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下川部 |
知の活用のベースは知の創造ですが、総長は世界レベルの研究をどう創成し、どう支援されるのですか。 |
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中 村 |
国立大学はかなりの部分が国民の税金で成り立っており、それだけ国民の大きな負託を受けているわけで、当然、世界水準の研究をおこなうことが責務です。そこで国の高等教育や学術研究への資金も、だんだん競争的になってきました。大学の優秀なプロジェクトに対して選択的に与えられる傾向が強くなっているのです。
そのもっとも代表的なのが、平成14年にはじまった「21世紀COEプログラム」です。普通の研究補助金は個々の研究者が申請するのですが、このプログラムは大学が組織として研究教育プログラムを組み、学長が申請します。私どもは昨年4件、今年は6件の申請が通りました。2年間で10件、これは数としては全国の大学で第7位です。このCOEプログラムは、世界水準の研究とそれにふさわしい若手研究者を養成するという2つの大きな任務があり励みになります。北大の特色とする研究をどう進めるかを、大学全体で考えたいと思います。
その10件とは数学、情報科学、ナノとバイオについての生命科学、医学分野での獣医学研究科の人獣共通感染症、環境社会工学の領域、文系ですと人文系の心理学関係の領域、社会科学系では法学研究科の知的財産について、あとはスラブ研究センターのスラブ研究、北海道をフィールドとして地球環境科学研究科を中心にした地球環境問題、理学研究科では地球科学・生物分類学などたいへん多様です。
この21世紀プログラムで採択されたものは、北大のひとつの特色といえます。他にもたくさんの優れた研究があるので、これからは次々と北大の特色として活かしていきたい。とりわけ農学部では、バイオマスを中心に新たな21世紀型農学の構想が生まれつつあります。また、北大にはユニークな海洋科学、マリンサイエンスがあり、こうした特色ある研究の水準アップも大学の任務だと考えています。 |
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下川部 |
いま北大がいちばん知恵を出す必要があるのは、どこでしょうか。 |
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戸 田 |
まず農業をなんとかしなければならないでしょう。北海道はいま崩壊という危機的状況にあります。そこから立ちあがるためにはどうしても、新たな方法の農業が必要です。
じつはいま、北大農学部では「根圏」といって、根の研究が進んでいるようですね。それをさらに展開してバイオミクロコスモス研究という、人間の腸と土の働きを比べることで、さまざまな新しい学問分野がひらけているようです。これなどは文字通り世界に発信できる分野になると思います。これがある程度の形になり、現場である個々の農家へ下りていく状況になれば、北海道の農業はきっと強くなります。
オランダでは、大きなグリーンハウスがたくさん並んでいて、中でカーネーションやバラなどを育てています。企業がそれぞれ自分で研究室を持ち、次々と新しいものをつくり、苗で売って代価を稼ぐという新しい形の農業を展開しています。北海道の農業も、まったく違った形の農業が考えられるとおっしゃる先生がいます。北海道こそ、それをやるべきではないでしょうか。
そしてPRが重要です。いまは先生方がいろいろな工夫をしてパンフレットをつくられていますが、先生方はいままでご自分の仕事をアピールすることが下手でした。私があえてマンガでとお願いしたこともあって、いまはずいぶんお上手になりました。それらを、たとえば道経連や経済団体で勉強していただき、それを地方へ持っていくと、産学が一緒に動いていることがわかっていただけます。それがアピールです。法人化されれば、それももっと容易になりますね。 |
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中 村 |
いま農学部・農学研究科でバイオマス生産転換による循環型社会機構という図をつくっています。安全な食の提供、環境問題、資源としての生物利用などを結びつけた図で、農学研究科の将来像として私のほうに伝えられてきています。農学研究科も理事長が言われた方向で動きはじめています。

<拡大図> |
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戸 田 |
道の農業試験場関連のみなさんも、その研究ネットワークに参加していますね。農業試験場は現場に密接に関連していますし、北海道農業協同組合中央会からも入っています。研究者のみなさんが一体感をもって情報を共有し、実用化までもっていくと、農業に力がつくと思います。それに、実用化は大学に社会からの評価をもたらします。 |