基礎物理学U(講義)
理学研究院 末廣 一彦
| 【授業の目標】 | 私たちの生活している現代社会は科学技術の上に成り立っています。その科学を知ることは北大生として必要不可欠です。この授業では,科学の基礎としての物理学のうち熱力学分野と電磁気学分野を概観します。物理学の基本的知識や,その考え方の習得,それに基づいた自然にたいする洞察力を養うことが目標です。熱や電気は目に見えず捕らえにくいですが、原子・分子レベルのミクロな世界での描像も交えながら、その物理を感覚によって理解することを目標にします。そのため、デモ実験,コンピューターグラフィックスや図・写真の活用などを通じて,物理の理解することも行います。高校物理が未履修でも理解できるよう配慮する一方、高校の物理履修者は,よりいっそうの物理の理解を目指します。 |
| 【到達目標】 | 私たちが住んでいる自然の構造や仕組みがどのようになっているのか、どう理解されてきたかを調べます。この講義では、以下のような物理の理解を目標にしています。熱の物理については、まず日常生活でもなじみが深い温度と熱とはどのような概念かをしっかり理解してもらいます。そして熱の現象に成り立つ2つの法則がどのような意味を持つのか、またそれが私たちの生活とどのような関わりがあるのかを理解してもらいます。電気と磁気の物理については、4種類の基本的現象があることを学ぶことにより、電気と磁気が独立な現象ではなく、電磁気と呼ばれる一つの体系をなすことを理解してもらいます。また、物質の電気的および磁気的性質についても学びます。電磁気的現象や物質の電磁気的性質は様々な電気機器などで利用されていますので、いろいろな利用例を題材に理解を深めてもらいます。現代の生活を支えている電子回路については深く学ぶことはできませんが、基本的な回路については学習します。最後に電気と磁気が一体となって生じる電磁波(電波や光、X線など)の性質について学び、様々な電磁波がどのように利用されるかや人体への影響など教養的知識を身につけてもらいます。 |
| 【授業計画】 | 以下の項目について熱力学4〜5回,電磁気学10〜9回の講義をおこなう。
1.温度と状態: 温度とはどのような概念かをマクロの立場とミクロの立場から説明します。 2.熱力学の第1法則: 熱とは何かをマクロの立場とミクロの立場から説明します。熱がエネルギーのやりとりのひとつの形であることから、エネルギー保存則として熱力学第1法則が成り立つことを理解します。 3.熱力学第2法則: 熱は温度の高いものから低いものに伝わり、逆向きには流れないという方向性があることが熱力学第2法則にまとめられることを説明します。 4.私たちの生活と熱力学: 熱から仕事を取り出して利用する蒸気機関やエンジン、ヒートポンプというメカニズムを利用するエアコンや冷蔵庫など熱を利用する機器の解説をし、熱力学の法則がどのような制約を与えることになるかを学びます。また、熱力学の第2法則を表現するひとつの方法であるエントロピーという概念を学び、太陽が地球上の生命活動を支えている役割について理解します。 5.電荷間にはたらく力と電場: 静電気の現象を学ぶと同時に電場の考え方とその重要性について説明します。 6.導体と絶縁体: 物質の電気的性質についてマクロとミクロの立場から説明します。 7.電流と直流回路: 電流や抵抗についてミクロの立場から現象を説明し、電池を用いる基本的な直流回路についても学びます。 8.磁気: 磁石の間に働く力、電流が磁石に力を及ぼすことなど磁気的現象について説明します。ミクロの立場から物質の磁気的性質を理解することや電場と同様磁場が大切な概念になることを説明します。 9.電磁誘導: 電磁誘導の現象やその様々な利用例を説明します。全く異なる2種類の現象がひとつの法則で記述されることが相対性理論で理解できることを紹介します。 10.交流: 家庭のコンセントを使うと交流が流れます。交流の利点や交流を利用した回路、機器について説明をします。 11.電磁波: 電磁波について、その性質やいろいろな種類の電磁波の利用について説明します。 |
| 【評価の基準と方法】 | この講義では公式を覚えて問題を解けるようになることが目標ではなく、いろいろな現象や概念を理解することを目標としています。従って、試験も計算問題ではなく説明問題を中心とし、現象や概念の理解ができているかを評価します。成績評価は次の3つの項目から行います。
(1)「基本的な概念が理解できたか,またそれを具体的な問題に適用して正しく考察することができたか」を中間試験及び期末試験により評価します。 (2)レポート (3)出席も評価の対象とします。それらの評価に対する割合は,中間試験10%、期末試験50%、レポート20%、出席20%です。成績の平均評価分布は,秀15%,優30%,良40%,可及び不可15%を目安とします。 |
学生の自由意見