「経営学T」は、経済学部2回生を対象に、より専門性の高い経営諸科目を履修する際の基礎となる、経営学の考え方と基本知識を習得させることを目的とした授業である。内容は、戦略論、組織論、組織行動論など、多岐にわたる。
授業を実施する際に留意した点は以下の通りである。第1に、導入科目としての位置づけから、経営学分野を広く偏りなく取り扱うと割り切って内容を絞った。経営学分野において中心的な概念、理論モデルをピックアップして、各回の授業内容を設計するように心がけた。各回の授業で丁寧に説明する概念およびモデルは3つ程度に限定した。より深い内容を学びたいと考える受講生に対しては、毎回、推薦文献を紹介するとともに、関係する専門分野の科目の説明を与えることにより対応をはかった。
第2に、授業内容を極めて簡潔に記したハンドアウトを各回のはじめに配布した。ハンドアウトの分量については、できるかぎりA4 用紙1枚程度に収めるようにした。ハンドアウトには、(1)授業で取りあげるテーマ、(2)テーマに関連する基礎的な概念およびモデル、(3)参考文献等、(4)授業の大きな流れ、(5)各種資料の5項目を掲載した。
第3に、授業の最初に前回の授業内容を簡単におさらいし、前回の授業と今回の授業との内容のつながりを必ず説明するようにした。受講生に各回の授業の間にあるつながりを意識してもらうとの意図から、「経営学I」の授業全体の中で各授業内容がどのような位置づけにあるかについても適宜言及するように努めた。
第4に、講義形式の授業を中心に、授業内容に応じてディスカッション、シミュレーションを用いた。ディスカッションを用いた授業では事前に講義した専門知識の定着を、シミュレーションによる授業では受講生の問題意識の醸成をそれぞれはかった。
駆け出しの教員であり、今回の授業も毎回試行錯誤であった。山積する課題のなかでも、とくに以下の3点については、できるかぎり早く解決したいと考えている。第1の課題は、受講生の授業参加を十分に促すことができなかったことである。授業において発言する受講生が偏るとともに、学生アンケートでの指摘通り、発言したくてもできない受講生に対する配慮が不十分になりがちであった。受講生との相互の応答を活発にする工夫の余地は大きいと感じている。
第2の課題は、受講生の理解度をチェックし、理解度に沿って柔軟に講義を進めていくことができなかったことである。受講生の理解度とは関係なく必要以上に詳細な説明をしてしまう等により、授業内容の無駄やムラ、時間の無理が生じてしまったことを反省している。
第3の課題は、授業内容を絞り込み、分かりやすさを重視しすぎてしまったため、より高度で複雑な内容を期待した受講生の要望に対して十分に応えられなかったことである。受講生の授業への要望は想像以上に多様であり、今後、創意工夫を重ねすべての受講者が満足できる授業内容を組み立てていく必要性を痛感している。