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北海道大学総長の佐伯浩でございます。
本日、新たに本学に入学されました約2,600名の学生諸君を、北海道大学の教職員を代表して、心より歓迎申し上げますとともに、今日まで物心両面から受験生を支え、本日の入学式に御出席しておられる御家族並びに関係者の皆様方に心よりお慶び申し上げます。
本日入学した学生諸君は、今まで、御家族の励ましや、高等学校の先生方の指導のもとで、受験勉強に励み、本日の入学に至ったわけであり、大学入学という目標に向かって一心に努力した結果であります。
大学に入学した本日から、学生諸君は将来に対して、ばく然とした目標を持っているか、あるいは目標を見失うことになるかもしれません。しかしながら、学生諸君は、4年後、ある人は6年後に卒業し、ある人は大学院に進学し、ある人は職を得て社会に出ることになります。
変化の激しい、またグローバル化が進行する社会で生き抜くためには、これからの学生生活をいかに過ごすかが極めて重要であります。学生諸君自らが自分の将来の目標を定め、自己啓発しながら、また自学自習をとおして、各自が自らの夢の実現に向かって努力せねばなりません。
ある人は、家族から離れ、下宿や寮で孤独に耐えながら学生生活を送る人もいるでしょう。またある人は、時間をうまく配分してクラブ活動と勉学の両面で頑張る人もいるでしょう。またある人は、かけがえのない多くの友人に恵まれる人もいるでしょう。
学生諸君は、悩み、楽しみ、ある時は孤独に耐えながらの生活を続けることになります。生きる目標、将来の目標、目標を実現するためのプロセスは自らの責任で決めることになります。
このような学生諸君の生活を支えるために、本学は教育環境の充実のため、図書館は夜10時まで利用できるようにしたり、自習室を設けたりしていますし、博物館などの充実もはかっています。
また、一般教育演習に代表されるよう少人数教育にも力を入れていますし、研究林や牧場、臨海実験所や水産学部の練習船を活用したフィールド体験型の科目も導入しています。また、課外活動についてもクラーク会館やサークル会館等の学生のための施設の充実とともに、体育施設やトレーニングセンター等の充実もはかっていますし、山小屋や、研修センター等も設置しています。また、就職情報提供や、就職指導のためにキャリアセンターも設置し、活発な活動を行っていて、学生諸君が学生生活を充分満足できるように心がけているところです。
しかし、入学した学生諸君は18歳から19歳の年齢でありますし、多感な年頃でもあります。時には悩み、それがメンタルヘルスの面から問題となるような情況にならぬとも限りません。
私から次のことを皆様方にお願いしたいと思います。
一つめは、お子様の日常の生活に充分注意を払って頂きたいということです。小さな変化も見逃さないで欲しいものです。
本学では、同一の講義を連続3回欠席すると、科目担当者から事務を通してクラス担任に連絡が行き、クラス担任が学生とコンタクトすることになっていますが、手遅れになっては困ります。
一方、皆様方で何か異常をお感じになったら、クラス担任と連絡をとって頂きたいものです。クラス担任の名前、電話等はすでに学生諸君は知っていますので、今日のうちに確認しておいて頂きたいものです。
その他に、学生相談室にもカウンセラーがいます。そこと連絡をとっても構いません。保健管理センターにも精神科の医師もいます。秘密は守ります。
若者の精神面での変化は、はげしいものです。早ければ早いほど良いと思います。「心の病」は第三者にはなかなか発見が困難であります。御協力をお願い致します。
二つめは、フロンティア基金への協力のお願いです。
国立大学は平成16年4月より法人化いたしました。
本学では、国からの交付金は、全予算の約50%程度であり、毎年1%づつ削減されています。法人化後、本学では、特に「学生支援」に力を入れているところです。
優秀で努力する学生には、1年目の成績優秀者約90名(30名に1人の割合)に新渡戸賞を贈呈し、奨励金を出しています。また、女性教員を増やすため、博士課程を優秀な成績で修了した女子学生10名に「大塚賞」を贈呈しています。また、課外活動等で活躍した学生個人あるいは団体に「エルム賞」や「ペンハロー賞」を贈呈し、成績優秀な学生、努力した学生を積極的に顕彰しています。この他、大学独自の奨学金をふやすためや、留学生支援といった学生支援を強化するため「フロンティア基金」を立ち上げました。大きな企業や卒業生、教職員からすでに12億円近くの寄附をいただいていて、その一部はすでに学生支援に使われています。皆様の手元にもすでに寄附の依頼状がいっていると思いますが、御協力の程、切にお願い致します。
皆様も御存知の、本学の前身であります札幌農学校の初代教頭であった、William.S.Clark博士は、133年前の入学式において、当時の学生にLofty Ambition(崇高なる大志)を持つようにと言われ、その8ヶ月後、本学を去るに当たって、Boys Be Ambitious,(少年よ、大志を抱け)と言い、去っていったと言われています。当時は女子学生がいなかったため、"Boys"といったのでしょう。
本学の教育研究の理念の一つに「フロンティア精神」があります。これは未知の課題解決に挑戦しようと解釈されます。クラーク博士流に言うならば、Lofty Ambition すなわち崇高なる大志を持って、未知の課題解決に努力しようではないか、と解釈して良いでしょう。
我々は本学の4つの教育研究理念、「フロンティア精神」、「国際性の涵養」、「全人教育」及び「実学の重視」を通して、学生諸君を志の高い人物に育てるよう、皆様方の御協力を得ながら、努力していきたいと思っているところです。
御静聴ありがとうございました。
平成21年4月8日
北海道大学総長 佐 伯 浩
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