低温科学研究所
附属流氷研究施設 |
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| (紋別市南が丘町6-4-10) |
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流氷レーダー |
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流氷観測レーダー |
北海道オホーツク海沿岸のほぼ中央に位置する紋別市に、北海道大学低温科学研究所附属流氷研施設がある。オホーツク海沿岸域の海洋学、流
氷に関する総合的研究を目的とする臨海実験観測施設として1965年に設立された。施設開設と同時に、世界で初めて流氷観測を主眼とする流氷レーダーの建設が始まった。枝幸、紋別、網走の山頂に各々1基のレーダーアンテナが設置され、1969年の流氷期から3基のレーダーによる観測が開始された。北海道オホーツク海沿岸域約60qの範囲の流氷の分布や動きを昼夜別なく観測できる体制が整った。レーダー開設後の数年間は、レーダー情報と現場の氷状との対応や沿岸域の流氷の動きの実態調査などに研究の主力が注がれ、山頂のレーダー室に泊まり込みでの観測が続けられた時期もあった。その後レーダー・データ処理のためのコンピューターが導入され、また画像認識技術も進歩して、現在ではかなり自動処理出来るようになった。現在まで30年余の観測資料が蓄積され、流氷量の長期変動が議論されるようになった。温暖化の影響か沿岸域の流氷量は減少傾向を示している。地球規模の温暖化の影響なのかどうか、まだまだ研究は続いている。人工衛星からの情報は広域の流氷分布を提供するが、短い時間間隔での流氷の動きはわからない。特に沿岸の氷縁域での流氷の動きは早いし、複雑である。まだまだレーダーに頼らざるを得ない状況である。毎日観測される流氷分布は流氷情報センター(第一管区海上保安本部)に送られ、氷海域での安全航行のための貴重な情報として位置付けられている。流氷レーダーは学術研究のみならず、地域に密着した存在であり、まさにオホーツク海沿岸域でのユニークさを物語っている。沿岸域では、定着氷という比較的安定して動きのない氷海域もあれば、絶えず動いて流されている流氷域もある。氷が薄く、不安定な氷海での現場作業は危険であり、安定したプラットフォーム、砕氷船が必要である。海上保安庁の砕氷艦の協力で沿岸氷海域で安心して観測調査が出来る。また、流氷観光用の砕
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流氷観光船ガリンコ号 |
氷船”ガリンコ号“はこのような氷海域での現場観測にも役立つ。紋別市には、この砕氷観光船の他にも、北海道立流氷科学センターやオホーツク・タワーという氷海を水中から展望出来る塔があり、流氷の研究を初めとして、学習や啓蒙、観光として市の活性化を図ろうとしている。さらに、流氷の最盛期の2月上旬には毎年「北方圏国際シンポジウム:オホーツク海と流氷」が開催され、前浜の流氷野を眺めながら熱い討論が繰り広げられる。毎年流氷分布の変動を楽しみに遥か南国からやってくる御仁もいらっしゃる。今年2月には第15回目を迎えたが、皆勤賞の御仁も何人かいらっしゃる。今後20回目へと向けて実行委員会は新たな気持ちで開催に意欲をもやしている。流氷研究施設が地域に根ざし、市民をはじめオホーツク海と流氷というキーワードを共有する研究者、技術者が集う場が生まれ、育ってきている。これは、大学が地域と共存する
1つのあり方ではないだろうか。半年の流氷シーズンも終わり、残り半年間蓄積したデータの解析にまた忙しい季節となった。
(白澤邦男/低温科学研究所附属流氷研究施設・助教授)
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