シラバス
| 【授業の目標】 |
文科・理科を問わず、特別な生物学の予備知識が無くとも取り組めるような実験観察課題を設定し、受講者ひとりひとりが取り組むことにより、卵、精子、卵成熟(減数分裂)、受精、卵割、発生について、ウニやヒトデを材料にして実地経験に基づいた理解を獲得することにより、将来どのような分野に進んでも役立つ生命についてのリアルなセンスを身につけることを目標とする。
また、与えられた簡単な課題(あるいは自ら発案した課題)に対して自ら実験計画を立てて実験観察を実施することにより、実験計画立案上のポイントを理解し,論理的思考法を身につけると共に、その内容を各自が口頭発表し、またレポートにまとめることにより、プレゼンテーションやレポート作成のポイントを学ぶ。
さらに、近海の無人島(大黒島)や当臨海実験所付属博物館、近隣のウニ種苗センターを訪れることにより、北海道東部の自然と生息動物についての全体的な理解を深める。
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| 【到達目標】 |
- ヒトデやウニから卵巣・卵母細胞・卵・精子を取り出し、自ら扱って、卵成熟、受精、引き続く正常な発生を進行させることができ、それらのプロセスのあり様について理解を深める。
- 精子の集団の運動の様子を光学顕微鏡により観察し、ミクロな世界で営まれている微小生命体のありようについて理解できる。
- 受精の瞬間に焦点を当て、単なる一細胞であったもの同志が合体することにより、生命体個体を形づくる出発点になる瞬間のありようを目撃することを試み,受精の実像について理解できる。
- 与えられた簡単な課題あるいは自ら発案した課題に対して、自分で適切な実験計画を立てて実験観察を実施し、その結果について論理的に思考することにより、問いに対する答えを導くことができる。
- 自分が行った実験内容について適切な口頭発表ができると共に、他者からの質問にも適切な回答ができる。
- 卵や精子、受精卵、初期胚など自分が扱っているものを常に注意深く観察でき、自分にとっての疑問点を見いだすことができる。
- 自分が行った実験内容について適切な表現により論理的にレポートにまとめることができる。
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| 【授業計画】 |
授業は北海道東部の厚岸郡厚岸町にある北海道大学北方生物圏フィールド科学センター・厚岸臨海実験所を主たる場所として行う。TA(大学院M1,水産科学院)1名が参加する。
- 往路移動日: 札幌キャンパスに午前9時に集合し、公用バス(予定)で厚岸臨海実験所に移動する。移動の車中において、本演習についての解説・参加者の自己紹介など簡単なオリエンテーションを行う。実験所到着後、夕食時にオリエンテーションの続きを行い、参加者の懇親を深める。
- 厚岸臨海実験所において(大実習室):4日半
◯1日目
- 親ヒトデから神経を取り出し、神経から作成した抽出液により卵巣から放卵を起こさせる。その時卵母細胞に起こる変化(卵成熟,減数分裂)を観察する。
- ヒトデの天然の卵成熟誘起ホルモン(1−メチルアデニン)を卵巣片に加えて、卵母細胞に卵成熟(卵母細胞が減数分裂を行って卵細胞になる現象)をひき起こし、減数分裂の進行を観察する
◯2日目
- 親ウニから放卵・放精を起こさせる。精子の運動の様子を顕微鏡観察する。受精操作を行い、ウニ卵の受精の瞬間を顕微鏡下で目撃する。
- ウニ受精後の卵割、発生の進行を観察する。
◯3日目午後、4日目
- 卵成熟または受精・初期発生に関して、自ら発案した課題,あるいは提示された中から選んだ課題、に対して実験計画を立案し、自ら実施し結果を得る(ミニ研究)。
◯5日目
- 得られた結果を各自がオーバーヘッドプロジェクターを用い口頭発表し,討議する。
- 夕食を兼ねて本演習についての反省会を行う。
- 厚岸臨海実験所近海のフィールド見学(半日)および博物館見学
- 厚岸臨海実験所の近海にある無人島(大黒島)を実験所の船で訪れ、ゼニガタアザラシ生息地や天然記念物である海鳥繁殖地など周辺の自然を観察・実体験し、北海道東部沿岸地域の自然と生息動物に対する理解を深める。(3日目午前)
- 時間が許せば、実験所付属のアイカップ自然史博物館を見学し、道東地方の動物や自然に対する理解を深める。(5日目午後)
- レポート等の提出: 演習中の観察課題や考察についてのレポートを提出するとともに、ミニ研究の内容についてレポートを作成し後日提出する。
- 帰路移動日: 実験所を出発後、厚岸町内の「釧路管内水産種苗生産センター」を公用バス(予定)で訪問し、ウニを0.1ミリ長の受精卵から5ミリ長の稚ウニにまで大量に育てあげる設備と飼育のありよう,稚ウニの実物を見学する。その後、同バスで札幌キャンパスにもどり、午後6時半過ぎに解散する。
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| 【評価の基準と方法】 |
- 実験観察への取り組み方・・・注意深い観察ができ、また、自分にとっての疑問点を見いだすことができたかどうか。 評価割合10%
- 演習課題の実施と記録レポート内容・・・ウニ等を用いた卵成熟・受精・正常な発生を観察できたかどうか。放卵現象、精子集団の顕微鏡観察、受精の瞬間の観察などポイントとなる観察ができたかどうか。これらを記録として適切に記載できたかどうか。 評価割合45%
- 討論・意見発表などの積極性・グループ作業への参加態度・・・質疑応答や実験における共同作業に積極的に参加できたかどうか。 評価割合10%
- ミニ研究への取り組み、結果発表の内容と発表の仕方・・・与えられた課題あるいは自ら発案した課題に対する実験観察を適切にデザインでき実施できたかどうか、結果から目的とする答えを論理的に得られたかどうか。その内容を適切に口頭発表でき、レポートを適切に作成できたかどうか。 評価割合35%
- これらの結果により評価を行うが、「成績評価基準のガイドライン」の要請に従い、前年度の一般教育演習全体の成績分布平均値に近い割合になるよう判定を行う。
なお,2006年度の本演習の成績分布は、秀 21%、優 43%、良 14%、可 0%、不可(欠席者)21%であった。
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