平成21年(2009年) 年頭のご挨拶

 新年あけましておめでとうございます。平成21年の年頭にあたり、教職員、学生それに院生の皆様方に、新年のご挨拶を申し上げます。国立大学としての北海道大学が法人化され、5年が過ぎようとしています。この間、運営費交付金の削減、病院の経営改善係数による負担等により、本学の財政状況は年々厳しくなってはいるものの、教育・研究にかかわる競争的資金や民間との共同研究等資金の獲得に対して先生方と事務職員が一体となっての努力、それに、人件費の削減、諸経費の節約により、比較的健全な財務となっていることに対して全教職員の方々に厚く御礼申し上げます。諸外国においては、人材の養成こそが国力の源泉であるとの考えから、優先して、高等教育への公財政支出を増やし、先進国における平均的公財政支出はGDPの1%であるのに対し、我が国では0.5%である状況は、将来の人材養成に不安を感じずにはいられません。また、21世紀を知識基盤社会と位置づけ、科学技術創造立国を目指すことによってのみ将来を確かなものにすることが可能となることを考えると、高等教育に対する長期的展望に立脚した政策と財政措置が成されるべきと考えます。

 さて、昨年は、第1期の中期目標、計画の「達成度」と機関別教育・研究の「水準」の暫定評価を受けるための自己評価書作成、それに今年度に予定している「認証評価」を受けるための準備で大変だったと思います。暫定評価の結果は、平成22年4月から始まる第2期の運営交付金の算定に反映されますので、その評価結果が待たれるところですが、国からの財政支援は年々厳しくなっていくものと考えています。

 また、昨年は、G8サミットが北海道の洞爺湖で開催されたのを機会に、初めてのG8大学サミットが札幌で開催され、サステナビリティと大学の役割についての「札幌宣言」が参加34の世界の主要大学学長により採択され、その宣言文が当時の福田首相に手交され、G8サミットの宣言にも、その一部が盛り込まれました。この会議開催にあたっては、本学がホスト役をつとめるとともに、その責務を教職員協力のもとに立派に果たしましたし、その前後3週間にわたって本学の各部局が開催したサステナビリティウィーク2008〜G8サミットラウンド〜では50の人類のサステナビリティに関する国際シンポジウムや各種フォーラム等が開催され、国内外から多くの参加者を得るとともに、本学のサステナビリティに関する研究結果の水準の高さ、幅の広さとともに、取り組みに対する熱意の高さを世界に向けて発信できたものと思っています。関係された教職員の皆様に改めて御礼申し上げたいと思いますし、本学の国際化に向けた取り組みの第1歩と思っています。

 皆様も御存知のように、我が国の大学は国際化を加速することが求められています。これには、優秀な外国人留学生が我が国の大学に集まり易い状況を創り出すような留学生支援体制と新たな教育システム改革等が必要であります。大学の教育システムの国際化、学位の質の保証とともに、寮や奨学金の充実、それに英語のみでも学位を取得できるよう英語による講義を増やす努力も必要です。一方、我が国の学生諸君の教育にあたっても、社会のますますの国際化の進展にともない、特に企業等に就職する学生諸君にとっては、英語によるコミュニケーション能力の向上が不可欠であります。本学学務部が工学部、経済学部の卒業生に対して実施した本学の教育についてのアンケートの結果においても、学部、卒業年次に関係なく、学生時代に「もっと英語によるコミュニケーション能力を高めておくべきであった」が群を抜いていたことでも明らかであります。全学教育における外国語教育に対する学生諸君のモチベーションをより高めるためにも、学部における専門の基礎的科目は英語による教育が必要でしょうし、特に理系の大学院では英語による講義が当たり前となって欲しいものです。在学中の学生、院生諸君におかれましても、自学自習により、外国語コミュニケーション能力を高める努力をして欲しいと思います。

 大学教育の国際化は英語によるコミュニケーション能力の向上だけではなく、本学の教育システムそのものについても国際化の議論が必要ですし、留学生諸君には、日本語教育、日本文化等にかかわる講義も義務付けるべきですし、一方、我が国の学生諸君には、広い意味での日本文化や、異文化への理解を深める努力が必要であります。また、本学の国際化をより確実にするためには、事務職員の方々の外国語能力向上の方策も考えねばなりません。

 今年は、第1期中期目標、計画期間の最終年度を迎えることになります。この期間の目標、計画を完全に達成するために最大限の努力を払う必要がありますし、評価結果を真摯に受け止め、次期中期目標、計画に反映せねばなりません。大学の責務の中で、教育研究を通しての人材養成が最も重要であります。我々は、国際性豊かな人材の養成に向けて、さらに努力を傾注していかねばなりません。最後になりますが、今年が皆様方にとって良き年になることを御祈念申し上げますとともに、本学の国際化への飛躍の年になることを願って、私の年頭の挨拶とさせていただきます。


平成21年1月5日
北海道大学総長  佐 伯  浩