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森谷
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もう1つ、私は性的いやがらせ、所謂(いわゆる)セクハラの相談員もやっていまして、大学院生が研究者として育っていくプロセスの中で、そういうジェンダー(社会的な性差、異性観)の問題に悩むことがある。そういう女性と接する機会が多いんです。もちろん、悩みといってもいろいろなんです。例えば文系の場合だと、研究テーマそのものが指導教官と考え方が違うっていう場合があります。女性観そして男性観つまりジェンダーに絡んだ問題で、指導教官と意見が相容れないために、研究そのものが成り立ちにくいというような事例があります。理系の場合だと、指導をめぐってですね、やっぱり男性が多い研究室だと男性中心になってしまって女子院生は主要な研究テーマから外れてしまうとかいうような問題。私の考えでは、もっと自由にこういう問題を相談できるような仕組みを、しかも専任の専門家による仕組みを作って、これからの世代を育てて行く、そういうシステムがあれば、大学はもっと素晴らしくなるなあ、というふうに思うんですけど。
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森
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女性教員が少なくて、だから数値目標にして女性教員の割合を20%にしようとかっていう考えがありますけど、実際にはそんな簡単ではないでしょう。私の考えでは、子供を育てるというような例が、特殊なケースになっては、たぶんだめだと思いますね。それが当たり前、にならなくてはね。本当は、みんなそれぞれのスタイルでやれれば一番なんですよ。1人でやってく人もいるし、子供を育ててやってく人もいるし、いろんなケースがいっぱいあったら、後に続く人も自分の好きなスタイルを選んで生きてくっていう事がきっと出来るはずなんですよ。あの先生は特別、とか、森先生だからできたんだとかね(笑)。それではなかなか後が続かないですよね。色んなケースが増えて、どれも「普通」のことになっていく、それが理想。
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今の若い女性は大変ですか?
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森
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そうね、ちょっと心配してるんですよ、実は。私が育ってきた時代っていうのは割合元気のいい女の人がいっぱいいて、大学に残って研究続けたんですよね。だけど今の薬学部をみると女性の教官っていうのが、北大の中でも一番少ないかもしれないんですよ。現状維持の方向になりやすい採用のシステムとか、いろんな問題が絡んで複雑ですけどね。でもやっぱり、女性も頑張らなきゃだめね。
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今の若い女性は元気ないんでしょうか? |
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森谷
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必ずしも女性に元気がないとは思わないのですけども、研究のやり方のほうにも問題はあるでしょうね。例えば、以前に薬学部で午前1時に爆発事故があった時に、すぐに30人だかの研究者が集まったというんですけど、そんな時間にそんなにたくさん職場に残って研究してるのかって、やはり驚き。午前1時に30人もいるところって。翻って、女性にとってはやっぱりそういう体力の面でとかハードになる部分がありますねえ、薬学に限らず理系っていうのは。
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森
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私たちは院生の時からそうだけど、夜に研究やるわけですよ。だからそういう時に女性が入りこみにくいということはありますよ。スペース狭いしね。でもね、私はね、夜中まで実験の続く「不夜城」といわれる薬学部所属ですが、私は原則的には学生にいつも朝来て早く帰れって言います。言いますが、自分が学生でもし何にも拘束されなかったら、きっとそこに全部集中しちゃうだろうっていうような魅力は、研究にあるんですよね。
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やっちゃう?
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森
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やっちゃいますよね、ワッという感じで。学生の研究したいって気持ちはとても強くて、それに引っ張られていくっていうのかな。ただそういう時に、そういうスタイルが当たり前だとなっちゃうと、はじき出されちゃう人がいますよね。そういうスタイルでは、やっていけない人だっていっぱいいるわけだから。研究っていうのは、何て言うのかなあ、どういうスタイルでもいいから結果を出せばいいわけですよね、結果が出るような事をやればいいわけで。色んなやり方ありますよね、だから、きっと研究なんてみんな同じじゃなくてどっちかって言ったら自分の好きなスタイルで好きなようにやっていけるっていうところがすごく大事なんじゃないかなと思うんです。それでねこの広報誌のお話、北大植物園で撮影して、今日のタイトルとして「今でも夢中」というのがきたので、やー「今でも」ってどういう意味かしらって、このタイトルまちがってるって。
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森谷
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「今は」だったらわかるけど(笑)。「今でも」っていうのが。
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もうひとつの座談会は「夢の途中」ってテーマなんです。
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森谷
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「今でも」って言われるとねえ。
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「今も夢中」ならいいですか?
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森
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つまり、「今は夢中」なんですよね、もっと、ずっと、いつも夢中。
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