1.授業の目的・内容
「保健生理学特講」は医学部保健学科看護学専攻の2年前期に開講されている授業で,「病態生理学」を学ぶ科目です。生理学とは,健常者が呼吸,循環,消化・吸収などの人間が生きていく上で大事な機能を営む仕組みを解明する学問です。これらの生理機能のメカニズムのどこかに異常が起こると,何らかの症状や異常な身体所見あるいは検査異常を呈することになりますが,「病態生理学」とはこれらの異常がおこる機序を解明する学問です。
看護師などの医療職は,胸痛や腹痛などのいろいろな症状を訴えて受診してくる患者さんを対象にするわけですが,それらの症状がどのような仕組みであらわれてくるかを理解することは,患者さんの診断やケアにとても重要です。臨床の場で比較的よく遭遇する発熱,黄疸,蛋白尿・血尿,糖尿,高血圧,ショック,胸痛,腹痛,吐嗽,喀痰,呼吸困難などをテーマに取り上げ,その語のもつ意味,発症機序,原因の鑑別方法,対処法などについてわかりやすく,例を挙げながら説明しています。
2.授業実施上の取組・工夫
これまで「病態生理学」については我が国に優れた教科書はありませんでした。したがって医療技術短期大学部でこれに関連した講義を担当した頃は,それぞれのテーマについてB4版1枚のプリントに内容をまとめて配布していました。そのプリントを毎年改良し続け,数年前にそれらを「一目でわかる病態生理」という教科書にまとめました。現在はそれを使って講義をしています。なかなか表題通り一目でわかるとまではいかないかもしれませんが,なるべく病態の変化を目で見て理解できるような図で表現するようにしています。2年目で専門教育が始まったばかりですので,最初に出てくる医学用語については,一つずつていねいに説明するようにしています。病態の概念についても理解し難い部分については,できるだけ比喩を取り入れてわかりやすくお話しするように心がけています。
1回(90分)の講義はそれぞれ独立したテーマでお話ししており,その大事な部分が理解されたかどうかを,教える側と教えられる側,両者が確認するため,次回の講義の始めの5分間を使って小テストを行っています。これは出席の確認も兼ねています。70?80名分の採点はなかなか大変ですが,学生には好評のようです。
3.その他
私自身が学生であった時の経験から,講義の際にはできるだけ大きな声で,はきはきとしゃべるように心がけています。また,特に自分の専門に近い分野では,とかく些細な事象までもこと細かく話がちになります。できるだけ内容の根幹にあたる部分を全員に理解してもらえるよう努力し,枝葉の部分は余裕がある学生が取り組めるように,話にメリハリがつくように努力しています。
今回の評価では,学生の参加を促進する部分での評価が芳しくありませんでしたので,限られた時間内で難しいところもあるのですが,次年度の教育ではそこの部分の改善を試みるつもりです。