文系部局

組織の中の人間行動  経済学研究科准教授 宇田 忠司

■シラバス

【授業の目標】 我々は,企業や自治体,学校,クラブなど,様々な組織と日々関わりながら生きています。このような組織の中の人間行動に注目する学問分野が,組織行動論です。なお,組織行動論は,経営学の一分野を占めていますが,学問の性質上,心理学や社会学といった基礎学問分野とも深く関連しています。  
本演習では,まず,組織の中の人間行動という皆さんにとって身近な現象に関する課題レポートの作成や議論,解説を通じて,組織行動論の基礎的な知識や考え方の習得を目指します。  
また,興味のある身近な組織現象に関する問いを自ら立て,その問いの論理的な解明を試みるペーパーの作成を通じて,論理的思考力や表現力の向上を図ります。
【到達目標】 ・経営学(組織行動論を中心に)の基礎的な知識や考え方への理解が深まる    
・自らの意見や主張を論理的に組み立てる力や分かりやすく表現する力が高まる   
【授業計画】 本演習は,大きく以下の2つのパートで構成される予定です(※各パートの配分や進め方は,履修者数によって変化します)。     
(1)複数の報告担当者が,組織の中の人間行動に関する課題レポートを作成し,当日それらを持ち寄りグループ・ディスカッションを行った後,教員が解説・講評を加え,添削したレポートを担当者にフィードバックする     
(2)各自が,関心のあるテーマで論文の計画書を作成・報告し,それを踏まえて,学期末(8月上旬頃)までにショート・ペーパーを執筆し,提出する(※報告回数は,開講期間中,1回程度の予定です。なお,ショート・ペーパーのテーマは,広く組織の中の人間行動に関係するものであれば何でもかまいません)。   
【評価の基準と方法】 出席(40%),クラスへの貢献度(10%),各種課題への取り組み(25%),最終成果物(学期末に提出するA4で5枚程度のショート・ペーパー)(25%)により評価する予定です。     


■授業の取組,工夫等について

1.授業の目的・内容

本講義の目的は,組織行動論の基礎的な知識や考え方の習得及び論理的思考力や表現力の涵養を図ることである。具体的に,本講義は以下の2つのパートで構成され,おおよそ2:1の配分で実施された。

(1)組織行動論における基礎的な概念や理論の学習 
 4-5名の担当者が,当日のトピック(モチベーションやキャリア,リーダーシップなど)に関する課題レポートを作成・持参する。受講生全員でレポートの共有と課題に関するグループ討議を行う(30分)。各グループの代表者に討議内容の要点を簡潔に報告してもらい,教員が講評を加える(20分)。レポートや討議の内容を適宜援用しながら,ハンドアウトを用いて当日のトピックに関する基礎的な概念や理論を概説する(20分)。プロジェクターを用いてコメントを付したレポートをフィードバックする(20分)。

(2)研究計画書とショート・ペーパーの作成
 各自が,開講期間中に1度,関心のあるテーマ(広く組織の中の人間行動に関わるもの)で研究計画書(A4で1枚程度)を作成・報告する。プロジェクターを用いて教員のコメントを付した資料をフィードバックしながら質疑を行う。これを踏まえて,各自,学期末までにショート・ペーパー(A4で3-5枚)を執筆する。

2.授業実施上の取り組み・工夫

本講義を実施する上で特に留意した点は以下の通りである。

(1)導入部
 受講生は,入学したばかりの1年生であったため,スムーズに大学の講義に適応できるよう導入部を通常より厚くするとともに,内容に配慮した。具体的には,情報・文献の探索方法や論文の書き方に関する入門的な講義,受講者間の親睦を図るためのグループ・エクササイズを実施した。

(2)レポートの課題内容・分量とフィードバック
 講義で扱うトピックについて,自らの経験に基づくレポートを作成してもらった(例えば,モチベーションの場合,「これまでで自分が最もやる気になったとき」や「これまで経験した中でヒトをやる気にさせる良い仕組みや制度と思ったもの」などを課題として提示)。これは,予備知識のない学生でも具体的なレポートを作成しやすいこと,グループ討議において自らの経験に基づく意見を発言しやすいこと,現象(経験)と学習する概念や理論の結び付きについてイメージしやすいことなどを考慮したものである。また,レポートの分量はA4で1枚程度とし(開講期間中に,各自2回担当),受講生にとって過度の負担にならないよう配慮した。
 さらに,毎回,グループ討議の時間を部分的に活用して全レポートにコメントを付し,講義の最後にプロジェクターを用いてフィードバックを行った。これは,レポート作成者のモチベーションの向上や学習の促進だけでなく,優れた記述や考察を共有することで,以降の講義におけるレポートや議論の質の段階的向上を図ったものである。

(3)講義形式
 一般教育演習という科目の性質上,基本的に全員参加型の講義形式を採用した。具体的には,課題レポートの担当者を基点にグループを形成し,討議に取り組んでもらった。なお,グループのメンバーは毎回入れ替え,開講期間を通じて受講者全員と満遍なくコミュニケーションをとれるように調整した。

(4)配布資料
 毎回,「グループ討議後」にA4で1枚程度のハンドアウトを配布した。これは,当日学習する内容に縛られず,できるだけ柔軟な考察・議論を展開してもらうこと,講義中だけでなく講義後も学習内容の要点を適宜参照できることを意図したものである。なお,ハンドアウトには,関連する基礎的な概念や理論,発展的な学習を希望する学生への推薦文献等をできるだけコンパクトに記載した。

(5)論文指導
 本講義は論文指導科目でもあるため,まず,導入部で論文の型や研究課題の設定方法を中心に,論文を書く際の基本的な考え方やスキルについて概説した。その上で,教員が提示した基本的な型に則って研究計画書とショート・ペーパーの作成に取り組んでもらい,学習した内容の実践的な理解を図った。

3.今後の課題

非公式な場での学生とのコミュニケーションや授業アンケートの結果等から受講生の要望は教員の想像以上に多様であることを実感している。従って,上記の取り組みに加え,講義内容の難易度や1回当たりに学習する分量,時間管理,黒板や資料等の活用,について継続的に検討・改善していく必要性を感じている。



■学生の自由意見


top先頭へ戻る