8.自由意見

口腔診断内科学(専門科目・講義)
歯学研究科・北川 善政

シラバス
【授業の目標】 高齢社会を迎え,歯科医を訪れる患者さんは様々な全身疾患や複雑な社会的背景を持つことが多くなっている。歯科医師は,こうした患者さんの齲蝕や歯周病をはじめ様々な口腔病変に対して,全身状態や社会的背景をも十分考慮して,適切に対応する必要がある。本授業はそのための教育の重要な部分を担っている。
口腔診断学の学習,すなわち医療面接の行い方,診断の進め方,診療方針および治療計画の立て方などを通じて歯科医師として診療を行うために必要な基本的な知識,技術,態度を養成する。また,口腔内科学では,齲蝕および歯周疾患をも含め,口腔に現われる様々な病変および疾患を,全身との関連において診る能力を養う。
【到達目標】 様々な口腔病変を有する患者さんの診断および治療法について,その基本を理解するさらに,望ましい医師患者関係の構築のための基本を理解する。
すなわち,口腔診断学では,患者さんとの接し方,患者さんとの対話からの情報収集の仕方(問診),局所症状の診方(視診,触診),全身状態のとらえ方および臨床検査など,診断の進め方の基本知識,手技,態度を理解する。さらに,口腔病変に対する診断と治療にあたり,患者さんを,基礎疾患や社会的背景など様々な背景因子を持つ「人」として,全人的観点から診ることの重要性を理解する。
口腔内科学では,自然治癒力の促進,薬による治療などの内科的治療法の基本を理解するとともに,口腔病変と全身状態との関連について理解する。
以上を講義終了時の到達目標とし,以後の臨床実習および卒後研修の基盤とする。
【授業計画】 序論:口腔診断学ならびに口腔内科学について概説し,授業の目標,到達目標,講義計画,評価法などについて話す。
1. 口腔診断学
1)診断学総論:患者の診方(診断の進め方),すなわち,主訴,現病歴,既往歴,家族歴などの問診法,視診,触診などによる現症のとらえ方,鑑別診断,診療記録のまとめ方などについて述べる。 2)臨床検査法概論:画像診断法および臨床検査法について概説する。 3)診療方針および治療計画:個々の患者さんに最適な治療法とは何かについて考える。
2. 口腔内科学
1−1)炎症性疾患(総論):炎症,免疫,感染症に関する基礎的事項を復習整理する。その上で,口腔領域における感染症について概説する。 1−2)炎症性疾患(各論):歯性感染について,原因,歯槽骨炎や顎骨炎の病態,全身状態との関連などを理解し,治療法,抗菌薬等薬物の使用法などを考える。 2−1)口腔粘膜疾患(総論):正常な口腔粘膜の構造と機能,とくに代謝および栄養面から総括し,続いて,口腔粘膜病変について概説する。 2−2)口腔粘膜病変(各論):口腔粘膜には,口腔固有の病変のみならず内臓疾患や全身状態などが反映し,様々な病変が発現する。種々の口腔粘膜病変の原因および病態と治療法を述べる。 3−1)唾液腺疾患(総論):唾液腺の解剖と生理,唾液について基礎知識を整理し,さらに,唾液腺疾患を概説する。 3−2)唾液腺疾患(各論):唾液腺炎,唾石症,貯留嚢胞,唾液腺腫瘍,口腔乾燥症などの病態,診断の進め方および治療法について述べる。 4)顎関節疾患(総論):顎関節の発生と解剖,生理学を復習し,とくに顎関節症を中心に,病態,鑑別診断,治療法について概説する。 5)神経疾患:口腔顎顔面領域の知覚麻痺,神経痛,運動麻痺,痙攣について述べる。 6−1)口腔と全身(総論):口腔疾患の全身への影響,全身の疾患に関連する口腔病変,歯科治療時に考慮すべき全身状態,など口腔と全身の関連について概説する。 6−2)口腔と全身(各論):代表的な内科疾患(循環器疾患,糖尿病,肝・腎疾患など),出血性素因,HBV,HCV,HIV,その他の感染症,免疫異常,系統骨疾患,口腔に症状を伴う症候群,口腔心身症,高齢者,妊娠や月経,などを口腔との関連において理解し,さらに,基礎疾患を有する歯科患者さんにどう対処すべきかを考える。
むすび: EBM(evidence based medicine), informed consent,臨床研究について考える。
【評価の基準と方法】 定期試験,中間試験の総合点で60%以上を合格とする。これに満たない者は再試験を1回行う。なお,評価には出席率,とくに受講態度を重視する。

学生の自由意見


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