Academia Populi
●研究紹介
価
値創造に向けて
の好感度エンジ
ニアリング
小早川 護
北の学者たち
小早川 護
こばやかわ まもる
国際広報メディア研究科
専門は国際広報
平成12年4月に北海道大学で最も新しい大学院、「国際広報メディア研究科」が創設されました。国際ジャーナリズムと国際広報を柱とする大学院で、国立大学の大学院としては全国初の専門領域の創設として注目を集めています。ここでは本大学院の一つの柱である国際広報分野における研究と活動内容を紹介したいと思います。
組織の広報機能を一言に要約すれば、「組織の価値創造と活性化に向けて、ステークホルダーの好感度創出をエンジニアリングする」ということになります。
旧来の広報が限定的人々を対象としていたのに対し、新時代の広報は共生の価値観が大きく広がる中で、ステークホルダー(利害関係者)という概念を導入し、より広い対象を想定しています。具体的には、(1)組織の直接的サービスが提供される利害関係者はもとより、(2)組織の構成員、(3)組織に資金や技術を提供するパートナー、
(4)その他、直接的・間接的に影響関係をこうむる人々等、実に多岐にわたり、かつダイナミックに変化しつつ絡み合っています。これらのステークホルダーと、効率的な良好関係を継続的に獲得・維持し、組織の存在目標を高い水準で円滑に達成していくのが広報活動の目的であります。
本研究科は情報化と国際化が加速度的に進展し、両者が螺旋的に錯綜・展開する時代の最中に誕生しました。このような時代の広報活動は、もはや従来の受身的かつ対象療法的活動では効果を期待できません。国境を超えて、時代・環境を先読みした戦略的広報活動が求められており、その成否が組織の存在価値を大きく左右します。しかし、日本においては、これまで広報活動の意義について認識が甘く、経営科学的なアプローチが十分なされて来ませんでした。この為、以下のような戦略的広報の基盤確立が急務となっています。
1.広報戦略の策定フレームの開発。価値創造のフレーム構築、組織内外の経営環境調査、経営戦略・個別事業戦略と整合した課題設定、メディアを統合した広報プログラム開発、広報戦略評価
2.実践的広報戦略のケースデータバンク開発。―下記等のカテゴリーでのデータ蓄積、商品・サービスパブリシティー、組織広報、内部コミュニケーション、産業・地域コミュニケーション、広報マネジメントコンサルティング、危機広報等
3.グローバル社会化、サイバー社会化の広報戦略へのインパクト分析。(図2参照)
広報媒体の多様化と統合的活用、双方向的広報活動の拡大、オーディエンス構造の変革とダイナミズム、能動的広報の拡大、広報活動の高速化
特に1.では組織価値の創造を中核においた戦略フレームを重視している(図の上半分参照)一方、3.においては、近年の環境変化による広報活動のパラダイムシフトの必要性に関する研究に照準を当てています。
これらの基盤構築と並行し、研究科のもう一つの柱である公共伝達分野と協力し、半導体やIT産業等の技術集約的な産業における広報の実践的展開を応用プロジェクトとして実行しています。半導体技術に関しては、「IT社会を拓く―半導体産業よりのメッセージ―」と題した委託研究による広報資料を作成中です。今後、国際的競争も視野においてバイオ、ナノテクノロジーなどの分野へも挑戦する計画があります。
樹
木の不思議
・木の不思議
寺 沢 実
北の学者たち
寺 沢 実
てらさわ みのる
農学研究科
専門は森林資源科学
樹木とは、不思議な生き物です。研究すればするほど不思議が増してゆきます。
例えば、 @樹木は、重力に逆らってどうしてあんなに大きくなれるのでしょう? A屋久杉やメタセコイヤなどはどうして何千年も生きていられるのでしょう? Bどうして樹木は同じ場所にじっとしていながら巨体を維持し長寿をまっとう出来るのでしょう? C樹木も植物ですから水がなければ生きていけません。でも、どうして100メートルもの高さの梢にまで樹液が上ってゆくことが出来るのでしょう? D北国の樹木はどうしてマイナス40度Cの寒さにも耐える事が出来て春になると葉が出て花が咲くのでしょう? E森の中で老木が枯れて倒れた後に、新しく種から芽が出て樹が育って森が新しくなって行くことが何万年もの間繰り返されています。でも、どうして森の中が枯れ木の山にならないのでしょう? Fよく木の幹に洞穴が出来ていて動物のすみかになっていたりします。でも、どうして幹の真ん中が腐って無くなっていても樹木は生きていられるのでしょう? Gどうして樹木の葉は春には緑色をしていて秋には紅葉するのでしょう? H人はどうして森林に行くと心が安まるのでしょう? I最近、シラカンバからとれる樹液が健康飲料としてもてはやされていますが、この樹液に活性酸素を除去することの出来る高いSOD様活性があると分かって話題になりました。でもどうして春先のまだ葉のない時期にのみ樹液が溢出してくるのでしょう? Jどうして樹木・森林の消失が文明の消滅と関係があるのでしょうか?これらのなぜについては、一応答える事が出来ます。でも、さらにどうして、どうしてと問われつづけると、ついには誰にも答えられないところに来ます。私たち森林化学分野では、まだ答えのないなぜについて究極の答えを求めて研究活動を進めています。フィールドでの観察から、実験室での化学、生化学、組織培養、タンパク質や遺伝子レベルにまで展開し、それらの成果を教室の講義で語ります。皆さんには、恐らくまだまだ沢山のなぜがあるのではないでしょうか。私にはこんな疑問があるという方は、ファックスやEメイルでお知らせ下さい。また、気楽に教室を訪ねて下さい。皆さん、一緒に謎解きしませんか?
一方、木材もまた不思議な材料です。例えば、 @木材は建材や住宅、家具などに使われるほど丈夫な材料ですが、顕微鏡で覗いて見ると実は孔だらけです。どうして孔だらけなのに木材は丈夫なのでしょう? A江戸時代は木造の住宅はあたりまえでした。最近、また木造住宅がもてはやされています。特に小中学校は木造で造ろうといわれるのはなぜでしょう? B法隆寺のヒノキの木柱はなぜ千年を越えてなお健在なのでしょう? CNLG船で液体化天然ガスなどを運ぶ際に、かってはバルサ材やコルクなどが内張として使われましたが、最近は木材(ブナ、カバの合板)で造った箱が使われています。でも、なぜ木材なのでしょう? Dヨーロッパで高級バーベキュー用の串と言えば北海道のシラカンバ材が好まれるのはなぜでしょう? E世界のエネルギー事情からいえば、木材は重要な燃料です。どうして日本は木材を燃料に使わないのでしょう? F和紙は楮・三椏のジンピ組織から造り、生活必需品である洋紙は木材から造ります。でも、どうして木材から紙を造るのでしょう? G木炭の良さが見直されています。焼鳥屋さんでは必需品です。でも、どうして今また炭なのでしょう? Hご用済み木材を粉にすると、新しい機能性材料に変身します。生ゴミ、屎尿、家畜糞尿などを臭いもなく分解消滅させる担体になったり、木のネンドとして新しい木工芸材料となったりします。でもどうして粉状にすると新しい性質が出てくるのでしょう? I木材を燃やすことがダイオキシン発生の元凶のように言われています。でも本当でしょうか? まだまだ沢山のなぜがあります。
●連絡先
(ファックス)011−706−4180
(E-mail)
mtera@for.agr.hokudai.ac.jp
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