北大キャンパス・マスタープラン96

●特別記事



 北海道大学の広大なキャンパスは、原生林を一部残す自然環境に恵まれると同時に、札幌市の中心部に位置しています。これは北大にとって大きな資産といえます。このようなキャンパスをどう活かしていくかは、21世紀に向けての大きな課題です。
 一方、学問の高度化にともなって、いろいろな施設を作っていかなければならない今日、全体を見通した計画が必要になっています。それが「キャンパス・マスタープラン96」です。

マスタープランは大学のビジョン
 マスタープランは、北大固有の自然と歴史を考慮し、既成の枠組みを越えて描いた、新たな大学のビジョンです。1992年度、学部の枠にとらわれないで「既存のキャンパスをいったん更地にして考える」という前提からスタートしました。その後、教育研究および農場の将来構想との調整を図りながら、1996年度に完成しました。このような経緯から、マスタープランは21世紀の新しい学問的枠組みに対応するために、大学全体で教育研究環境を整備し、市民や同窓生も知的刺激を受けられる場としてキャンパスを使うための青写真ともいえます。
 その骨子をまとめると、つぎの三つの理念に集約されます。@地域社会と結びついた大学を創り、A安全でゆとりのある研究教育環境を整え、B歴史と自然環境を継承、発展させること。これらの理念に基づき、北大は現在、新たな研究教育の場としての南・中央・北アカデミック・ゾーンと、大学の交流拠点と生活の舞台としての三つのユニバーシティ・センターを主軸に、自然生態系と研究教育活動が共生できるエコ・キャンパスを形成し、機能的で安全な人間的環境を再編していこうとしています。それと同時に、北大の財産である歴史的資産や緑と自然を活かし、都市の共有空間のひとつとして、学術・教育・文化などの交流の場となり発展していくことも目指しています。

ここが変わった北大のキャンパス
 このような考え方のもと、すでに北大キャンパスにはさまざまな変化が生まれています。
 札幌キャンパス内では、大野池周辺が整備され、サクシュコトニ川が、原生林の水脈を活かし一部再生されました。
 北18条道路では、アンダーパス工事が進行中で、2001年度中に完成の予定です。完成すれば、交通渋滞の緩和と地上の遺跡の保存が両立し、一体化したキャンパスが実現します。
 理学部本館には「総合博物館」が設置され、改修整備を進めながら、北大所蔵の学術標本・資料の一部展示・公開が始まっています。第一期の展示「北の大地が大洋と出会うところ〈アイランド・アーク〉の地球科学」では、入館者が一万人を突破しました。
 また、全学共通教育の企画や生涯教育の研究のために設置された「高等教育機能開発総合センター」の南側には、放送大学との合同施設「総合メディア交流棟」が今年度末に完成予定で、大学開放を総合的に推進していくことになります。

マスタープランは進化する
 長期的展望を持ったマスタープランは、30年以上のスパンのなかで位置づけられ、実現されていくべきものです。大学キャンパス全体の骨格を示したものが「大きなマスタープラン」だとすると、その実現のためには、5〜10年単位の具体的な「小さなマスタープラン」が必要になります。そして、大学の構成員はもちろん、市民も同窓生も参加して「小さなマスタープラン」を作り実現していけば、その積み重ねが「大きなマスタープラン」を成長、発展させ、21世紀の北大キャンパスを造っていくことになるのです。

二十一世紀に向けて
 ところで、マスタープランの成否の鍵は、北大がどのような研究ビジョンを描くかにあるといっていいでしょう。21世紀の学問のあり方を大学自身が考え、変えていくことが求められている今、自らのビジョンを持って自己を変えていくことなしには、新しい21世紀のキャンパスもありえないからです。
 現在そのようなビジョンのひとつとして「研究ビレッヂ」構想があります。北アカデミック・ゾーンに、北大が全国の基幹総合大学のひとつとして研究活動を活性化していくための研究所・研究センターを集中的に配置し、そこに産学官共同研究や国際研究交流のための施設を設け、研究の利便を図ろうとするものです。現在すでに、先端科学技術共同研究センターが稼働し、活躍を始めています。
 農科大学から出発した創設・黎明期、国立総合大学となって発展した拡張期を経て21世紀を目前にした今、大学は新たな展開期に入りました。これからも北大は歴史の重みを感じつつ、新しい時代の開かれた大学として発展を続けていくはずです。

 この特別記事を書くにあたっては、キャンパス・マスタープラン96の作成に関わった、工学研究科・小林英嗣教授、文学部・土屋博教授、、北キャンパスの在り方に関する構想ワーキンググループ座長・冨田房男副学長に取材しました。
(編集部大田加代子)



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