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| ・・・・【 火 山 】・・・・ | 災害をいかに予知し防ぐか, 災害からいかに復興するか,人類は知恵をしぼってきた。 人類とはそうして災害から生き延びてきた生物にほかならない。 いま大学が,災害と闘う人知の到達点を発信する。 |
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| 火山防災マップはその火山において将来起こる噴火シナリオを想定して,その際に被害が起こる可能性のある場所を地図上に示したものです。噴火現象の簡単な解説や,避難行動への備えなども示してあります。噴火シナリオと被害が起こる可能性のある場所を判断するのに一番基礎となる情報は,火山地質学による噴火履歴の研究成果です。 | |||||||||||
| 有珠山では前回1977年噴火の後,泥流の発生対策として多くの砂防ダムが建設されました。当時北大理学部地質学鉱物学教室(現在の地球科学科)の勝井義雄教授の研究室では,砂防工事によって出現した地層断面を調べるこで,江戸時代には山頂噴火で3回山麓に火砕流が流出したことと,その影響範囲を確かめることができました。それらのうち1822年の噴火では,現在の虻田町入江地区で火砕流に巻き込まれて82名が犠牲となったことが古文書にも記載されています。この研究成果は1995年に有珠山火山防災マップを出版する際に生かされました。 有珠山の火山防災マップは噴火も遠い将来ではないと考えて企画され,地元の複数の自治体が連携して出版したものですが,実際の編集作業は地質学鉱物学教室出身の企業技術者が担当し,勝井名誉教授や現役の地球科学科教官が監修作業に当たり多くの助言をしています。出版と同時期に行われた住民も巻き込んだ形の国際火山ワークショップや,随時開催された普及講演会でも,地元の自治体と岡田弘教授を始めとする火山研究者が連携して,火山防災マップに示された情報を住民に普及する努力が重ねられました。有珠山の2000年噴火では噴火前から避難が行われ,一人も犠牲者やけが人を出さずに済みました。噴火の前に本格的な火山防災マップが作られ,噴火に際して防災対応に使われたのは日本で初めてのことです。 |
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2000年の噴火の後,早くも次の噴火に備えて火山防災マップの改訂版が作られ,今年の3月に地元の全ての家庭に配付されました。2000年の噴火の実績を踏まえて火砕流の到達範囲や火口ができる可能性のある場所などに手直しを加えたものです。火山の災害を減らすためには噴火のメカニズムに関する観測研究の充実や情報公開だけでは不十分で,住民自身が火山噴火現象を理解し,研究者との間に信頼関係が構築されることが大事です。そこで火山防災マップの配布に当たっては,地元自治体にお願いして住民向けに火山防災マップの読み方の説明会を実施しました。
次の噴火は恐らく数十年後と思われます。しかし,日頃から火山について理解を深めておくことがいざという時に災害を減らすことになるはずです。そのためには火山防災マップの配布だけでなく,今回の噴火遺構を組み込んだエコミュージアム建設構想や小中学生の火山防災副読本を作る計画などにも火山専門家として助言する機会を持っています。 |
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北海道ではこの他,恵山,駒ケ岳,樽前山,十勝岳,雌阿寒岳,アトサヌプリで同様な火山防災マップが作られ,地元の住民に提供されると同時に普及講演会も様々な機会に行われています。このように私達は火山の基礎研究の成果を使って自然災害の軽減という形で社会に貢献する努力も行っています。 |
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| 理学研究科教授 | |||||||||||
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