文系部局

○応用社会学 文学研究科准教授  樽本 英樹

1. 授業の目的・内容

グローバリゼーションという世界的な社会変動の中、社会現象が国境を超えることは当然になってきた。それに伴い、分析視点や手法も国民国家を超えたものが必要とされてきた。本講義では、脱国境・超国家的な社会現象を対象とし、1990年代以降急速に発展してきた国際社会学の基礎を学ぶことを目的とした。特に国際社会学の中核を構成する、国境を越える人の移動と、それに伴う社会問題を理解することを到達目標とした。
 具体的にあつかった事項は以下の通りである。

国際社会学の問題と基礎概念
 (1) 国際社会学とは何か 
 (2) 社会学的思考のメタ理論 
 (3) エスニシティとは
 (4) トランスナショナルな視角の射程

国際人口移動の加速化と多様化
 (1) 第二次大戦以前の国際人口移動 
 (2) 労働移民 家族合流と定住 :第二次大戦以後
 (3) 難民 非合法移民 高度技能移民 ディアスポラ:第二次大戦以後 
 (4) なぜ人は移動するのか

多文化社会への発展と反動
 (1) 社会統合とは:同化、編入、多文化主義、社会的結合、共生
 (2) エスニック階層の構造化
 (3) 国際移民と市民権
 (4) ナショナリズムとネーション

国際社会学の未来
 (1) 人種「暴動」と社会秩序
 (2) 人の流れ、格差、統合、統治

2. 授業実施上の取組・工夫

学生諸君を授業に集中させ、授業内容の理解を促進するために、いくつかの仕掛けを授業の中につくった。授業の流れに則すと以下の通り。

第1に、授業の冒頭で課題を10分ほど議論させた。その後、私が議論内容を発表させ、全体でまとめた。
第2に、私が解説を行う際、白黒のスライドをプロジェクターで映し、そのスライドとほとんど同じレジメを配った。
 ただしレジメは不完全なものであり、受講生自身が私の解説を聴き、スライドを見ないと理解できないようにした。
第3に、解説の中で、具体例として授業内容に関連するニュースや映画に言及するようにした。

最後に、授業の終わりに質問の時間を設けた。

3. 反省など

以上のような仕掛けを設けたけれども、反省すべき点がいくつかある。

第1に、授業の最後の部分でも議論すべき課題を用意したけれども、活用する時間はなかった。また、本格的な質問は3回か4回に一度ぐらいだった。
第2に、W棟のマイクの調子が非常に悪く、学生は聴きにくかったという。
第3に、学部の2、3年生を主たる対象としている関係上、国際社会学に関わる概念の話が中心になった。概念を理解することは最も重要であるけれども、その先、概念を使用して社会現象を分析するところまで行けたのは、3回ほどだけにとどまった。これもまた、時間的制約との闘いであった。


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