文系部局

○ ミクロ経済学I(B) 公共政策学連携研究部・准教授・肥前 洋一

1.授業の目的・内容

ミクロ経済学は近代経済学の基礎理論であり、応用分野を学ぶうえで必須の論理(ものの考え方・頭の回し方)である。そのため、経済学部では2年生の前期に4単位の科目として講義が行われている。以前は全学教育で入門のミクロ経済学の授業が行われていたが、現在はそれがなくなったため、初めて学ぶ受講者が多い。

2.授業実施上の取組・工夫

情報提供型の授業(受講者各人が自分の頭の回し方のうえに新たな情報を追加する授業)では、有益な情報を消化できる範囲でいかに多く提供できるかが重要であるから、レジュメを配布したりパワーポイントを用いたりすることが有効であろう。一方、ミクロ経済学のような思考法習得型の授業(1つの学問の頭の回し方で物事を考えられるようにトレーニングする授業)では、受講者が自ら手を動かしてノートをとりながら頭の中を整理することが必要であると私は考える。そのため、授業は板書で行っている。

ただし、いきなり理論の説明を始めても、売り手として経済活動をしたことのない受講者にはイメージがつかみにくい。そこで、授業の初回に教室で売買の実験を実施している。100人超の受講者たちが売り手と買い手に半分ずつ分かれ、5分という制限時間のもと、教室の中を歩き回って取引相手をみつけ、価格を交渉する。実験終了後、「実はミクロ経済学の理論は、いまこの教室に再現された市場でどのような価格が実現し、各人がいくらずつ儲けと効用を得るのかを予言してくれるのです」とアナウンスする。次の回では、実験結果(時間の経過とともに取引価格がどのように推移していったか、全体でいくらの儲けと効用が生まれたか)をグラフにしてスクリーンに映し出すとともに、ミクロ経済学の理論予測とどれだけ整合的だったかを比較検討する。それから、買い手である消費者の理論、売り手である企業の理論、両者が出会う場である市場の理論へと展開していく。初回の実験とその解説が、その後展開される授業全体の予告編になっている。

また、授業用のホームページには(1)シラバス、(2)実験結果、(3)中間・期末試験の過去問を掲載している。中間試験の過去問には詳細な解答例が付してあり、試験対策として過去問を解くことによって、それまでの授業内容が一通り理解できるようになっている。

3.今後の課題

授業アンケート集計表を見ると、(1)「授業内容の難易度は適切であった」、(2)「私はシラバスの到達目標を達成できた」、(3)「教員は効果的に学生の参加(発言、自主的学習、作業など)を促した」、(4)「質問、発言、調査、自習などにより、自分はこの授業に積極的に参加した」、(5)「この授業1回(90分)のための予習・復習に費やした時間は平均( )であった」の項目で点数が低い。この傾向は、大教室で行われる理論科目の授業の多くに共通しているかもしれない。今後の課題は、難易度を下げて(1)(2)を改善するのではなく、受講者の自主的学習を促すことにより( (3)(4)(5) )、理解度を高めて( (1) )到達目標を達成させる( (2) )ことであると言えよう。


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