理系部局

基礎化学U  触媒化学研究センター教授 朝倉 清高

■シラバス

【授業の目標】 自然界を支配する化学変化の原理を理解するとともに、化学平衡や化学反応について学ぶ。また、炭素原子を基本とする膨大な有機化合物は,生命現象や生活に必要な物質を構成している。これらの有機化合物の化学的性質を講義する
【到達目標】 自然界の変化が何によって起こるか? 平衡や化学変化の概念を学ぶ。
また炭化水素の立体構造と性質。官能基の種類と性質を理解する。簡単な化学反応を官能基の構造と性質と関係に基づいて理解する。有機化学反応性について理解する。     
【授業計画】 (1)自然界の変化と平衡、化学反応   
(2)有機電子論   
(3)含酸素化合物の化学 アルコール、ケトン、カルボン酸
(4)ハロゲン、窒素を含む化合物
(5)不飽和炭化水素の立体化学と反応性
(6)芳香族の反応性
(7)π電子系の化学 ポリアセチレン  
【評価の基準と方法】 受講状況、レポート、および試験の成績により、下記の点から総合的に評価します。
1)基礎的知識を正確に記憶、理解しているかどうか、2)講義に積極的に参加して問題意識を深めたかどうか、3)出席状況など。やむを得ず欠席する場合は届けを出してください。評価は相対評価をとっており、秀・優・良・可および不可の比率は、5%:15% : 40% : 20% : 0% 程度を目安としますが、試験で基礎問題が解答できない方は、不可にします。    


■授業の取組,工夫等について

私の講義の進め方に特別、新しいことはない。あえて言うなら、休講をしない。どうしても休むときは代講か小テストにしている。
 シラバスに書いてあるように、内容は昔からある熱化学、有機電子論、官能基化学であり、北海道大学の学生であれば、当然知っていなければならない事柄を教えている。自前の資料の準備はしているものの、オーソドックスな内容で変わった所はない。普通の一般化学と比べるとやさしいと思う。

担当してから9年目になるが、その間どんどんやさしくなっている。最初は化学2であったので、相当難しいこともしたが、とても無理があるようなのでやめた。特に、よく教科書にのっているが、数学的取扱い、物理的な概念の強いものは飛ばしている。熱力学で言えば、VdW 方程式、気体速度論、カルノーサイクル、Maxwellの方程式、微分形などは、以前は教えていたが、今は教えるのをやめた。微分方程式を高校で習ってこなかった学生さんには、とてもついてこれない。カルノーサイクルも3年前までは頑張っていたが、いまはカルノーサイクルなしで、エントロピーは状態量だと教えている。

恰好のいい言葉で言えば、生物、医学系の歯学の学生さんは、数学や物理を高校のときに選択してこなかった人が多いので、配慮をしたということになる。本来の大学生であれば、数学を使い、厳密さを学ぶことの楽しさや重要性がわかってもらわないといけないのだから、甘やかせているだけで、彼らの大多数が理解できなかったとしても、教えて試験に出すべきで、できなければ単位をあげないようにすべきという気持ちが内心あり、辛いものである。しかし、エントロピー、自由エネルギー、平衡という大学生が絶対に知っていないといけない基本的な概念には相当力を入れている。

講義の予習は、自前の資料を読み直し、少しずつその内容を変えている。 こうして作った資料を学生分コピーして、配布している。シラバスには、Homepage上に資料を載せてあると書いてあるが、どうやら、Homepageを見て資料を探す学生はほとんどいないようで、シラバスと異なるこうした処置に対して、今のところ抗議を受けていない。

最初にその日の伝えたいポイントをのべ、その後、前回の復習をしながら、生徒が完全に揃うのを待つ。最初の講義で遅刻をしないようにと言うだけで、罰則がないので、遅刻し放題である。改善すべきと思っている。

講義は、板書だけである。前期の基礎化学1では電子軌道の立体図をコンピュータで示すことはあるが、基礎化学2では、特にはコンピュータを使うことはない。字がとにかく下手であるから、板書は大きくはっきり書くようにこころがけているが、それでも板書は下手だと思う。 この点も改善をしていきたい。 ただし、パワーポイントをつかう気はない。綺麗だが、学生やその場の雰囲気に関係なく、最初から講義が決まってしまうし、講義の速度の調整も難しい。

講義終了時に宿題を一題課だしている。大変やさしいもので、すぐに解ける内容である。ただし、考える問題を含んでいるので、大作を書いてくるのが何人かいる。それ以外は、学生に対しては予習、復習を義務付けていない。来年度からは、毎回小テストをしようと計画している。
 試験は、4題講義中にやった問題と1題考えなければいけない問題を出している。 以上が基礎化学2でやっている内容である。

今回執筆させていただけたことは、大変光栄なことであるが、自分の学生時代と比べて、今の学生さんたちの取り組み方や大学の講義の提供の仕方に大きな違いを感じ、本当に今のままでよいのか疑問に感じることがある。自分たちの時代は休講が当たり前、授業は分からないのが当たり前で、教科書に載っていないその先生の専門、思想、哲学を聞かされたものだ。試験に合格するには、自分で教科書や参考文献をあさり、よく勉強しないといけなかったし、落とされるのが当たり前であった。いまは、むしろ学生さんに分かる授業が当たり前になり、学生は受け身で、自ら勉強しようという自主性が育っているとは思えない。単なる高校の延長ではない、本来の大学の講義―学問の創造と伝達―をもっと、もっと模索したい。



■学生の自由意見


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