北大再発見

CAMPUS TOUR



理学研究科附属地震火山研究観測
センター・有珠火山観測所


(有珠郡壮瞥町壮瞥温泉59番地)

 
2000年に噴火した有珠山をヘリから調査する

 昨年の有珠山の噴火の際に、有珠火山観測所が大きな役割を果たしたことは、多くのみなさんがご存じのことでしょう。有珠火山観測所は、理学部の附属施設として1977年に洞爺湖畔に設立されました。設立の年に有珠山ではちょうど噴火が始まり、観測所の建物は実際には翌年の1978年に建ちました。それ以来、この観測所は、北大の教官や学生の研究活動の拠点になってきたばかりでなく、国内外の学者との研究交流の場にもなっています。
 有珠火山観測所では、有珠山の観測だけが行われているわけではありません。樽前山、北海道駒ヶ岳、十勝岳、雌阿寒岳にも観測点が設けられ、有珠火山観測所は北海道の火山観測研究の拠点となっています。これらの火山の常時観測や測地測量などをとおして、噴火の前兆現象や噴火機構、火山の構造などについての研究が行われています。またこれらの研究を進めるための観測機器や観測手法の開発が進められており、さらに、こうした先進的な基礎研究の成果を社会に還元するため、火山災害軽減の役割も果たしています。
樽前山の火山観測坑道内部の機器
1998年には、有珠火山観測所を含めた3施設が統合され、理学研究科の附属地震火山研究観測センターとなりました。このセンターは、地震活動研究分野、火山活動研究分野、地下構造研究分野、海底地震研究分野の4分野からなり、火山活動研究分野は有珠火山観測所で実施するという形になりました。
 2000年の有珠山の噴火の際には、観測所の建物が危険地域(危険時の避難対象地域)にあったため、噴火の前兆と地震の発生と同時に、観測拠点の移動にせまられました。噴火開始の翌日から、伊達市内にプレハブ小屋を建てて臨時観測施設が造られました。計器類は一新され、学内外の研究者の協力のもとに、観測が継続的に行われています。プレハブ小屋での観測はこの3月で終了し、その後は壮瞥町に新たに建設した観測施設に主な設備を移します。
 有珠火山観測所は、有珠に拠点があるものの、先に述べたように北海道の複数の火山をモニターする施設でもあります。全国には火山観測施設がいくつかありますが、複数の火山を監視観測しているのは北大だけです。しかも、北海道の火山の活動度は、近年、全国的にももっとも高い状態にあります。
観測所

 火山研究者は全国にもあまり多くはいません。そのため、どこかの火山活動が活発になると、ただちに合同観測班ができ、また通常でも合同の集中観測が計画されます。こうした状況から、観測所のスタッフは、全国のほとんどの火山地域にひんぱんに出張することになります。1998年にセンターとして統合されてからは、海外の火山の観測にも出かける機会が増えてきました。例えば最近では、パプアニューギニアやニュージーランドで調査が実施されています。北海道での観測経験を活かして国際的な研究を計画推進することも重要な課題だといえるでしょう。
(西村裕一/大学院理学研究科地震火山研究観測センター助手・渡辺悌二)