1.授業の目的・内容:
海洋生物に含まれる生体成分の科学的諸性質とその活用に関する基礎的な知識と応用力を得る。
2.授業実施上の取組・工夫:
1)動機づけ:この授業内容は,水産物の高度利用技術の開発と密接に関係している,言い換えれば,授業内容を通じて企業における技術開発の中身もかいま見ることができる。対象学年が3年後期であり,研究室への配属,就職を目前に控えていることもあり,学生が授業に学習意欲や関心を持つ上で,授業内容とこうした社会との関連をまず認識させることが一つの有効な手段となっている。このために,具体的な海洋生物成分の基礎的な研究の経緯,有効性の解明の道筋,産業への利用,こうした各段階での研究・開発の苦労話,携わった人の顔の見える資料の作成などをまず行い,授業内容の重要性についての理解を深めさせた。同時に,この分野での科学技術の早い進度も考慮し,ホットな研究開発の内容,特に国際的な研究開発の状況について,授業の中に資料やビデオの形でわかりやすく挿入した。
2)授業内容理解:本授業を理解するためには,有機化学,生物化学,分子生物学,物理化学などかなり広範囲にわたる一定の基礎知識が必要である。しかし,学生のこうした知識にはムラがある。そこで,それぞれの内容を説明する上で必要な基礎知識について,ごく簡単に説明したプリントを用意し,必要に応じて説明をしながら授業を進めた。また,この授業では,海洋成分の生体機能性について分子栄養学的観点から説明することも多く,この場合には,当然,生体内での各分子の応答,遺伝子発現などを理解する必要がある。このために,プロジェクターを用いた視覚的・動的な方法により学生の理解を助けた。その他,授業内容については要点をノート様式でプリントし,授業の前に5回分を目安にあらかじめ配布した。このプリントをもとに説明をすることで,板書する時間を短縮するとともに次回以降の授業内容についての予備知識や疑問点を学生がもてるようにした。
3)学生参加促進:昨年までは,授業中,学生に質問を促す努力をしたがなかなか質問が出なかった。そこで,今年は,学生を数人ずつグループとし,グループごとにテーマ(特定の海洋成分の化学的,生物化学的,分子栄養学的特性;研究の状況;実用化など)を決め,事前にその内容について調査をさせ,その成果についてプロジェクターを用いて発表させた。発表後,教員も加わって討論を行うことで,授業内容の意義と理解を深めた。
4)その他:学生にとって授業の内容が自分の進路の中でどのような意味を持つのかがわかれば,その取組もおのずから違ってくる。基礎科目であれ応用科目であれ,授業内容が将来自分の研究や仕事にとって重要なものであると理解してもらうことが授業を行う上で最も重要と考える。こうした動機づけをどのように持たせるかが教員にとって必須であると思う。