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新入生の皆さん、北海道大学へのご入学おめでとうございます。北海道大学の教職員を代表して心よりお祝い申し上げます。また、今日まで皆さんの勉学と生活を支えてこられたご家族並びに保護者の方々に対して、心より敬意を表します。今後ともお子さん方を温かく見守り、励まして下さいますよう、お願い申し上げます。
さて、今年の本学への入学者は2,559名で、そのうち男子学生1,847名、女子学生712名であります。また入学者の中には、留学生21名、帰国子女7名が含まれています。また道内の出身者が1,259名、道外出身者が1,300名となっていて、道外出身者が41名多くなっています。今、皆さんは、大学受験という重責から解放され、これからの大学での生活に期待し、胸躍らせている方もいるでしょう。生まれた地域も、育った環境も異なっている多くの同期生が、この北海道大学で学び、課外活動やボランティア活動を通じ、切磋琢磨することになります。生涯の友となるような友人をたくさん作って下さい。
さて、ここで北海道大学の概要を簡単に述べたいと思います。本学は1876年、日本で最初に学士の学位を出した札幌農学校に始まり、東北帝国大学農科大学、北海道帝国大学、北海道大学と変わり、2004年4月、現在の国立大学法人北海道大学となり、創立以来134年の歴史を積み重ねてまいりました。また、大学の規模も12学部、17の研究科・学院等を有する我が国の基幹総合大学に成長してまいりました。この間、多くの優れた研究成果を生み出すとともに、社会に貢献する有為な人材を輩出してまいりました。5年前に、本学が法人化されるに際し、本学の教育研究理念として「フロンティア精神」、「国際性の涵養」、「全人教育」それに「実学の重視」の4つを掲げました。これは創立時の教頭であったウィリアム・S・クラーク博士以来およそ130年の本学の歴史の中で醸成されてきた、本学の教育研究の基本姿勢をもとに決定したものであります。本学は、これら4つの理念のもと、教育研究をとおして、皆さんを、我が国のみならず、これからの世界を勇気を持って先導していくような、国際性豊かで、人格に優れ、「高邁なる大志」を持った人材に育てることを意図しているところです。
御存知のように、21世紀は知識基盤社会と言われていますし、特に資源も乏しく面積も狭い我が国にとって、現在の豊かさを持続するためには、科学技術と文化を、さらに発展させることが極めて重要であります。また、グローバリーゼーションの波と情報化はさらに加速するものと考えられます。そのような中で、高等教育については、北米を中心とする教育圏とともに、この10年間でEU諸国を中心にヨーロッパが一つの大きな教育圏を構築しつつあります。そこで、日本、中国、それに韓国を中心とする東アジア教育圏の構築が急務となっています。国内だけでなく、東アジアあるいは世界の大学間での競争がますます激しくなっていくことが予想されています。北海道大学も我が国のみならず、東アジアのリーディング・ユニバーシティを目指して努力していく所存であります。それが国際的評価を高めることになります。そのためには、本学を卒業する人材が世界の有力大学を卒業する学生諸君の能力と同等あるいはそれ以上であることを示す「質の保証」が必要であります。そのため本学にとっては、国際標準の教育システムの構築と個々の講義内容の質とレベルの向上が重要であります。学生諸君にとっては、講義内容の理解をより確実にすることと同時に、その内容に関連した幅広い知識を自らが獲得していく努力が必要です。いわゆる「自学自習」の習慣を身に付けてください。ただ卒業のみを目的とするのではなく、皆さん自身が付加価値をつける努力が必要です。さらに、国際化の進展に伴い卒業後は外国語、特に英語によるコミュニケーション能力が必要となります。本学卒業生に対するアンケート調査結果でも、多くの本学卒業生が、学生時代にもっと英語の実務能力をつけておくべきであったと反省しています。国際化の進展により、ますます、英語によるコミュニケーション能力の向上が必要で、その実現のためには皆さん自身の努力が必要です。語学習得に王道はありません。
本学には、現在81ケ国、1,000名を超える留学生が学んでいます。折をみて、留学生諸君と交流し、異文化の理解と外国語能力の向上に努力することも良いと思います。本学では、今年度から学生の海外の協定大学への留学を積極的に支援することに決めました。そのためには、あるレベル以上の外国語能力が必要です。皆さんも是非挑戦し、世界へ向けてはばたいて欲しいものです。
もう一つお願いがあります。
現在、全人類的課題として地球温暖化の問題があります。人類の化石燃料依存型の経済発展が原因とされていますが、これにより化石燃料そのものの枯渇、温暖化に伴う、気象変動による水や食料の不足など、人類が持続的に生存できるかどうかが大きな課題となっています。国連に設置された「環境と開発に関する世界委員会」が1987年に出した報告書の中で、「将来世代のニーズを損なうことなく、現在の世代のニーズを満たす開発」という「持続可能な開発Sustainability development」の概念を提唱しました。本学では、2005年に、「持続可能な開発」国際戦略本部を設置し、Sustainabilityに関して、海外の大学等との教育研究のネットワーク形成、人材育成を通じた国際協力、国際シンポジウムの開催等を実施し、低炭素社会に向けた努力を積極的に行っています。2008年には「サステイナビリティ学教育研究センター」を開設し、持続可能な開発に向けての分野横断的な教育プログラムの開発と大学院共通講義を実施しています。また、皆さんが入学後、最初の学びであります全学教育の科目の中にも数多くの環境やSustainabilityに関連する科目があります。さらに、本学には、研究林6ケ所、臨海・臨湖実験所等6ケ所、牧場等のほか、水産科学研究院が2隻の船を有していて、フィールド環境科学の研究体制も全国一整っていますし、フィールド体験型の科目もあります。大学としても積極的に人類の持続可能な開発に寄与しているところであります。しかし、この人類共通の課題を解決するためには、皆さん方一人一人の努力、企業や大学といった組織体としての努力と国や自治体の政策にそった活動が一体となって、初めて可能になります。さらには世界の国々が協力してこそ解決が可能となります。皆さんは、その大きな課題の解決に向けて一生かけて努力して下さい。大学も全力を挙げて低炭素社会の実現に向けて持続的に努力します。
本日、入学した皆さんは、最初に述べましたように、大学入学後にいろいろやりたいことがあると思います。私が皆さんにお願いしたことの他に、他の学部の学生や、先輩・後輩との交流を深めることもできる課外活動も、学生にとっては非常に重要です。皆さん自身がやりたいこと、学生としてやらねばならないことは数多くあります。これは、皆さん自身が時間をいかにうまく配分するかにかかっています。充実した学生生活が送れることを願っています。
本学は、創立以来、大学あげて人材の育成に取り組んでまいりましたし、有為な人材を社会に送り出してまいりました。皆さんが充実した学生生活を送れるよう、教育研究環境の整備、学生支援活動のさらなる充実、加えて大学キャンパスの環境整備に向けて力を入れていく所存であります。
この伝統ある北海道大学に入学された皆さんが、4年後あるいは6年後に卒業される時、多くのかけがえのない友人に恵まれ、社会で必要とされる幅広い教養と専門的知識と加えて豊かな発想力を持って、未来に挑戦し、活躍されることを祈念申し上げて、入学式の告辞を結びます。
平成21年4月8日
北海道大学総長 佐 伯 浩
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