文系部局

○ドイツ語II 言語文化部・教授・筑和 正格

1.授業の目標

シラバスに記載された「ドイツ語U」の目標は,「ドイツ語圏・中欧への扉を開く鍵」であるドイツ語の基礎的能力を,「聞く・話す・読む・書く」の4技能にわたって獲得するというものである。しかし本授業は,同時に「受講者にドイツ語への親近感を生じさせる」という目標ももっている。

2.授業内容と工夫

初習外国語教育の重要な関心事は,いかにして学習者のmotivationを喚起するかというところにある。そのために,私は授業に「楽しさ」を盛り込むことを試みている。

具体的な授業法,特に最初の授業の開始時における方法は,平成15年度の「学生による授業アンケート結果」で紹介された同僚の寺田龍男氏のそれとほぼ同じである。つまり,ドイツ語を全く解さない学習者に突然ドイツ語で,しかし落ち着いて考えれば英語の類推が効くドイツ語で,話しかける。学習者は,一瞬の緊張,そして質問・伝達内容を理解した後の安堵,さらに次の質問に対する興味,という心理的プロセスを体験しつつ,ささやかな達成感を味わうようである。第1回目の授業で,学習者は,自分の名前・出身地・居住地・身分等についてドイツ語で話したり,尋ねたりできるようになる。

この,いわばice breakingの効果をどれだけ持続できるかというのが,「親近感」獲得のための鍵になるのだが,本授業では,「自己表現」を基本に据えることでそれを目指している。誰でも,基本的に,自分のことについて話すのは厭わないだろう,という措定に基づくものである。そのためには当然教科書が重要な要素となるので,自己表現の展開・発展によるドイツ語学習を目標にして同僚の2名と作成した教科書を使用している。

また,大学生の学習者には,知的な要素が加味された楽しさも不可欠であるのは自明なので,練習内容もその点に注意を払って構成している。同時に,練習の狙いや,習得が期待される事項を,学習者に前もって説明する。加えて,1年間のドイツ語学習プロセスにおける,その時々の位置を知らせることも心がけている。

以上のような授業方法をとることによって,ドイツ語学習における負担感はかなり軽減されているという印象を持っている。脱落者が少ないというのが(選択必修であるという理由はともあれ)そのことの証左の1つであろう。

3.問題点

上記の授業法は,諸刃の剣である。学習には負荷がつきものであるのに,本授業は基本的にその逆の方向をとっているからである。受講者が,授業内容に刺激を受け,自発的に教室での習得事項以上のものを追求しない限り,授業の効果はミニマムなところに留まる。「親近感」と「授業効果」は必ずしも一致しないのである。これは,まさにアンケートの設問15に関わっているが,本授業はこの課題に取り組んでいかなければならない。


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