4.理系部局

○理学療法概論  医学部・教授・山中 正紀

本授業は全学教育科目が主である1年次前期に行われる唯一の専門科目である。理学療法学専攻では本授業は必修であり,医療専門職としての「理学療法士」の入り口である。従って,学生の理学療法を学ぶモチベーションを促す意味でも重要な位置を占める科目ととらえている。

1. 目的

理学療法概論は理学療法の役割,その対象,手法,職域及び法的体系や障害やリハビリテーションと理学療法の関係などについての概念的理解を図ることを目的としている。併せて,医療提供者である理学療法士になるための心構えを備えることである。

2. 内容

まず,初回にオリエンテーションとして進行予定表を配布し,理学療法を知るきっかけ,志望した理由などを含めた自己紹介を行った。2回目は各5名の4つのグループ分け,各学生の経験談を含めた理学療法のイメージを討論するグループワークを行い,各グループで討論した内容を発表し,他のグループからの質疑を行った。これは,学生の相互理解と深めることも考慮している。この時点で学生はまだ「理学療法」に関して抽象的なイメージしかなく,こちらからの具体的なコメントを加えた。その後は,抽象的イメージをより具体化するために講義だけでなく理学療法の主要な対象疾患である片麻痺・下肢切断・脊髄損傷・脳性麻痺・進行性筋ジストロフィーの理学療法に関するビデオ鑑賞や北海道大学病院リハビリテーション部へ出向き,臨床の現場を見学し,臨床の雰囲気を感じさせた。

さらに理学療法の主たる対象は身体障害者であるので身体に障害を持つことの大変さの一端を理解するために模擬大腿義足を用いた義足歩行,三角巾と膝装具を用いた片麻痺の疑似体験,車椅子操作・駆動等の障害疑似体験を組み入れた。これらは学生からも評判が良く,特に障害疑似体験では車椅子使用による目線の低さ,段差越えの困難性,大腿義足による歩行の難しさ,片手・片足動作の難しさなどを極々一部ではあるが実感し,障害を持つことの大変さを感じてくれたことと思う。その後,「障害とは・障害を持つこととは」をテーマにしたグループ討論を行い,障害者に対する心構えに多少なりとも役立っていると思われる。

成績評価については,グループ討論への参加とレポートを総合評価している。

3. アンケート結果

本授業については学生の理学療法を学ぶモチベーションを促すことが重要であると考えており,今回のアンケートで高い評点を得たことは一定の成果が得られたとものと素直に喜びたいと思う。ただ,客観的にその要因を考えると,この年が医療技術短期大学部の改組に伴う保健学科移行の初年度で学生も意気込みがあったこと,20名という少人数のクラスであること,そして医療専門職として,将来に渡って教員と深く関わることなどから評点が高かったのではないかとも思われる。

今後の工夫として毎回の講義後に「ジャーナル」の提出を考えている。これは授業を通して変化する自分自身の記録である。授業の中で経験する相互の交流,教材あるいは臨床現場の見学等により自身の中に何らかの反応が起こるはずである。その反応を手がかりに,自己の理解,信念,価値観の分析をすすめて医療人である理学療法士としての成長を深めることができるものと考えている。


top先頭へ戻る