活躍する同窓生

Clark's Spirit

逢坂 誠二
おおさか せいじ
大泰司 紀之
おおたいし のりゆき
1983年 薬学部卒
ニセコ町長

1964年 獣医学部卒
北大獣医学研究科 教授



北方四島の動物たち

大泰司 紀之

 私の興味・関心のひとつは、動物たちが自然条件下でどのような組合せで生息しているか、というところにある。北海道内の場合は、知床半島に原生的な脊椎動物群集が残されているであろうと、1970年代末から10年近くかけて調査を行った。調査を通じてその自然と動物たちのすばらしさに感動し、それらを後世に残そうと「知床の動物」(北大図書刊行会1988)を皆でまとめた。
 その後チベット高原、新彊、モンゴル、大興安嶺と、発展型哺乳類の進化の舞台と放散の道をたどって調査を行っていたところ、知床調査当時からの念願であった「北方四島」の調査が、実現可能となったのである。 
子のシャチ(写真中央)をかばって遊泳するシャチの群れ。択捉海峡にて(毎日新聞社/本間浩昭記者撮影)

 「北方四島」の調査は、「ビザなし専門家交流」の手続きが煩雑を極め、かつ傭船の費用が莫大にかかる。一昨年は北海道新聞社、昨年は科学研究費のお陰で船を仕立てて出掛けることができたが、地球上のどこで調査を行うよりも、手続きは大変だし費用がかかる。
 一昨年は択捉島をひと廻りし、昨年は国後島と色丹島を廻ったほか、陸上での調査も行ってきた。そこには、シャチを頂点とする極めて豊かな海洋生態系が維持され、海洋の資源を自ら陸上にもたらす莫大なサケ類によって、陸上にはヒグマやシマフクロウの密度が非常に高い「原生的生態系」が残されていた。地球上のどこよりも豊かな動物たちの楽園が、目と鼻の先にあったのである。
 
 
北大の風

逢坂 誠二

 私は、卒業後、すぐにニセコ町役場に就職した。これは、多くの友人たちも予想しなかったことだと思う。学んだことや自分が思い描いていた将来像とは違う事務系公務員になって、正直なところ私自身にも相当の戸惑いや迷い、そして後悔があった。
1980年忍路臨海実習所玄関前で教養の仲間たちと
(最前列左から2人目が筆者)
地元にある国立総合大学という、なんとも安易な理由で私は北大に進学した。「九州に住んでいたら九大に進んだ」と友人たちに話すと、口を揃えて「お前はどこにいても北大の風に憧れたはずだ」と反論される。北の大地やクラーク精神に憧れて来た友人達が、道産子の私のことをなぜそんな風に思うのか分からないし、彼らが思う北大の風とはどんなものかもよく分からない。しかし、なるほどあの4年間は、勉強、サボリ、遊び、友人、音楽、本、酒、アルバイトなど、全てが充実していた。
 大学を卒業して20年近くが経過した。この間の迷いやある種のあきらめから救ってくれたのは、今では自分の職の専門外となってしまった北大での4年間だったのではと感ずるようになっている。無駄で怠惰な時間も勉強も全てに意味があり、その蓄積が今の基礎になったのだろう。あの4年間の偉大さに今、改めて驚いている。そして、あの頃の友人達の分析を鋭いと感ずる。
 時代が変わり大学にも変化が求められていると言う。しかし北大には、その得体の知れない魅力「北大の風」を失わずに、多くの迷える若者の「しるべ」であり続けて欲しい。