理系部局

○基礎生物学U 先端生命科学研究院准教授  和多 和宏

1.授業の目的・内容

本授業は、平成19年度後期に1年生医学部保健学科(及び医学科・歯学部歯学科)の1年生を対象としたものであり、必修科目であった。

授業の目的および内容は、授業シラバスに掲載しているように、細胞の構造と機能の解析を中心に共通性に関する研究を展開する分野「細胞生物学」と、地球上において放散・進化してきた生物の「多様性」の理解である。特に、本対象学科・クラスの将来の進学分野を見据え、現代生物学と医療・医歯学との接点を結ぶ授業を目指した。

2.授業実施上の取組・工夫

動機付け:十数年も前に私自身が医学部学生として入学したときのことを思い出す。入学後の全学教育に非常なる不満と失意を抱いていた。正直なところ、とてもつまらなかった(北大の出身ではありませんので。。。)。「なんでこんな授業をうけないといかんのや?」そう、いつも思っていた。今教える側に立って考えると、それは授業の動機付けが十分になされていなかったのだと思う。それを踏まえ、「何の為に?」「君たちの将来にどう関わるのか?」ということを何度も何度も話している。酵母・線虫の説明時には癌の発症の話、筋肉の説明では筋ジストロフィーの話から遺伝子診断の話へ、免疫の説明ではアレルギー・HIVの話から国際医療協力の話へ等々、自分が考え付く限り彼らが本来大学に入学してきた目的、専門学部に関わる話につなげるように意識している。事実授業のなかで学生たちは、教科書の内容から専門(医学・医療)の内容に関わることを話し出すと目が輝きだす。教科書に書かれている内容を理解できたら、それが専門の学問にどのようにつながるかということをいつも考えながら説明している。

授業内容理解:授業はパワーポイントを用いて講義している。その中にはノートに写すべき箇所には青色、赤色を用いている。アニメーションを用いることと写真をなるべく多く出すようにしている。また、授業の最後にはレポートを課している。その内容は次週の授業内容に該当する箇所で基本的かつ重要概念に触れるものを出す(予習としての役割で)。そして、図を用いて手書きさせている(これは将来、医療の現場で患者に対して自分で図を書いて説明する必要があるため)。授業ではレポートに課した内容を中心に話を進め、その後授業の後半では専門(医学・医療)の内容に関わることを紹介する。そうすると、レポートで予習、今後に学ぶ専門の内容を自分で調べるという自発的な内容理解(復習)へとつながっていくようである。それをさらに促すために、授業中には扱った内容に関わる本を毎回2〜3冊紹介している(北大の図書館にも蔵書していただいている)。

学生参加促進:授業中には、学生全体に向かって「これに当てはまる人?、そうでない人?」とか、「この考えに賛成の人?、反対の人?」というように手をあげてもらう『全体参加』(このとき、必ずどちらかに手を挙げないといけないような質問をする)のものと、「これ、どう思う?」と教室中を歩いて学生を当てていく『個別誘導』型の2つの質問形式を軸に授業を進めている。この際、面白い答えを出した学生などにはさらにツッコミを入れたりすると、いつ当てられるか分からないという雰囲気が醸し出されるようである。また、できる限り学生の名前を覚えようと努力している。授業の最後には、必ず今回の授業で理解したことと、授業の感想・改善点を書いてもらうようにしている。

3.その他

個人的なことですが、大学の教壇に立ったのは昨年が一年目でした。全く何も分からず、大先輩の理学部生物学科(生物)の松島俊也先生に大変お世話になりながら、そして多大なるお力を貸していただきながらの授業だったと思います。教える技術云々よりも、生物学というものを通して、今の大学生に何を訴えようかと考えてきました。私の人生の師匠の言葉「真剣な人のもとから本物の人材が育つ。人間教育は、どもまでも真剣さと誠実さで!」を支えにがむしゃらに行ってきた授業でした。学生たちに問う「何の為に?」という言葉をいつも授業のはじめに自分に問いつづけています。


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