平成20年度 学士学位記授与式 総長告辞
本日、ここに平成20年度学士学位記授与式を挙行するに当たり、北海道大学を代表しまして、卒業生の皆様ならびにご列席のご家族、関係者の皆様に対して、心よりお祝い申し上げます。
北海道大学総長 佐伯 浩
本日の学士学位記授与者は12学部合わせて2,590名で、その内には女子学生が761名、留学生20名が含まれています。
この卒業式を迎えるに当たって、4年前、あるいは6年前に入学された時、皆さんがそれぞれ抱いていた夢、希望、期待をどの程度実現できたでしょうか。多くの友人や先輩、後輩に巡り合うことができた方、多くの本を読んだ方、充実したクラブ活動・サークル活動ができた方、ボランティア活動等による社会貢献をされた方、そして、幅広い教養と専門分野の知識とそれを活用する能力を得ることができた方、学生生活が本当に充実していた方、いろいろいらっしゃると思います。
エルムのキャンパスで得られた貴重な体験と学びの成果を、これからの人生に生かしていただきたいと思います。
さて、皆様の多くは、これから社会に出ることになります。最初のうちは、仕事に慣れることに精一杯で、この先やっていけるかどうか不安になる方もおられると思いますが、徐々に慣れていきますので、我慢することが大切です。社会に出ると、経済、社会の変化が激しいことに気づかれるはずですし、皆さんの周りには才能豊かな先輩が数多くいることに驚かれることもあるでしょう。ある人は、外国語のコミュニケーション能力にたけ、またある人は論理的な説明能力にたけ、またある人は社会や経済の変化を的確に読み取る等、種々の才能を持った人が多くいることに気づくはずです。しかし、それらの能力や才能は、日々の努力、日々の学びによってのみ培われるものであります。卒業後も自ら学び、継続的に学ぶいわゆる「自学自習」の習慣を身につけることにより、加速するであろう国際化や経済・社会の変化に柔軟に対応できる人材へ育っていくと思います。皆様方はそのような能力を持つに充分な基礎的素養を有していることに自信を持っていただきたいと思います。
さて、現在、我々の住む地球は、地下資源、食糧、水それにエネルギー等、人類にとって不可欠であるものが有限であることが判ってまいりました。今のような人類の活動が続くならば、地球環境の劣化を加速し、人類の持続的な発展を不可能とするような事態を招きかねない情況になっています。このような中で、本学は平成17年、持続可能な社会の実現に貢献するため、「持続可能な開発」国際戦略本部を立ち上げました。平成19年には、「サステナビリティ・ウィーク」を設け、本学の地球規模の環境問題や環境改善技術それに、低炭素社会に向けての政策学等、持続可能な社会を目指した国際シンポジウム等を開催しました。また、昨年は北海道洞爺湖で開かれた主要国首脳会議G8サミットに合わせて、世界の主要大学の学長35名が集まり、初めてのG8大学サミットが本学をホスト校として実施されました。持続可能な社会の実現に向けての「札幌サステイナビリティ宣言」を採択し、それを当時の福田康夫首相に手交し、その一部がG8サミットの宣言文に盛り込まれました。また同時期に本学はサステナビリティ・ウィーク−G8サミットラウンドを実施し、30を越える国際シンポジウムやフォーラム等を実施しました。その中で、本学の持続可能な社会構築を目指した意気込みとレベルの高さを世界に示し、国際的にも高い評価を受けております。
持続可能な社会を構築するためには、我々一人一人の努力、地域の人々が協力して行う活動、大学や企業の努力が必要です。さらに、自治体や国がより組織的に行う政策や活動とともに、世界中の国々が持続可能な社会の実現に向けての共通の目的を持って、共同で取り組むことによってのみ解決が可能であります。特に先進国である我が国の責任は極めて大きいと思います。皆さんは卒業後、それぞれの立場で、この大きな課題解決に努力していただきたいと思います。本学も持続的にこの課題解決に挑戦していきます。
本日、卒業式を迎えられた皆さんには、本学で学んだ知識や能力、課外活動やボランティア活動で得た貴重な経験があります。多くの思い出そして生涯を友とするような友人、それらは全て人生の宝物であります。これからの新しい人生を、高い倫理観と夢、勇気そして大志を持って歩んでいただきたいと思います。そして、母校である北海道大学のこと、皆さんの後輩のことも時折思い出していただきたいものです。
最後に、皆様の前途に明るい未来が開けていくこと、その未来を皆さん自身が切り開いてくれることを信じて、告辞の結びとします。
平成21年3月25日
北海道大学総長 佐 伯 浩