文系部局

音楽著作権ビジネス  法学研究科特任教授 安藤 和宏

■シラバス

【授業の目標】 音楽著作権ビジネスの基本構造を理解する 
【到達目標】 最近、小室哲哉の詐欺事件に代表されるように、音楽著作権が話題に上らない日はない。    
しかしながら、音楽著作権については実務や業界ルールが重要な位置を占めるため、なかなか理解することは難しいのが実情である。本講義では、音楽業界20年の経験を生かして、受講生に音楽著作権ビジネスを疑似体験してもらうことを目標とする。楽しみながら自然に法律の知識だけではなく、音楽業界の慣習やルールを身につけられるような講義にする予定である。   
【授業計画】 音楽著作権とそれをベースに展開されている音楽ビジネスを解説する。具体的には、担当教員が実際に手がけたアーティストや事例の解説を中心に、教科書のテーマに沿って授業を進める。主要なテーマとしては、@原盤権と出版権、AJASRAC、B替え歌と人格権、C逆カバーと翻訳権、D再販制度等である。授業の進め方は、講義形式を基本とするが、適宜、討論形式を取り入れる。      
【評価の基準と方法】 平常点15%、出席点15%、試験点70%   


■授業の取組,工夫等について

1.授業の目的・内容

この授業は、音楽著作権ビジネスの基本構造を理解することを目標として、ミュージシャン志望であった授業担当者の20年にわたる実務経験をベースに、法が音楽ビジネスにおいてどのように機能しているのかを学ぶものである。卒業後、学生たちは大学ではあまり学ぶことのない業界慣習や実務慣行に直面するが、大学で学んだ法理論や法解釈がそのまま実社会で通用するとは限らない。私のような実務経験を経て大学教員になった者が期待されていることは、このような理論と実務の架橋となることと理解しているので、そこに焦点を置いて講義を行った。

2.授業実施上の取組・工夫

第一に、単調な講義ではなく、ダイナミックな講義を心がけた。具体的には、毎回、最新のオリコンチャートを使って、上位5曲がどのような権利関係になっているのかを解説したり、作曲や編曲がどのように行われるのかを解説するために、メロディーのモチーフを学生に提案してもらい、札幌のレコード会社の協力を得て、授業担当者が作曲・編曲・演奏した楽曲を聴かせたりした。さらに、教室にギターとアンプを持込み、音楽がどのように創られるのか、あるいは似たようなフレーズにはどのようなものがあるのか、実演してみせた。

第二に、多元的な講義になるように心がけた。具体的には、JASRAC北海道支部の職員をゲスト講師として招き、1時間程、JASRACの実務について講演してもらった。講師の方は、本学の卒業生ということもあり、大学時代のクラブ活動や就職の話など、学生にとっては興味深いものであったようで、とても反応のよいものであった。このような試みは次年度以降も続けたいと思っている。

第三に、臨場感溢れる講義になるように心がけた。具体的には、授業担当者の実務経験や事例を詳しく紹介し、音楽業界では法がどのように機能しているのかを分かりやすく解説した。業界の裏話が多すぎると、授業の品位が落ち、不満を持つ学生も増えてくるので、バランスがとても難しいが、講義内容に関係し、かつ学生の理解に資するものに限定するようにした。

第四に、双方向的な講義になるように心がけた。具体的には、授業中に学生に質問をしたり、意見を聞いただけではなく、毎回、出席カードに質問や意見、感想を書いてもらい、有意義な質問に対しては、出来るかぎり授業内で回答するようにした。これは学生の理解度を把握するだけではなく、授業の改善に役立つ貴重な資料となった。内気な学生はなかなか直接に授業担当者に質問することができないし、一人の質問でも全員に対して回答した方がいいものも多いので、このような対応はこれからも続けるつもりである。

3.その他

授業を欠席した学生のために、授業中に配布したレジメとパワーポイントを、翌日には学内のみからアクセスできるウェブサイトに掲載した。3・4年生は、就職活動でやむなく欠席することがあるため、このような措置は好評だったようである。

ただし、本授業には改善点も決して少なくない。授業内容が難しいと感じた学生が予想以上に多かったこと、さらに授業担当者の実務経験が一部の学生には自慢話として受け取られてしまったこと等、反省すべき点は大いにある。今後の課題としたい。



■学生の自由意見


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