都市環境計画は、工学部建築都市コースの3年生を対象とした選択科目として位置づけられています。学生が、豊かな都市環境を創造するための都市計画の理論と手法を学ぶことによって、持続可能な社会を築き上げるための都市計画の方策を考える応用力を養うことを目的に授業を構成しています。授業の内容としては、都市計画のうちとくに緑地計画、景観計画や住環境計画といった、これからの都市がめざす質の高い都市環境の形成のための理論と手法を扱っています。
英米の大学院での経験を通して、学生が教員の知識を吸収しようとする意欲と、自らの疑問や課題を持って授業に挑む姿勢を感じてきました。最初の授業でこうした話しをすることによって、学生側にも授業に挑む姿勢について考えてもらうようにしています。
授業は、パワーポイントで作成した授業用教材にしたがって都市環境計画の理論や手法について講義すると同時に、計画の社会背景については板書によってその展開の順序を追って説明しています。基本的に配布資料は最小限にとどめ、ノートをとる習慣を身につけさせています。以下、パワーポイントによる授業用教材、板書内容、ノートをとる習慣について留意している点についてそれぞれにまとめてみます。
・パワーポイントによる授業用教材
図面や写真から建築物や都市の構造を立体的に想像できる能力を養うことが、建築学科の学生には要求されています。よって講義においても、多くの図面や写真を提示することによって、見知らぬ建築や都市を構造的に理解できる力をつけることを意図して構成しています。筆者の専門である英米の都市計画の事例を多く用いることによって、他の地域または文化圏における都市構造を図面から理解するという、将来の実務に応用できる力を養うことがひとつの目的となっています。
・板書内容
パワーポイントで豊富な視覚的資料を提示しながら、都市が計画・形成された社会的、文化的、歴史的な背景について多方面から説明するときに利用するのが、板書です。説明の流れにそって板書するので、その間はノートをとることなく、関係図を書き上げた後に自分のコメントを含めてノートをとるように指示しています。説明を行う際には、より身近にその地域の都市像や形成の背景が理解できるように、関連する話題を織り交ぜながら話すようにし、複数の要因から成る複合的な都市構造を想像し理解できる能力を養うように務めています。
・ノートをとる習慣
最初の授業の際に最小限の資料しか配布しないことを伝え、いかに自分の手でノートをとることが大事であるか説明します。パワーポイントの教材も、図面などの視覚資料の提示と、要点をまとめたスライドの提示、そして板書というリズムの繰り返しを想定しながら作成することによって、学生が提示された情報に集中すべき時間と、限られた時間のなかで整理しながらノートを作成する時間、という流れがつくれるように心がけています。
講義を通して得た知識をもとに、各学生が実社会で実践されている都市計画の実例を調査しレポートにすることによって、理論の応用方法を学べるようにしています。また、プレゼンテーションを課すことによって、人にわかりやすく伝える能力を伸ばすことを目的にすると同時に、レポートとプレゼンテーションを授業の成績評価の対象にもしています。
専門知識をわかりやすく講義することを基本としながら、筆者の実務経験をもとに実務で必要な応用力をどのように養うのか、という視点も考慮して授業を構成し、学生の応用力やプレゼンテーション能力についても引き伸ばすことに努めてきました。アンケートによって「わかりやすい」という評価を得ましたが、「授業の難易度」についての満足度には課題があることがわかりました。今後もアンケート結果を参考に、授業の取り組み方について改善していきたいと考えています。