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鼎談 夢の途中
明るい睡眠科学
対談 今も夢中
法と詩 菅原道真の「声」
理系進学を考える女子高校生は多いのですが、
その後、大学に残って研究を続ける女性はまだ少ないのが現状。
そんななかで、パイオニアといわれて尊敬されているのが、
このお二人です。
女性たちが、いかにはげまし合って研究を続けてきたか、
これから大学はどうあるべきなのか、
大いに語ってくれました。

理系と文系
女性たちも頑張らなきゃだめね。
MORI MIWAKO

北大大学院薬学研究科教授。北海道札幌北高出身。1963年北大医学部薬学科卒。北大大学院薬学研究科博士課程修了。薬学博士。専門は有機合成化学。「医薬品合成のため新しい反応の開発」で女性科学者に贈られる猿橋賞受賞(1991年)

北海道の自由さに憧れてきました。
MORIYA KIYOSHI

北大大学院教育学研究科教授。岩手県宮古高出身。1965年北大医学部薬学科卒。医学博士。専門は健康科学教育。適応生理学。QOLを高める生活処方と生活支援に関する研究を進めている。

女性で理系、しかも大学の第一線の研究者って少ないですが、そのあたりの事情を、高校生にも分かるようにお話していただきたいと思います。先生方は、どのようにして研究者になられたのですか?
森谷
私はですね、薬学部を卒業した後、医学部の助手になったんですよ。で、生理学講座という研究室で助手をやって、寒さにどうやったら強くなるかという研究をしてました。すると哺乳動物と人間で寒さに強くなるメカニズムと運動トレーニングがよく似ていることが分かりましてね、それから教育学部の体育・保健に移って現在に至ってます。例えば、森林浴の時にどう体が変化するとか、温泉に入ると人の脳波がどのように変化するかなどを調べてます。それにしても、理系と文系でいうと、私は人見知りだったんで、文系の分野ってやっぱりどうしても人間相手になりますから敬遠して理系に進学したんですけど。それがなぜか人間研究してるというのが不思議なんです。
私は、1回社会に出て、製薬会社の研究所で研究して、それから大学にまた戻ったわけですけど。
社会に出たから良かった事ってありますか?
それはもう、いっぱいありますね。でもまあ会社のことは後だからそう思えるわけでね、その時にいいと思ったら辞めないわけですからね。だってやっぱり男女差別ってのはちゃんとしてたから(笑)。男の人たちは育てるけれども、女の人たちは消耗品だっていう感覚は、会社の至る所にありましたね。男の人たちは、学会なんかにどんどん参加させてくれるのに女の人は、そういう勉強の機会をなかなかもらえない。だから、勉強する刺激が減って、今まで少しは自分の中に蓄積されていたものがどんどん吸い取られてくって感じで、自分が空っぽになってくみたいな恐ろしさを感じてましたね。
それで大学に戻って勉強したいと?
その頃ある先生から「本当に研究したいと思うんだったら、大学院出てないと無理」と言われて、初めてそういうものかと思ったんです。ちゃんとした人生設計なかったですね(笑)。大学院の試験受けるのはしんどいとか思ってまして、鬱々としたこともあったんです。それでも、やっぱり今しかないなと決心したんです。
女性研究者として
特に理系には、女性の研究者がすごく少なくて、その苦しみを理解してもらえないのではないでしょうか。
私ね、最近アメリカの学会に出席して、ある大学の女性研究者に久しぶりにお会いしたんです。彼女は留学するとき大学を辞めなくてはならないと云われ辞めてアメリカへ行ったのです。留学する前に彼女に逢ったとき「研究はし続ける事が一番大切だ」と云ったらしいんです。私はもう忘れてしまっているんですが、彼女はそれを支えに続けてきたと云っていました。でもほんとはやっぱりそうなんですよ、研究っていうのは続ける事がなかったら、だめなわけですからね。
森谷
森さんは、色んな所で人を励ます言葉をいっぱい言ってるって思うんですね。私にはあこがれの先輩だったんですけど、やはり森さんに励まされてここまできたんだと思ってます。つらいときもあったんですが、その時森さんから、国立大学を出た人っていうのは税金使ってるんだから、簡単に辞めちゃだめなのよって励まされました。なるほど辞めるには辞める相応の理由がなくてはいけないと、それでここまでずっと来たように思うんですよ。 
女性の研究環境というのは大学の課題でもあります。そちらの制度的な面で、一体どんなことをこれから大学は考えていったらいいのでしょうか。
森谷
それは是非言っておきたいですね。いま大学で勉強したり、あるいはこれから大学に入る若い人たちにも考えて欲しいんです。私は、北大の男女共同参画の検討会というものの委員をしてたんですけど、やっぱり北大ではまだまだ女性教員の数が少ないんです。全国の教員の比率を調べてみると、北大の順番は後ろから数えたほうがずっと早い。女子学生の人たちにとって、もっとそばに女性のモデルがいた方が、いいのではないかと思うんです。で、なんとか女性の教員がもう少し増えて欲しいなっていうのがあるんです。そのためにも北大の保育園っていうのを補強したり、そういう制度面での支援がこれからの大学として必要なのだと思います。
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