CULTURE SQUARE


北大所蔵品探訪

タール人工癌の標本
市川厚一 作成  1915〜1918年頃
獣医学研究科所蔵

ウサギの耳の人工癌と標本
 世界で初めての人工癌の標本が、獣医学研究科・標本室にある。これは、後の北海道帝大獣医学部比較病理学教室市川厚一初代教授が東京帝大医学部病理学山極勝三郎教授のもとで特別研究生として、刺激による癌発症説を実証するためにウサギの耳にコールタールを五カ月以上、塗布し続けて作り出した皮膚癌標本である。山極の信念と、市川の努力・忍耐が実った結果であった。この標本は東京大学医学部に置かれているものとともに、世界的に非常に価値のある標本なのである。この仕事は、現在では、ノーベル賞に値するものと考えられているが、当時は、「東洋人には時期尚早」ということで、デンマークのフィビガーの「寄生虫によるネズミの胃癌」に対して1926年度のノーベル賞が与えられた。この人工癌はその後、癌ではなかったことがわかり、一方、山極・市川の仕事こそ、正真正銘、世界初の人工癌と評価されるに至った。そして、このタール癌はその後の化学発癌物質探究の端緒となった。周りのものからできるわけがないと笑われながら、当時の市川青年が砕身努力して生み出した標本は、標本室の一隅に、「市川先生がウサギの耳にコールタールを150日以上塗って世界で初めて作った人工癌」とのパネル説明とともに、ひっそりと置かれている。
(新岡正)



リテラ・ポプリおすすめの本

最後の歌

冴桐 由 著
筑摩書房 2000年 1,300円
 これは一種の冒険小説である。現代社会でともすれば見失いがちな生きる意味や人生の目的…。生きる力が湧いてこないのは、生に対する切実感がないためであろう。食糧不足による飢餓、あたりに蔓延する感染症による死といった恐怖が、現代の文明社会では欠如しているのだ。主人公は、死を覚悟することによって、また、別な世界に取り残された多くの人々の絶望をかいま見ることによって、生きたいと願い、明日に希望を託すのである。後半は、引き込まれて一気に読了することを請け合う。本学大学院生による1999年度太宰治賞受賞作品。
(新岡)




本号からは読者の皆様からのお便りを可能なかぎり掲載することにしました。共感、賛同、訂正、反対など、いろいろなご意見をお寄せください。読者の皆様どうし、また読者、執筆者と編集委員会のコミュニケーションの場とするつもりです。なお誌面の都合上、要約としました。
(編集委員会)

阿部和厚教授の記事を、私が長年勤務した横浜市立大学で医学教育学を担当している助教授に送り大変喜ばれました。能勢之彦氏は2年前のメディカル・トリビューンに大きく取り上げられていました。アンビシャスを身をもって示した誇るべき方です。
(宍戸昌夫様 昭和17年医学部卒)

「清き国へのあこがれ」のなかで「都ぞ弥生」の都を、住めば都という意味で札幌と述べられています。しかしより広く受け入れられている解釈は、岩井芳次郎著の「クラーク精神に生きて一北
大予科生の物語」や東京同窓会35周年記念誌にあるように、「春爛漫の東京を離れ、遥かなる北国へ初めて渡る心情をうたった」というもので、都は東京であると考えます。
(小篠守正様 昭和22年理学部卒)

桑園学寮の記事は懐かしく拝読しました。昭和15年に設置された農学部水産学科は昭和28年の新制大学発足にともない、函館高等水産学校(札幌農学校付属水産学科として設立され、のちに水産専門部と改称)とともに水産学部に引き継がれました。私は旧桑園学寮で予科時代に講義を受けた記憶はありますが、農学部水産学科の学生として利用した記憶はありません。同窓会(明亜会)は旧水産講堂跡に記念碑を建立する計画のために募金活動中です。
(山田壽郎様 昭和27年農学部卒)



北大で売れている本 ベスト10
            北大生協・クラーク店調べ
'00 5月〜 7月
文芸・
一般書 部門

1位『脳を鍛える』
   立花 隆
     新潮社
      1600円


この本は、いまも月刊「新潮」に連載中の、「東大講義『人間の現在』」の第1回(1997年6月)から第12回(1998年6月)までを一冊にまとめたものである。これはもともと、東大の教養学部(駒場)で96年の夏学期に行われた同名の講義をもとにしている。とはいっても、その講義の速記録にちょっと手をいれたといったたぐいのものではない。もちろん、授業の速記録はあり、それをベースにしている部分もあるが、実際にはすべて書き下ろしている。
はじめに より
    2位『朗読者』
      B・シュリンク 新潮社 1800円

      3位『北大の四季』
        高嶋英雄 北大図書刊行会 2000円

        4位『北海道の花/増補版』
          鮫島他 北大図書刊行会 2600円

          5位『だから、あなたも生きぬいて』
            大平光代 講談社 1400円

            6位『有珠山噴火』
              北海道新聞社 600円

            7位『北海道の百名山』
              道新スポーツ北海道新聞社 1600円

          8位『新世紀デジタル講義』
            立花 隆 新潮社 1600円

        9位『経済ってそういうことだったのか会議』
          佐藤/竹中 日本経済新聞社 1500円

      10位『マップリングEX 北海道都市詳細道路地図』
        昭文社 2000円




●放送講座(テレビ講座)のご案内●
 平成12年度北海道大学放送講座「水の惑星と私たち―地球環境にどんな異変がおきているのか―(続)」を次のとおり実施します。
 本講座は、地球環境と私たちの生活がどのようにかかわっているかについて「水」をキーワードとして考えるもので、平成12年度は昨年度(6回にわたり開講)の続編にあたりますが、独立した構成になっていて、昨年度視聴されていない方でも十分興味を持って理解していただける講座です。
 第7回から12回まで実施する今回の講座では、地球が生命に適した環境を保つための営みが、生き物によって人によってどこでどのように行われているのかを明らかにしたいと思います。

●受講生の募集

 1.応募条件
      学歴等は問いませんが、テキストの購入を条件とします。なお、アンケート等にご協力願います。

 2.募集人数
    地 区
    人 数
    札 幌 地 区350人
    旭 川 地 区50人
    函 館 地 区50人
    帯 広 地 区50人
    留 萌 地 区50人
    北 見 地 区50人
    600人


 3.受付期間
     平成12年9月18日(月)〜10月20日(金)
    締切り後においても受講希望があれば受け付けますが,その際はあらかじめお問合せ願います。

 4.受講料
     無料(ただし、テキスト代、その他郵送料等は受講生負担とします。)

 5.申込先・問合せ先
     北海道大学学務部教務課 生涯学習担当
     〒060-0817 札幌市北区北17条西8丁目 
     電話 011-706-5253,5252

●テレビ講座の放送日程
    ■毎週月曜日(前日日曜日深夜番組扱)
      午前0:30〜午前1時(北海道放送・HBCテレビ)
    放送日講義題目(講師)講 義 の 概 要
    第7回
    11月6日
    海は生きている
    −海の生き物による光合成と石灰化−
    (市川 和彦)
    海の生き物による二酸化炭素からの有機物生成(光合成)や石灰化の自然の営みを明らかにすることによって自然のせいこうさを探り、同時に自然のもろさを認識する。海水の温度の上昇が生き物の死をもたらしたり、種の生息分布を変える。炭素循環の立場から二酸化炭素による温暖化について考える。
    第8回
    11月13日
    森は創る
    −水を利用した光合成の進化の道程−
    (田中  歩)
    光合成は光エネルギ−を生物が利用できる化学エネルギ−に転換する。地球上における生命活動は光合成によって獲得されたエネルギ−に依存している。生物の進化の過程で水や酸素・二酸化炭素の地球レベルの循環に重要な役割を果たしている生物による光合成について解読する。
    第9回
    11月20日
    森は蘇る
    −森林の成り立ちと樹木の多様性−
    (原 登志彦)
    谷筋の水辺の植生と尾根筋の乾燥した場所の植生の違いを光合成速度や蒸散速度測定から明らかにする。水・光などの環境条件に適応して生活している植物の生活の多様性を紹介する。多様な樹木からなる森林の成り立ちがどの用にして保たれてにいるかを解説する。
    第10回
    11月27日
    川は生きている
    −河川と森林間での資源のやりとり−
    (前川 光司)
    世界の中で最も温潤で雨の多いアジアモンス−ン地域に位置する日本列島には豊かな森林が発達し、そこには大小無数の河川が流れている。そして、この国では河と生き物はとても密接な関係にあって、互いに助け合いながら生活している。このような森と河川相互補償とも言える関係について北海道の落葉広葉樹林の中から紹介する。
    第11回
    12月4日
    湖は生きている
    −湖の生態系の成り立ちと物質循環−
    (岩熊 敏夫)
    湖の生き物の多様性、生態系の成り立ちと物質循環について、生物同士の競争関係を日本やアジアの湖沼を例に挙げ紹介する。長時間の湖の変遷、湖の成因や人為的環境改変について示す。
    第12回
    12月11日
    水を浄める
    −生き物による循環型都市水再生の構想−
    (渡邊 義公)
    都市における水消費の量的拡大と質的変化は必然的に自然の水循環へ大きな影響を与えている。したがって、水循環の保全と改善のためには、下・排水の再利用や水質を使い分ける必要がある。次世代へ構築すべき「循環型都市水代謝システム」構想に付随する技術的課題から特に、下水処理における微生物の役割と応用について解説する。
    エピローグ
    北海道大学総長
    (丹保 憲仁)

    (注)放送日程は前日日曜日の深夜番組として扱われます。

●北海道大学運営諮問会議が開催される●
 第1回北海道大学運営諮問会議が7月17日開催されました。
 運営諮問会議は、平成11年5月の国立学校設置法の改正に伴い本年4月1日に設置されたものです。
 委員はすべて学外の有識者で構成され、大学の教育研究目標・計画、大学の自己評価、その他大学の運営に関する重要事項について総長の諮問に応じて審議し、総長に対して助言又は勧告することとを任務としています。
 会議では、会長に戸田一夫北海道電力株式会社相談役が、副会長に廣重力北海道医療大学長が選出されました。
 引き続き、本学の現況と近未来の諸問題について総長から説明があった後、「運営諮問会議の運営」、「大学の重点的施策」、「大学の教育」、「大学の運営」、「地域との関連性」等について各委員から忌憚のない意見が寄せられました。

●運営諮問会議委員(五十音順)

    大 石 道 夫
    財団法人かずさDNA研究所長
    桂   信 雄
    札幌市長
    児 島   仁
    日本電信電話株式会社相談役
    坂 元 弘 直
    東京国立博物館長
    沢   邦 彦
    富士電機株式会社代表取締役社長
    武 井 正 直
    株式会社北洋銀行代表取締役会長
    田 中 秀 征
    福山大学教授
    戸 田 一 夫
    北海道電力株式会社相談役
    東     功
    株式会社北海道新聞社代表取締役社長
    廣 重   力
    北海道医療大学長
    藤 野 政 彦
    武田薬品工業株式会社代表取締役取締役会長
    松 田 昌 士
    東日本旅客鉄道株式会社取締役会長


    (計12名)