平成21年度 修士学位記 専門職学位学位記 博士学位記授与式 総長告辞

 本日、ここに北海道大学修士・専門職学位・博士の称号を授与された皆さんに対し心よりお祝いを申し上げます。また、この日まで長い間、皆さんの勉学と研究を支えてこられた御家族および関係者の皆様に対しましても心より敬意を表します。今回の修士の学位記授与者は1,591名で留学生が84名含まれています。専門職学位記授与者は151名で留学生が2名含まれます。そして博士学位記授与者は課程博士329名、論文博士26名、合せて355名でこの中には22ヶ国から53名の留学生が含まれています。今回、修士、専門職学位、博士課程を修了された139名の留学生の皆さんにとりましては、言葉も習慣も異にする異国の地での生活は大変であったろうと思いますが、本当によく頑張り、この日を迎えることができたことを心より嬉しく思います。

 さて、これから皆さんは博士課程へ進学される人、国あるいは地方の行政機関、企業等の研究所、さらに大学で研究を続ける人や海外の研究機関等で研究する人もいると思います。本学で培った知識と研究のスキルを活用し、さらに飛躍、発展されることを心から願っています。

 皆さんが大学院で受けてきた教育や研究指導は、社会に出てから必ず直面するであろう様々な課題に対し、その解決に挑戦しようとする意欲と、自らの力で解決の糸口を得、解決までのプロセスを見い出す能力を身に付けることを意図したものであります。

 しかし、社会で対象とする課題は、皆さんの大学院時代の研究内容と一致することはほとんどありません。真の科学や技術は想像以上に広範囲に亘り、高度で複雑であり、奥の深いものです。またそれらの理論や技術を用いて造られる製品や創作物の開発、さらには社会問題等の解決に至っては、分野の異なる研究者や技術者等の協働作業によって可能となることが多いのです。その点で、皆さん自身が大学で学んだ知識の幅をさらに広げる努力をし、更に他分野の方々と積極的に交流・議論することが大切です。また理系や医療系を学んだ人には社会科学や人文科学の知識の獲得への努力が必要ですし、社会科学や人文科学を学んだ人にとっては情報処理や統計学等理系の基礎的分野の知識も必要です。将来も研究を続ける人は、研究により得られた成果を、多面的な観点から見直し、それが何に利活用されるかについても思いをはせて下さい。そして皆さんの成果をわかり易く、一般市民の方々に向けて解説できるような心づもりを常に持って下さい。

 21世紀は知識基盤社会といわれています。これからますます国際化が進展し、世界の情報が瞬時に集まります。世界の先端研究の成果もすぐ観ることができ、また発信もできる時代です。研究者としての道を進む予定の方もいると思いますが、オリジナリティーの高い研究を進める際には、その成果を急ぐことはありません。研究に焦りは禁物です。着実に余裕を持って、一歩一歩目的に向かうことが大切です。それが最終的に大きな成果を得る原点だと思います。

 本日、各学位を授与された皆さんは、本学で得た知識と多くの経験をもとに、これからの人生を高い倫理観と高邁な大志を持って歩んでいただきたいと思います。そしてグローバル化が格段に進むであろう将来の社会・経済等の変化に対し、柔軟な思考と、常に一歩先に踏み出す勇気を持って進んでいただきたいと思います。皆さんの前途に輝かしい未来が開けていくこと、その未来を皆さん自身が切り開き、前進されることを信じて告辞の結びとします。


平成22年3月25日
北海道大学総長  佐 伯  浩