1.本年度のアンケートについて

本学は,授業内容や教育方法の改善の組織的活動の一環として,平成11年度より毎年学生による「授業アンケート」を全学的に実施し,その結果を公開している。平成15年度までは冊子体の報告書(年次報告書に掲載)が刊行されていたが,平成16年度からホームページ上のみの公表となっている。

今年度の改変点と新たな取り組み

1.設問の変更による新アンケート調査

18年度後期実施分から,これまで18あった設問を16に整理した新しいアンケートが用いられた。新旧アンケートの設問を表1に示した。設問の構成はこれまでの6領域(A:シラバスとその内容,B:教師の授業法,C:学生参加,D:難易度,E:学生の満足度・達成度,F:出席・態度)から4領域(A:授業について,B:授業方法・教員の行動,C:学生の行動,D:教育効果)となり,授業状況が把握しやすくなっている。改訂版には,授業の総合的な評価の指標として「授業は全体として満足できるものであった」が新たに追加された。

表1 新旧アンケート設問

2.「全学外国語平均値」の集計方法の変更

平成11年度授業アンケートが開始されたときから,全体集計においては「全学教育」「学部専門」などのほか,「言語文化部」としての平均値を算出し,語学教育の結果を別に把握できるように配慮してきた。

平成19年4月1日に言語文化部が廃止され,全学教育の外国語教育の企画調整及び実施についての役割は,外国語教育センターが継承している。しかし,外国語教育センターは,兼務教員(メディア・コミュニケーション研究院の教員及び特任教員のうち,全学教育科目における外国語教育を担当する者)と協力教員(情報基盤センターの教員のうち,全学教育科目における外国語教員を担当する者)で構成され,センターを本籍とする教員はいない。

このため,19年度からは,教員の所属部局を問わず,科目区分が「全学教育科目(外国語科目・外国語演習)」として提出されたアンケートを対象に「全学外国語平均」を算出することとした。これにより,「全学外国語平均」は,18年度以前の「言語文化部」平均に比べ,対象となる科目が大幅に拡大した(81科目→184科目)のため,前年度の結果と単純な比較はできない。

3.部局における授業アンケート結果への対応について

授業アンケート結果が部局でどのよう活用されているのかを明らかにするため,部局長を対象に調査を実施した。部局開催のFDで,「エクセレント・ティーチャーズ」に選ばれた教員が講師となり授業方法やシラバスの工夫を紹介した事例が複数報告されたほか,学部・研究科の教育・指導の方針や分野の特徴にふさわしい活用法を検討中との回答が多数をしめた。

回答結果の概要

■本年度の調査(平成18年度後期および平成19年度前期)は担当教員1,447名中911名が実施し,実施率は62.9%であった。専任教員の実施率は63.5%,非常勤講師の実施率は少し低く59.8%であった。アンケートを実施した授業総数は1,230(平成18年度後期が596,平成19年度が636)で,担当教員の実施率は85.0%であった。実施率はこの数年 大きな変化はなく,現行の制度での可能な上限に到ったものと推測される。実施率を上げるためには,制度の改正が必要であろう。

■本年度の総合評価(設問1〜10,設問14〜16までの評定値の平均を指標とする)は,算出の設問構成が昨年度と若干異なるが,授業と教員の行動及び教育効果に関する設問に基づいており,内容的に従来と同等の指標と考えることができる。総合評価は第1回調査(平成11年度)から一貫して上昇し,ここ数年はほとんどの部局で平衡に達している。今年度の全体平均は3.78で昨年度と同じ値であった。全学教育科目と専門教育科目の平均も昨年度の値と同じであるが,全学外国語科目の平均は,集計方法の変更で対象科目数が大幅に増えたためか4.01から3.94となった。総合評価が最も高かったのは文学部専門科目(4.09)で,最も低い薬学部と工学部の専門科目(3.64)との間では0.45の差が見られる。また昨年度と比較して今年度の総合評価が向上したのは経済学部専門科目(+0.17),低下したのは教育学部(-0.18)と獣医学部(-0.15)の専門科目であった。学部間の差異には,授業評価が低くなりがちな科目への偏り,担当教員の入れ替わり,改善の努力など様々な要因が関与している。部局や科目区分ごとに,授業アンケートの回答結果を基礎資料として活用し,授業改善の手がかりが得られることが期待される。

■新しいアンケートには,授業全体に関する指標として満足度の設問が加わった。満足度の全体平均は3.81で,文学部専門科目の平均(4.24)が最も高く,演習科目(4.21),全学外国語科目(4.01),経済学部専門科目(4.01)の順となっている。最も低いのは工学部専門科目(3.63)である。文学部と法学部の専門科目,演習科目は,満足度の平均の方が総合評価の平均よりも0.1〜0.15高くなっている。

■各設問の回答肢の上位2項目(「強くそう思う」と「そう思う」)を合わせた比率も,第1回目調査から徐々に上昇している(表2を参照)。学生は非常にまじめに授業に出席しており(出席率80%以上が92%を占める),70%が「教員の熱意が伝わった」,63.3%が「授業は全体として満足できるものだった」と感じている。回答者の3分の2は,シラバスは授業の目標・内容・評価方法を明快に示し,シラバスに沿って授業が行われたと評価している。

「満足」と回答した学生の割合の高い科目(演習科目:79.4%,全学外国語科目:72.9%)については,授業方法と教員の行動に対する肯定的な回答が75%前後を占めている。「満足」と回答した学生の割合が低い科目(講義科目:61.8%,専門科目:62.5%,全学教育科目:64.9%)については,設問5(教員の説明)や設問10 (教材やAV機器の効果的な使い方)に対する肯定的な回答が60%前半にとどまっている。わかりやすく効果的な講義が実現するよう,教員のスキル向上と教育方法の改善を組織的に行うことが期待される。

授業内容が「難しい」または「極めて難しい」と感じた回答者が42.2%,「質問,発言,調査,自習などにより,この授業に積極的に参加した」が41.6%,「シラバスの到達目標を達成できた」が35.8%,「知的に刺激され,さらに深く勉強したくなった」が52.9%となっている点に注目すべきである。授業の達成感が得にくいと感じ,学習態度の消極的な学生が多数みられる。このような学生を減らすことも単位の実質化の目的であり,学生の実態をよく把握し,学習意欲を高める授業内容や難易度を工夫する必要があろう。

表2 授業タイプ別「強くそう思う」と「そう思う」を選んだ学生の比率(%)
カテゴリー 項目
番号
内    容 授業形態 科目区分 全体
講義科目 演習科目 専門科目 全学教育 全学外国語
授業について 1 目標,内容,評価方法を明快に示した 66.0 75.3 66.8 65.8 66.2 65.7
2 授業はシラバスに沿って行われた 66.0 76.2 68.6 66.4 68.1 66.8
3 レポート等の作業量は適切だった 64.8 70.3 63.6 68.3 73.4 65.2
4 「C:適切」と回答した学生の% 52.3 53.1 52.0 53.0 59.3 52.4
5 教員の説明はわかりやすかった 61.4 74.7 62.0 63.5 72.1 62.6
授業方法,教員の行動 6 教員の熱意が伝わってきた 68.2 78.2 68.8 69.7 78.8 69.1
7 教員の話し方は聞き取りやすかった 64.3 78.9 64.7 67.2 75.0 65.6
8 教員は効果的に学生参加を促した 49.7 76.9 50.2 55.4 77.8 52.0
9 教員は学生の質問・発言に適切に対応した 63.4 81.2 63.4 67.9 79.6 65.0
10 黒板,教科書・・AV機器など効果的 61.5 66.2 62.7 60.4 62.1 61.9
学生の行動 11 この授業の出席率(80%と100%の合計) 91.5 95.3 91.1 93.2 96.2 91.8
12 自分はこの授業に積極的に参加した 39.4 63.4 40.0 44.1 56.2 41.6
13 授業一回あたりの学習時間 (2時間以上) 22.4 39.3 23.4 24.8 26.8 23.9
教育効果 14 私はシラバスの到達目標を達成できた 34.0 54.2 35.5 36.4 40.8 35.8
15 知的に刺激され,深く勉強したくなった 51.5 67.9 54.4 50.2 53.8 52.9
16 授業は全体として満足できるものだった 61.8 79.4 62.5 64.9 72.9 63.3
回答者数(人) 46,102 4,400 32,687 17,777 5,235 50,502

(注)70%以上は黒字,50%以下は赤字で示した。

■授業1回あたりに費やした予習・復習の時間(設問13)は,「30分以下」が50.6%,「1時間」が25.5%,「2時間」が15.5%,「3時間」が4.6%,「4時間以上」が3.8%で,昨年度と同様の結果である(注1)。平均自習時間は1.11時間(注2)で,前期(19年度,1.14時間)の方が後期(18年度,1.07時間)より若干多い。回答者の76.1%は,授業1回あたり1時間以下しか自習をしておらず,演習科目や全学外国語科目以外は必要学修時間の充足率が50%以下である。本学の全学FD(教育ワークショップ)では平成17年度から「単位の実質化」をとりあげ,授業外学習を促進する授業設計の実習を行っている。学生に自習を促すしくみは分野や授業規模に応じて異なっている。各部局や科目担当者会議などで自習時間の実態を把握し,本学の教育資源を活用した特色ある手法の開発を期待したい。

■自由意見は,昨年度と同様,学生が何らかの面で特に優れていると判断している意見が多い授業を抽出し,その意見を紹介することにより,授業を評価する学生の視点や,高い評価を受ける授業の特性を明らかにするよう配慮した。授業名と学生のコメントからだけでは授業の内容が推測できない場合もあるので,シラバスの一部を掲載した。抽出した意見が伝えているのは,学生は教員の総合的授業実行方法(授業への熱意,教育媒体・負担の適正さ)と授業への満足感・授業における達成感を特に重視しているということである。抽出した意見の多くがこれらの点を指摘し,評価していた。

単位の実質化と授業アンケート

本学は,「単位の実質化」の実現にむけて,平成18年度入学生よりGPA制度の本格的運用と履修単位数の上限設定を導入し,平成17年度から全学FD(教育ワークショップ)で「単位の実質化」を重視した授業設計の実習を行うなど,積極的な取り組みを推進している。また,平成18年度前期実施分より,授業アンケートに授業外学修時間に関する設問を加え,「単位の実質化」にかかわるデータ収集も行っている。

平成18年度に続き平成19年度においても,授業1回あたりの授業外学習時間は「30分以下」または「1時間」と回答した学生が80%近くを占めており,単位の実質化はまだ機能しているとは言いがたい状況である。近年は「聴くだけでわかる授業」(下澤,2006)(注3)が期待される傾向があり,作業量の多い科目を高く評価する学生もいるが,好意的な態度を示さない学生も多い。実際,学修時間の充足を重視した授業方法を必修科目で実践した文学部の教員は,学修時間が増え,自主的学習や作業を促したことは好意的に評価されたが,授業アンケートの総合評価は「最下層」であったことを報告している(注4)

従来から,授業内容の難易度や課される作業量について,教員と学生の期待や認識に大きなズレがあることが広く知られている。そこで,作業量(設問3),難易度(設問4),授業外学修時間,総合評価との関係について調べてみたところ,教員にフィードバックされる現行の総合得点の算出方法には,問題があることが示唆された。具体的には,以下のとおりである。

設問3「授業で要求される作業量は適切であった」では,回答者の65.2%は「強くそう思う」または「そう思う」,すなわち「適切だった」と回答している。これらの学生の平均自習時間は1.10時間であるのに対し,「強くそう思わない」,つまり「不適切だったと強く思う」と回答した学生の平均自習時間は1.35時間であった。大多数の学生は授業外学修時間は1時間程度が「適切」と考えており,単位の実質化に相応する作業量に対しては「強く不適切」と考えていることが窺える。総合評価の計算には,自習時間は少ないが「適切」とする回答は4点または5点,自習時間は多いが「不適切」とする回答は1点または2点として加算され(注5),自習時間の長さは反映されない。

設問4「授業内容の難易度は適切であった」では,回答者の52.4%が「適切」,42.2%が「難しい」または「きわめて難しい」と回答している。「適切」は5点,「難しい」と「やさしい」は3点,「きわめて難しい」と「きわめてやさしい」は1点に換算され,総合得点が計算される。「極めて難しい」と回答した学生の自習時間の平均は1.51時間で最も多く,「適切」と回答した学生の自習時間の平均は1.03時間で最も少ない。総合評価の計算には,自習時間は最も少ないが「適切」とする回答は5点,自習時間は最も多いが「極めて不適切」とする回答は1点として加算され,自習時間の長さは反映されない。

以上のことから,「作業量」と「難易度」の回答に対する評点は,単位の実質化のめざす方向と矛盾していることが明らかになった。教員が必要学修時間の充足を重視する手法をとると授業外学習時間が長くなり,多くの学生が作業量が「適切ではない」と判断するため,総合評価は低くなりがちになると考えられる。このような現行の算定方法のもとでは,単位の実質化へのインセンティブを見出すことは難しい。授業の内容や難易度については,学生による授業評価はなじまないとする指摘もある(Centra, 1993)(注6)。これらの項目の見直しも含め,授業外学修時間を増やす努力が報われ,単位の実質化の目的にふさわしい,授業アンケートの設計と活用方法の検討が期待される。

授業アンケートの各設問について,回答選択肢ごとの自習時間の平均値を調べてみたところ(表3を参照),作業量,難易度,出席率(注7)以外の設問では「5.強くそう思う」と回答した学生の平均値が最も高くなっていることがわかった。このことは,よい授業だと評価している学生は自習時間が多い傾向,または自習時間が長い学生は授業を好意的に評価する傾向があることを意味しており,単位の実質化の効果を支持する結果といえよう。しかし,全体としてこのような回答傾向が見られても,教員(クラス)ごとに算出される総合評価は,クラス内で多数をしめる回答傾向に左右され,(比率の少ない)自習時間の多い学生の回答傾向が反映する可能性は少ないと思われる。以上のことからも,授業で求める作業量が多くなると,総合評価が低くなりがちであることが推察される。

最後に,「単位の実質化」は,教員の意識や教授法の改善に加え,学生がその意義を理解していなければ実現は困難である。学生が,単位の実質化が求める授業外学修時間を「適切」と感じるような学習環境と学生文化への転換が望まれる(注8)

表3 回答選択肢ごとの平均自習時間(実質)注1)

各欄の数値は平均値、(標準偏差),回答者数を示す。網掛け部分は設問毎の最も高い平均値を示す

設問 回答選択肢2)
内容 番号
A授業内容 授業目標,内容,評価方法が明快なシラバス Q1 1.03 1.00 1.03 1.05 1.29
(0.94) (0.82) (0.76) (0.81) (1.07)
466 1178 15498 18637 14374
シラバスに沿って行われた Q2 0.92 1.01 1.04 1.05 1.26
(0.83) (0.84) (0.77) (0.82) (1.06)
431 1190 14543 18728 15249
適切な作業量 Q3 1.35 1.16 1.08 1.05 1.16
(1.15) (0.92) (0.80) (0.81) (1.00)
1012 2921 13536 16547 16547
難易度3) Q4 0.93 0.88 1.03 1.14 1.51
(0.88) (0.70) (0.77) (0.89) (1.29)
401 2357 26327 15554 5643
難易度(変換)4)   1.48   1.1   1.03
(1.28) (0.87) (0.77
6044   17911   26327
B授業手法・
教員の行動
わかりやすい説明 Q5 0.92 0.96 1.09 1.05 1.25
(0.77) (0.77) (0.80) (0.82) (1.06)
1665 4489 12691 16565 14905
熱意が伝わった Q6 0.92 0.94 1.10 1.05 1.22
(0.78) (0.74) (0.80) (0.82) (1.03)
1541 3988 11804 15680 17303
聞き取りやすい Q7 0.92 0.94 1.10 1.06 1.22
(0.78) (0.74) (0.80) (0.82) (1.03)
1541 3988 11804 15680 17303
参加を促進 Q8 0.84 0.85 1.00 1.12 1.39
(0.75) (0.65) (0.74) (0.85) (1.13)
1634 5225 17276 13577 12610
適切な対応 Q9 0.95 0.96 1.01 1.06 1.27
(0.87) (0.77) (0.75) (0.82) (1.06)
695 1915 15003 16390 16287
適切な機器使用 Q10 0.92 0.92 1.09 1.06 1.24
(0.80) (0.71) (0.79) (0.83) (1.06)
1368 3918 13880 15860 15240
C学生の行動 出席率5) Q11 0.88 1.08 1.40 1.03 1.11
(0.85) (0.85) (0.88) (0.83) (0.91)
274 370 3464 11197 35021
積極的な授業参加 Q12 1.36 0.99 0.98 1.14 1.55
(1.21) (0.80) (0.71) (0.85) (1.21)
4307 7748 22306 10073 5825
D教育効果 履修目標の達成 Q14 0.75 0.80 0.99 1.26 1.69
(0.65) (0.61) (0.71) (0.93) (1.32)
1967 6050 24178 11461 6498
知的刺激,学習意欲向上 Q15 0.81 0.82 1.03 1.09 1.44
(0.72) (0.63) (0.74) (0.83) (1.17)
  4757 16723 15450 11195
満足度 Q16 0.92 0.88 1.05 1.04 1.30
(0.83) (0.70) (0.84) (0.81) (1.08)
1643 3361 16284 16284 15583
注1)0.5=30分以下 1=1時間 2=2時間 3=3時間 4=4時間以上として計算した
注2)1=強くそう思わない 2=そうは思わない 3=どちらともいえない 4=そう思う 5=強くそう思う
注3)1=極めてやさしい 2=やさしい 3=適切 4=難しい 5=極めて難しい
注4)1=極めてやさしい+極めて難しい 3=やさしい+難しい 5=適切
注5)1=20% 2=40% 3=60% 4=80% 5=100%

新アンケートの設問について

平成18年度後期実施分から使用されている新アンケートの設問のうち、5つの設問については、旧アンケートの設問の表現上の修正を行った。この5つの設問の回答結果を旧設問の回答結果とともに表4に示した。(新)設問2と(新)設問13については、シラバスは授業に関する教員と学生の了解事項であり、シラバスに照らして評価することが期待されていることを教員と学生の双方に強く認識してもらうことを意図し、「体系的」→「シラバス」に、「授業の履修目標」→「シラバスの到達目標」に改訂した。両設問とも平成18年度に比べて「そう思う」と「強くそう思う」の回答が減っている。回答者がシラバスをよく読んでいない、あるいはよく理解していないために、「どちらともいえない」の回答が増えた可能性が考えられる。残りの3つの設問については、旧設問の文章が長く多義的な解釈が懸念されたため、より簡潔な表現に改訂された。旧設問5と旧設問15については、改訂版では授業内容に関する記述が削除されている。今年度の回答結果の増減が設問内容に関係しているのかどうか、気になるところである。

新アンケートには設問16(授業全体としての満足度)が加わり、設問14(達成度)、設問15(知的な刺激)とともに授業の「教育効果」を把握することができるようになった。しかし、この3項目間の相関はかなり高いが、内容的にも他の領域の設問との関係についても一様ではない。今後、「単位の実質化」にふさわしい授業アンケートのあり方、活用方法を検討する中で、教育効果の設問の妥当性を検討する必要がある。

表4 新旧設問の回答結果の比較
番号 設問 「強くそう思う」+「そう
思う」の比率(注)
旧 2 授業は体系的に行われた 72.8
新 2 授業はシラバスに沿って行われた 66.8
旧 5 授業は、難解な理念、理論があっても、わかりやすかった 55.9
新 5 教員の説明はわかりやすかった 62.6
旧 7 黒板、スライド、OHP、ビデオ、教科書、プリント等の使われ方が理解の促進に効果的であった 68.8
新10 黒板、教科書、プリント、AV機器などの使われ方が効果的であった 61.9
旧13 授業の履修目標を達成できた 50.5
新14 私はシラバスの到達目標を達成した 35.8
旧15 授業により、新しい知識、考え方、技能を修得でき、さらに深く勉強したくなった 57.6
新15 授業により知的に刺激され、さらに深く勉強したくなった 52.9

注)旧設問は平成18年度実施分、新設問は平成19年度実施分の回答結果を示す。

  1. 高等教育機能開発総合センター『センターニュース』第74号、2008、pp.1-5
  2. 30分以下=0.5、1時間=1、2時間=2、3時間=3、4時間以上=4、に変換して計算した。
  3. 下澤楯夫(2006)「「単位の実質化」はほんとうか?」『センターニュース』第68号、高等教育機能開発総合センター、pp.8-9
  4. 新田孝彦(2007) 「平成18年度「人文科学の基礎」授業実践報告―「単位の実質化」と「自主学修」を促す試みについて―」『センターニュース』第72号、高等教育機能開発総合センター、pp.8-9
  5. 総合評価の指標は各設問との比較のため、13の設問の平均値を用いている。
  6. Centra, J. A. (1994) Reflective faculty evaluation: Enhancing teaching and determining faculty effectiveness. San Francisco: Jossey-Bass.
  7. 総合評価の算出の対象外の設問。
  8. 全学教育委員会では、「単位制度の実質化」の観点から、全学教育科目の一部(総合科目)について、授業の目標や授業外学修時間の実態を勘案して単位数の引き下げ(2単位→1単位)を検討している。

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