理系部局

家畜栄養生理学  農学研究院教授 小林 泰男

■シラバス

【授業の目標】 動物はいかにして食べ、それを利用するかの試行錯誤のもとで長い時間をかけ進化してきた。したがって動物(種)によって消化器官の形態、構造、機能、さらにそれに伴う消化・吸収、代謝様式が異なっている。まず各種栄養素の特性について解説し、それらの利用様式を代表的な家畜で比較して講義する。吸収後の代謝調節についても述べる。さらに家畜栄養学領域の最近のトピックスを紹介する。  
【到達目標】 動物は食物を摂取することによって生命活動を持続することが出来る。成長、妊娠、泌乳、産卵、産肉などの生産活動も同様である。家畜栄養生理学の講義では、これらの活動を支える栄養素の消化、吸収および体内代謝について理解させる。まず各栄養素の特性および各種動物消化器官の特徴を講じ、それに基づいた食物栄養素の消化・吸収、その後の転換様式を理解させる。これらを通して動物の生命現象の把握と実際の動物飼育に必要な基礎的知識を修得させる。   
【授業計画】 1.栄養生理学の概念    
  家畜栄養生理学の発展、概念及び領域についてのべる。   
2.栄養素について
  必要な栄養素の特性および役割について述べる
3.家畜の消化器官の構造
  単胃動物、反芻動物及び鳥類の消化器官の構造の違いと、それと連動する消化生理の特徴について説明する。   
4.栄養素の消化・吸収
  炭水化物、タンパク質、脂肪、ビタミン及びミネラルの消化及び吸収様式について述べる。
5.生体内での代謝調節
 生体内での代謝調節を分子、細胞及び個体レベルで解説する。
6.最近のトピックス
  家畜栄養生理学でめざましい進展をとげている領域の最近の話題を紹介する。
7.家畜栄養生理学に関するキーワードにそっておこなった自主学習成果を、プレゼンテーションソフトを使って発表させる。  
【評価の基準と方法】 出席状況及び試験の成績を総合的に判断して評価する。   


■授業の取組,工夫等について

1.授業の目的・内容

動物は、何を食べ、どのように利用するかの試行錯誤の中で、長い時間をかけ進化してきました。そのため、動物(種)によって消化器の形、配置や働きが違います。また栄養素の利用の仕方も基本は同じですが、オプションのつき方に「何を食べているか」や「どこに棲んでいるか」がからんできます。この授業では、まず色々な栄養素の特性について話し、それらの消化のされ方や、吸収された後の代謝調節について、代表的な家畜で比較します。これらを通して、家畜の生産活動のしくみを理解してもらうのが授業の目的です。

加えて、動物は理にかなった精巧な栄養上の営みをしていることに「素直に感動し、より深く知りたい」という感情をもってもらえるように配慮しています。最終回で、動物の栄養生理学で最新トピックスといわれるものを紹介しているのはそのためです。

2.授業実行上の取組・工夫

初回で総論を話します。そしてここではいきなり家畜の話には踏み込みません。これがミソです。まず知っている動物をなんでもよいので、ひとりずつあげさせます(あがった動物名をすべて板書)。板書の際、栄養生理上の分類にそってグルーピングしながら板書します(この時点で学生は?です)。最後にこのグルーピングの種明かし(食性と消化器配置)をします。学生の顔色がみるみる輝いてきます。多くの野性動物の中でなぜ牛、羊、豚、鶏など少数のものが家畜化されたかについて、その栄養生理上の有利さをまとめあげます。これで15回からなるこの授業の「つかみ」は万全です。

授業はパワポで作成した教材を映写して実施しています。ただし、眠くならないように、アニメーションや動画、あるいは音声を積極的に取り入れています。要点を板書することは、要点整理ばかりか、照明をオンにすることで雰囲気もかわるので効果的かと思います。授業内容上、動物の写真を配置すること、人間の栄養生理と常に比較しながら説明し、より親近感をもたせることを心がけています。パワポの使い方はかなり凝ります。このあたりの工夫に学生は敏感で、半期授業の後半で取り入れている「学生によるプレゼン大会」では学部生の域を超えたようなスライドに毎年めぐり会えます。それらは「授業の様子」として私の研究室のホームページに毎年アップされ、旧年分はアーカイブに収納されることになります。

3.おわりに

毎回の講義の最後10分間は授業内容のまとめを書いてもらいます。質問も書いてもらい、可能な限り次回の講義で返答するようにしています。学生と教員とのキャッチボールを双方が楽しみながら、15回終わった時点で学生から高評価を得るというのは教員にとってボーナス的な楽しみです。自分の学生時代を思い返すと、授業で覚えていることは、名人といわれた先生の動物のものまねや、雑談くらいという悲惨なものです。本人の意識の低さのゆえんだと思っているので、せめて「意識を高められるような話を」と思い、毎回ステージにあがるつもりで、お客さんの反応を楽しむつもりで、教室にむかっています。



■学生の自由意見


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