キャンパスの北西端、恵迪寮の東側に北大山岳館はある。寮と陸上競技場との間を北に抜けると道は途中砂利道に変わるが、さらに道なりに直進すると樹々に囲まれた山小屋風のログハウスが大学構内とは思えない佇まいを見せている。入り口には北大山岳部および山岳部OB会「北大山の会」のシンボルである、エーデルワイスとザイルをあしらった木彫りのマークと、「北大山岳館」と書かれた木の板が掲げられている。建物全体が赤褐色がかって見えるのは材木としてカナダ産のレッドシーダー材(英語ではRed Cedarで、スギの一種)が使われているためである。 内部は2階建てで、1階部分には研修室と書庫および閲覧室が、2階部分には小会議室と天窓のあるロビーがある。1階の研修室は30人ほどが利用できる広さで、頭上が吹き抜けになっているため、開放感が大きい。建物全体に採光が豊かで、明るい印象だ。 この、大学内の一施設らしからぬ「山小屋」は北大山の会が建設し、北大に寄贈したものである。山の会ではそれまでも山岳部が管理する山小屋の改修などのために会員からの寄付を募ってきたが、創立70周年を記念し、学内に何か形になるものを残そうという気運が高まった。建設に当たっては、会員を中心に3千万円あまりの寄付金が集められた。 「山岳館」建設の第一の目的は登山、探検、地球環境保全、途上国援助などに関心を持つ北大の後輩たちに会合の場、先輩たちとの意見交換や交流を可能にする場を提供することにあった。山岳部はOB会の結束力が強く、学内にいるOBが登山計画にアドバイスを与えるなど、現役の山岳部部員たちとも折に触れて交流しているが、その「場」を提供することがまず目指された。また、今一つの目的は、北大山岳部がこれまで収集、所蔵してきた山岳・探検などに関する貴重な資料を整理、保管し、散逸を防ぐことであった。資料も近年やはり寄付等による充実が図られ、現在では、書庫や会議室内の収蔵スペースには雑誌まで含めると2千冊近い図書の他、国内外の山岳地域の地図、山岳部や山の会の関係者による遠征の記録、アルバムなどの資料が所蔵されている。山岳部部員や山の会会員以外であっても山の会もしくは山岳部に申請、許可されれば誰でも利用できることになっている。(一般からの書籍などの寄贈も随時受け付けている。) 山岳館は1995年(平成7年)に完成してから現在まで、山岳部や山の会関係者の他にも、ワンダーフォーゲル部、山スキー部など「山」関係の活動を行う部の部員によって頻繁に使用されている。1階の研修室はサークル会館の事務が鍵の管理を行っており、必ずしも「山」と関係しない目的であっても、学内の会合の場として利用することができる。入り口を入ったところに貼られた張り紙には「『山岳館』が生き残るかどうかはソフト(使い方)の問題です。美しく、美しく」とOBからのメッセージが書かれている。山や自然を愛する者の心がけはここにも生かされているらしい。 (案内人 浜井祐三子) |