本授業は,中国事情の理解に加え,社会や経済事象に対する問題発見能力を高め,より広い視野で考える習慣を身につけることを狙いとしています。2学期の金曜1講目,全学教育の選択科目(大教室授業)という所与の条件から以下のような工夫を試みました。
1.授業の環境作り
授業の効果を上げるには,参加者のベクトルを一致させることが何よりも重要です。初回に授業の目標,やり方などを詳しく説明し,各自の履修目的にあっているか再確認を求めました。異質の目的(「楽に単位をとれればいい」等)もこの段階で排除します。
次に,漫然と授業に出ることのないよう学生にさらなる自覚を促しました。教室内の適度な緊張感が授業の質を高めます。遅刻入室は認めず,遅れた学生は45分経過時点でまとめて入室するというルールを設けました。不満や批判は覚悟のうえですが,意外にも「集中できてよい」「緊張感があってよい」といった感想が寄せられました。
2.受講票の活用
大教室での授業は双方向性を持たせることが最大の難点です。学生には毎回授業の最後10分で,わかったことや印象に残った点,疑問等をA4の受講票に記入してもらいました。
回収した受講票を見て,自分の説明が理解されていないことに驚きました。また教師と学生では拠って立つ知識や経験が異なることにも気付きました。そこで次の授業の冒頭約30分で,もう一度別の角度から説明し,学生の意見・質問に答えました。
そもそも大学で学ぶ内容は,一回聞いて全てを理解できる種類のものではありません。また自分で考えていなければ説明を聞いてもその面白さが分かりません。質問に答える形で2回に分けて講義する形式は予想以上の効果があったものと思います。
3.中間レポートとフィードバックの必要性
大教室の授業といえども,期末に行う1回の試験やレポートだけでは,学生もそれまで学習する意欲がわかないのではないでしょうか。中間地点で一度レポートを課すことにより前半の整理をし,後半の基礎固めができたように思います。
また期末レポートだけでは,学生はフィードバックを受ける機会がないのが実情です。論文指導の授業ではありませんが,提出されたレポートに共通する問題点を指摘,指導することにより,期末レポートの質は格段に向上しました。期末レポートも希望者にコメントを返しました。
4.成績評価と課題
全学教育では評価の極端な偏りを是正するよう注意喚起されていますが,より多くの学生に高い評価を与えられる授業が理想と考えます。本授業は通常75名前後が出席し,「優」評価30名です。一方,途中で放棄した学生も20名近くいますが彼らの意見はこのアンケートに反映されていません。脱落者を最小限に止め,より高い目標により多くの学生が到達できるよう,さらに試行錯誤が必要と感じています。