的な問題解決を図ることが出来た。ソウル大学側からは若手の研究者と大学院生が参加し,熱心な討議がなされました。


○分科会『ロシア帝政史・ソ連史研究の交差点:ロシア,韓国,日本の歴史家の対話』
 スラブ研究センター 教授 松 里 公 孝

 7月9日,9時30分より12時45分まで,スラブ研究センター423号室において,北海道大学・ソウル大学ジョイント・シンポジウムの分科会「ロシア帝政史・ソ連史研究の交差点:ロシア,韓国,日本の歴史家の対話」が開かれました。帝政期については,サンクトペテルブルク歴史学研究所のイーゴリ・ルコヤノフ氏が「19世紀末から20世紀初頭にかけてのロシアの対韓政策」について報告し,ソウル大学のHAHN Jeong-Sook 氏がコメントしました。ソ連期については,ソウル大学のKIM Namsub 氏が「1920年代末から30年代初頭にかけてのレニングラード冶金工業労働者の労働条件の変化:改善か悪化か?」という題で報告し,東京大学の池田嘉郎氏がコメントしました。分科会にはのべ50名が参加し,米国の歴史家も活発に発言しました。
 スラブ研究センターは,昨年より韓国のロシア,ユーラシア学会との関係を深め,韓国で開催されている様々な国際学会に代表を送っています。今回の韓国からの招聘も,その文脈で行われたものです。もともと欧米や旧社会主義諸国との緊密な協力のもと発展してきた日本のスラブ・ユーラシア研究は,アジア諸国との交流によっていっそう豊かになるでしょう。

分科会の様子:スラブ研究センター
分科会の様子:スラブ研究センター

第7回北海道大学−ソウル大学ジョイント・シンポジウムを終えて
シンポジウム実行委員長・国際交流担当役員補佐  
国際広報メディア研究科 教授 小早川   護

 北海道大学とソウル大学とのジョイント・シンポジウムは本年で第7回目を迎えました。両学交互の開催で,今回は北大での開催です。ソウル大学は韓国最大の総合大学で,約1,400人の教官の下,学部生22,000人,大学院生8,000人の計3万人が在学する,韓国で圧倒的な地位を誇っています。第5回までは,一つのテーマについて両校から各々10名程度の教官が参加して行う形でした。昨年,両大学トップの「シニアだけの交流でなく,今後を担う若手研究者にも早い時期から国際的交流の舞台に触れさせ,グローバルな視野で研究展開を考える人材を幅広く育成する機会としよう」との意向から形を変え,北大から総勢66名が訪韓しました。今年は,ソウル大学から教員と学生計約60名が北大を訪れました。
 今回はテーマを「New Paradigm in Management and Research Collaboration at National Universities−Pursuing Excellence in Changing Environment」としました。大学の経営において,日本では国立大学の法人移行,韓国でも法人化が議論されています。また,両大学において背景は若干異なるものの,国内の大学間競争が激化しており,さらに,アジアに留まらない国際化が重要な課題となるなど,さまざまな環境変化の渦中にあります。研究面でも,世界的水準の高い研究成果に向けて,国,大学,専門等,様々な境界を越えての協同が展開されています。こうした中で新たな大学の経営と研究協力のあり方を探ろうとするものです。
 シンポジウム初日午前の全体会では,中村総長の歓迎開会あいさつのあと,基調講演としてソウル大学のCHUNG 総長が「The Challenges Facing Higher Education in the Twenty-First Century: The Case of Seoul National University」と題して講演しました。この中で,韓国の大学教育が量的拡大から質的高度化の時代へと変化する中で,教育システム,入試,教育スタッフの変革と国際化への挑戦を課題としてあげ,おのおのについてのソウル大学での対応を紹介しました。続いて,本学の中村副学長が「What is Corporatization of National Universities?」と題して,法人化の動き,対応と課題について特別講演を行いました。第1日の午後,そして第2日にわたり,大学マネジメントに関する情報交換会と8つの研究テーマでの分科会が,会場を移して行われた。全体会には100人,分科会および大学経営に関する情報交換会には総計350名が参加しました。

左から,門田学術国際部長,小早川教授,中村副学長,中村総長,CHUNG総長,PARK副学長,LHO副学長,本間情報科学研究科長
左から,門田学術国際部長,小早川教授,中村副学長,中村総長,CHUNG総長,PARK副学長,LHO副学長,本間情報科学研究科長
 各分科会報告に詳細が報告されていますが,8つの分科会の中で6つは,日本のCOEそして韓国のBK21(Brain Korea21)の中で相互に関連性のあるものが取り上げられました。その他の分科会も含め,活発な討議や情報交換が展開され,若手も含め大いなる刺激を受けたようです。大学経営に関する情報交換会では,韓国からの入試の変化を中心とする大学経営変化,北大からは高等教育政策と法人化,計画・評価,入試に関連しての講演を交え,幅広い情報交換が行われました。これまで現場レベルで共同研究や情報交換が行われている領域が多かったのですが,こうした合同シンポジウムという機会が,より親密な交流,あるいは,新たな関係を始める契機として機能しているのではないでしょうか。
 こうした高い成果には,全体会そして分科会そのものの他に,様々な形で用意された情報交換の場が機能したことも忘れてはなりません。ソウル大からの参加メンバーの大勢が到着した,シンポジウム開催前夜の中村総長主催によるレセプション・シンポジウム初日のソウル大学CHUNG 総長主催による昼食会,同日夜の,サッポロビール園での研究スタッフ,事務スタッフがそれぞれのテーブルを囲んだ情報交換会。お互いの研究者が二日間という短い時間を出来る限り活かそうとしました。こうした触れ合いから,大方の分科会から継続的な関係を持つ意思が表明されています。
 ソウル大とのシンポジウムは,工学部における学部間交流に端を発した大学間交流協定が更に発展したもので,現在35の大学と交わしている大学間交流のモデルともなりつつあります。このように先端研究の将来を託される多くの若手研究者も交えるという形でのシンポジウムの実現をさまざまな形で支えて頂いた,北大そしてソウル大事務当局の皆様にも心より謝意を表します。
 さらに,第1回目の合同シンポジウム以来,本学大学院情報科学研究科長 本間利久教授,ソウル大学研究担当副学長 PARK Jong-Keun 教授が専門における研究交流はもとより,両校の継続的な交流基盤形成にご尽力されてこられたことを申し添え,改めて敬意を表します。
歓迎レセプションであいさつをする中村総長 全体会風景
歓迎レセプションであいさつをする中村総長 全体会風景
大学経営に関する情報交換会の様子
大学経営に関する情報交換会の様子

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