理系部局

○ 英語3 Writing(コンピュータ・ライティング) 情報基盤センター・教授・西堀 ゆり

<授業の目的>

大学生には国際コミュニケーションに必要な英語ライティング能力(リアルタイムで迅速に、意見を明示した英文を書く力)を身につけてもらいたい。教室で学んだ英語を、グローバルな場面で実際に使用して、「英語を書くのは面白い。将来役に立ちそうだ。」と実感してもらうのが目的である。「国境のない教室」、それが本授業の最大の目標である。

<授業の工夫:英語の起承転結>

この作文授業では、英語のタイピング練習から始めて、インターネットやブロードバンドでも使える英語のレベルまで、実際的なライティング活動をしながら即戦力を磨いていく。英語に自信のない理系学生がこんな事ができるのであろうか?和文英訳で正解が一つというような練習問題ではそれは無理というものである。この授業では、先ず意見のまとめ方の基本を学び、短いパラグラフを「一つ」(一事が万事:一つで良いので、基本の習得)作ることから始める。課題のタイトルは同じでも、内容は自由なので、全員が違った作文に取り組んでいる。作文は毎回「赤ペン先生」が添削するのだが、最初は、「何かがおかしい」サイン(例えば、文法の間違い、用語の誤り、何かが不足等の印)が付いて戻される。学生は何が間違っているのか、じっくり自分で考えて、レポートを修正してくる。間違いに「気づく」、それが勉学の基本である。すぐに答えを書きはしないので、あれこれヒントとコメントが赤ペンで書き込まれるので、レポートは真っ赤になってしまう。多少の間違いがあっても、(知的に)面白い内容のレポートの評価が高いのは、大学では当然である。

<授業の特色:グローバルな言語活動>

基本的な英語のパラグラフの仕組が分れば、後は、説得力のある論旨構成や効果的なプレゼンテーションを学ぶため、様々な言語活動を行っていく。最終的には、時差を克服しながら、チャットChat'n'Debateや投票機能&コメント付きの掲示板Culture Box、また、遠隔会議システムでの同時中継授業で、海外の学生達と学習コミュニティ(協調場)を形成していく。1学期間(毎週1回90分で計15回)に次のような多彩な言語活動を行っている。

英語Vの授業で行われた言語活動
1 英語のタイピング練習(学内の教育用パソコンでいつでもどこでも練習可能)
・ソフト使用のタイピング練習(レベル別)、およびタイピングで講義ノート作成
2 Eメールを英語で書く(目的を持った英語メールのやりとり)
・クラスの友人との英語メール交換⇒Eメール・フレンドの紹介パラグラフを作成
3 パラグラフの概念を学んで実際に書く(大学生活紹介)
・自己紹介、メール友達の紹介、自分の大学生活の紹介(希望と現実)
4 訂正個所の指摘について考えて、パラグラフ訂正版を作る
・間違いの箇所のみ指摘し、誤りへの「気づき」を行わせる。
5 クラス内のチャット (Chat'n'Debate)
・クラス全体チャット(画面上でリアルタイムの会話やディスカッション)
・グループ・チャット(賛否両論の2グループによる議論:自由なグループ結成可能)
6 院内学級(北大病院に入院中の中学生)や海外クラスとのチャット (Chat'n'Debate)
・リアルタイム・チャットによる教育連携(アラスカ大学、上海交通大学等)
7 コラボードで翻訳をする(日米豪の協調学習)
・院内学級(北大病院に入院中の小学生)に対する翻訳支援のための掲示板活動
8 英文ホームページ作成(オンライン・ギャラリーでの公開)
・自分のホームページを英語で作り、公開する。コンテンツは授業で作った作文。
9 北大マップの作成と公開 (北大生の視点からの大学紹介)
・グループ共同作業で英文の大学紹介マップを作成
10 バーチャル・ホームスティとホームスティ後のお礼状作成
・留学希望大学の情報検索と帰国後のお礼状作成の実習(ビジネスレターの作成)
11 異文化コミュニケーション実践 (ビデオ会議システムによる遠隔実験授業)
・国際高速回線ギガビットネットワークによる海外大学との双方向授業
 (1)日米2カ国授業(北大=スタンフォード大学、北大=アラスカ大学)
 (2)アジア圏3ヶ国授業(北大=上海交通大=韓国梨花女子大)
 (3)アジア圏4ヶ国授業(北大=上海交通大=韓国梨花女子大=タマサート大)
・異文化インフォーマントとしての役割(共通外国語と対等の文化発信)
・現代日本の若者文化の発信を行う。(実物教育、挨拶、行動パターン等)

<学生の反応>

学期末のアンケートで好評なのは、チャットや海外との遠隔授業である。教室にいながらにして異文化との実際のふれあいが大きな刺激になっているようである。しかし、最も嬉しいのは、地味な赤ペン先生(レポート修正用コメント)が必ず上位を占める点である。個々の説明や内容へのコメントがやる気を起こさせているのは確かである。「英語で書くのがおっくうではなくなった」という学生の反応が心強い。情報化時代の国際コミュニケーションを体験し、今後の学習と将来のキャリアパスに役立てて欲しいものである。

(参考文献:西堀ゆり編著、『インターネットと国際高速回線で結ぶ遠隔協調学習の教授法研究 −「国境のない教室の歩み」−』、北海道大学国際広報メディア研究科・言語文化部研究報告叢書57(2005年3月20日)

<授業の様子>

日米間の2カ国授業 日中韓の3カ国授業 日中韓タイの4カ国授業
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