1973年 工学部(応用化学)卒
日商岩井株式会社営業支援室副室長

中村 俊紀
Nakamura Toshiki
 

 最近、テロとの戦いやイラク戦争の絡みでイスラムが注目されていますが、何回かに分けて約9年半に亘りイスラム国に駐在し最近帰国したので、その中でサウジアラビアでの生活様式を身近に見て感じた事をお話します。

 行くまではかなり違和感があったイスラム世界ですが、そこに暮らしていると彼らの世界がかなり合理的な解釈の下で営まれている事に気づかされます。例えば、テレビ映像でも見られるようにサウジでは女性は黒い布(アバヤと呼ばれる)で頭髪と体全体を覆っていますが、これは「女性は美しい存在であり、邪な男性からのアプローチを受けないように美しい部分を覆い自分の身を守る」というところから始まっており、あの黒い布の下には欧米の一流ブランド物も含め普通の洋服が着用されています。体を覆う布の色は世界各地域によって様々ですが陽射しが強烈な中東諸国では紫外線のカット率の高い黒色が主流です。また、スーパー等に行くと子供を抱え汗をかきながら品物をカートに入れるのは夫の役割で妻は品物を選択し指し示すだけというようなケースを見かける事も多く、これは女性は大事に保護されるべしと言う教え・慣わしに沿ったものだと聞きました。一方で、女性が保護者たる父親や夫等の同伴者無しに外出する事や自動車を運転する事が禁止されている等の不便もあります。その様な中で、今は衛星テレビを通して欧米等諸外国の女性のファッションや自由な生き方の情報もサウジにどんどん入ってきていますが、意外にも多くのサウジ人女性は現状の女性の社会的地位のままの方が女性にとってメリットが大きいと感じているようです。

 字数の関係で非常に断片的な事しか御紹介できませんでしたが、我々が気をつけなければならないのは、それぞれの地域での人々の営みそして歴史から導き出されている各地の文化や価値観は極めて多様であり、それらをある特定の文化・価値観から一面的に捉え判断するような事に陥ってはならないという事ではなかろうかと思うこの頃です。


サウジアラビアの代表的なメディナのモスク


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