1.授業の目的・内容
【授業の目標】
科学優先主義の医療が失ってきたものは,同時に現代社会が軽視してきたものである。やさしさ,愛,夢,ユーモアを医療の世界に取り戻そうとしているパッチ・アダムスについて,映画や著書を通して学び,日常生活に活かす知恵について考える。
【到達目標】
2.授業実施上の取組・工夫
わが国の誇る農村医療の大家である若月俊一先生は宮沢賢治の教えを忠実に守って「農民に対しては演説をしないで演劇を見せる」を健康教室で実践した。演劇の役者は病院職員であった。本授業も,第1回の授業ではアメリカ映画「パッチ・アダムス」を観る。そして参加学生は感想文を書く。これを添削し,学生の理解のレベルがどの程度かを推察する。2回目の授業では学生を4グループに分ける。1グループ5,6名となる。誕生日によって春夏秋冬に分け,それぞれ自己紹介をしながら季節感のあるグループ名をつける作業をしてもらう。これがアイスブレーキングとなる。夏であれば「熱闘甲子園グループ」などである。次に映画で感動した場面のベストスリーをグループで協議してもらう。映画の終わりに近いシーンの裁判の場面が総合1位になることが多い。そこで学生に疑問を投げかける。「皆さんはパッチの演説に感動したようだけど,世界の歴史ではカリスマ的リーダーの巧みな演説に動かされて間違った方向に走ってしまう国民もある。たとえばヒトラーとパッチはどこが違うと考える?」「演説と演劇の違いはどこにあると思う?」このように学生の討論内容を深めさせる。
次の授業ではグループ作業でKJ法を用いる。テーマは授業のサブタイトルでもある「現代医療の失ったものは何か」。自分が出会った医師など医療従事者,家族や友人から聞いたこと,マスコミが取り上げた医療の問題点などを文殊カードに書き,グループ仲間の意見に触発されて自分の意見を発展させる作業も取り込む。共通項を島にまとめ,医療の抱える問題点や矛盾を優先順位をつけたり,因果関係を明らかにさせるような工夫をして模造紙1枚の作品に仕上げる。グループ毎に発表し,グループ間の討論,全体討論をする。
中間でも映画を観る。「折り梅」を使うことが多い。しばしば患者‐医師関係が問題となるので,認知症の人とのコミュニケーションのあり方を学生に考えさせる。中間で研究テーマを設定させ,読書やIT活用し論文をまとめる訓練も取り入れている。