1.授業の目的
医学・医療・先端技術の進歩には目覚しいものがある。骨髄移植から再生医療,クローン動物作成など技術の進歩がきちんとした社会的議論を経ることなく進歩してきている。大学人として,こうした進歩に対してどういった現状にあるのか,どういった問題点をはらんでいるのか,どのように考えたらよいのかといった点について理解を深めることを目標とする。また,議論をするという訓練をすることによって,調査をすることがどのようなことなのかを学び,さらに論理構築の方法を学ぶことを目的とする。これによって世界中の人々と堂々と議論できる人間を育てることを目指す。
2.授業の内容
1回ごとにテーマを決めておき,学生さんたちはあらかじめ賛成派と反対派に分かれてもらい,事前に調査をしてもらう。その上で賛成派と反対派の間でテーマについて議論をする。教官からは,学生の議論が始まる前にそのテーマについて世界でどのような議論が行われており,どのような点が問題となっているのか,どのように処理されているのかその現状について説明する。
3. 授業実施上の工夫
1)「脳死を死とするか否か」をはじめとしていくつかのテーマを候補テーマとして最初に学生に知らせておく。
2)その中から次回の議論テーマを学生に決めてもらう。また学生を賛成派と反対派に自動的に分けることにする。あるテーマについて賛成の学生に賛成派として意見を述べてもらうのではなく,議論を戦わせるためには調査の段階からどのような意見があるのかを賛成意見も反対意見も全て網羅して調査しておくことが必要であることを理解してもらう。
3)賛成派と反対派から代表発言者を1名決めてもらい,スライドを用いてそれぞれの意見を述べてもらう。それぞれの代表発言者の発表後には質問時間を設けておく。また質問をするたびに1回ごとに点数をつけるようにする。これによって多くの学生が討論に参加するようにする。
4)代表発言,質問の後にもう一度賛成派と反対派で2次発言をしてもらう。このことによって相手の意見を集中して聞くことが必要になり,また相手の発言から反論を論理的に構築していく訓練にもなる。しかも短時間のうちに考えをまとめるということが必要になり,論理構築訓練として非常に役に立つものと思われる。
5)議論すべきテーマは毎年変更していき,トピックスについて議論するように努力する。
6)成績評価は,討論への参加度合いを中心に判定するようにする。例えば,出席点を1回5点,代表発言1回10点,質問1回2-3点などとして累積点の上位から成績をつけることにする。