二つ目は、高い倫理観を持って欲しいということです。第二次世界大戦が終わって60年以上が経ちました。経済の面からは大戦後の苦しい時代を経て、昭和30年代から約20年間経済は高度成長しました。Japan as No.1といわれた時代を過ぎると、その後は経済的バブル、続いて経済的破綻、その後の経済の低成長を経験してきました。このような経済の大きな変動の中で、今でも世界第2位の工業生産力を維持しつづけていますし、格差が拡がりつつあるとは言うものの、我々の生活の豊かさが失われたわけではありません。しかしながら、近年、国内で起こる社会的事件や経済的事件を見ると、日本の社会的な情況が大きく変わりつつあるのではないかと、不安になることがあります。乳幼児に対する痛ましい事件等をみると、日本人が家族や他人を思いやる心を失いつつあるのではないかと心配になります。食品加工・流通における不正や建物の耐震強度不足問題をみると、自由経済におけるモラルの欠如を痛感しますし、利益を上げるためには手段を選ばないといった企業倫理のカケラすら見ることのできない事例が多くあります。また政治の世界においても政治倫理にかかわる問題があり、国民から政治不信を招いています。社会を先導し、本来は国民の規範を、身を持って示す立場の人々が、私利私欲に走る現象をみる時、我々は、日本の将来に不安を持たずにはおれません。これらの問題の原因がいずれにあるかは判りかねますが、モラルの欠如や倫理観の欠如が積み重なっていくと、結果的には社会不安を引き起こし、安全・安心な社会の実現も、質の高い生活の維持も不可能となりますので、少なくとも本学を卒業される皆様方は、より高い倫理観を持って日本社会を先導するような人材に成長して欲しいものです。皆さん一人一人の小さな努力の積み重ねが将来の日本を良い方向に変える大きなエネルギーを持った潮流を造ると私は確信いたしております。これが二つ目のお願いです。