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| ・・・・【リスク認知】・・・・ | 災害をいかに予知し防ぐか, 災害からいかに復興するか,人類は知恵をしぼってきた。 人類とはそうして災害から生き延びてきた生物にほかならない。 いま大学が,災害と闘う人知の到達点を発信する。 |
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| リスクとは 何らかの被害に遭う可能性の度合いを表す言葉です。 その高低は,病気・事故・災害などでは 過去の発生率・被害範囲・被害程度などのデータから 計算することが可能です。 専門家はその度合いを数値や格付けで表します。 そのような専門家による客観的あるいは統計的なリスク評価とは別に, われわれ素人は自分の身に及ぶ被害についてのリスクを どのように判断しているでしょうか。 その判断を心理学では「リスク認知」と呼びます。 |
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リスクが非常に小さくても,ある程度の予測が可能としても,現実に災害がおきれば,多かれ少なかれ被害を受けることになります。われわれはそれに対応できる何らかの対策を講じておく必要があるでしょう。 リスクを過大に評価するあまり,事故や災害を恐れて家に閉じこもったり,不必要に大量の備蓄をしたりするのも困りますが,過小評価をして,何の準備もなく実際に事故や災害に遭遇すると,物的・心的被害がそれだけ大きくなり,より深刻な問題となります。事前に適切な防災対策ができるかどうかは,われわれのリスク認知が適切かどうかにかかっています。そして,適切な「リスク認知」は,行政や専門家が客観的なリスクを分かりやすく説明し,判断に必要な情報をすべて公開してくれないとできません。この点で行政や専門家,そしてマスコミの責任は大きいのです。 適切なリスク認知とあわせて,事前の防災対策は,緊急事態が発生したときの対処行動の成否に影響します。過去の災害や事故の調査結果から,緊急事態での人間はほとんど無力な存在になってしまうことがわかっています。大規模な事故や災害が起こると,多くの場合,パニックによる社会的混乱が起こったり,逆に,警報が出されても,緊急事態を安易に軽く考え避難行動を取らなかったりするなど,不適切な行動がみられるのです。 われわれは常識として防災行動を理解していますが,緊急時にそれを実行するのは非常にむずかしいのです。たとえば地震時には「火を消す」「戸を開ける」ことが基本的な防災行動ですが,震度2ならそれができても,震度5以上の地震が起こると「何もすることができなかった」という人が多数となります。また,消防車を呼ぶための「119」番も,実際に火災が発生すると動転して忘れてしまうなど,普段は簡単にできることが緊急時には困難になることがあるのです。 また,緊急場面では,「外界に対する認知」の変化も起こります。たとえば,火事でビルの10階の窓際に逃げてきた人が,地面がどんどん近くに見える錯覚をおこして,飛び降りてしまったりします。時間感覚も変化し,避難するまでの時間が実際よりも長く感じられたりします。 このように,平常時では当たり前の判断能力が緊急時には期待できないことを十分知っておく必要があります。とくに,人が集まる場所での緊急避難誘導体制は重要です。揺れを感じたら机の下にもぐるとか,消火器の使い方などの訓練を1年に1度はやっておくべきでしょう。避難行動に関する最近の実験では,事前に避難経路を探した経験があると,避難に要する時間が短くなることに加え,避難時の不安や恐怖が低減し,実際にかかった時間を適切に認知できるようになることが報告されています。 寺田寅彦の言葉「天災は忘れた頃にやってくる」のように,災害の知識は「風化しやすい」のです。いつ起こるかわからない災害を過度に恐れる必要はありませんが,定期的にリスクの存在を再確認し,適切な準備をしておくことが被害を最小限にとどめる唯一の方法です。
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