シリーズ3・ラムサール条約と登録湿地について(1993年)

5.ウトナイ湖

 日本で4番目のラムサール条約登録湿地となったのが、北海道苫小牧市の郊外に所在するウトナイ湖です。周囲17キロ、水深0.6メートルの淡水湖で、周辺の湿地を合わせた指定面積は510ヘクタールです。ここはマガンやヒシクイ、ハクチョウなどの渡り鳥の国内有数の中継地で、日本野鳥の会は1981年、同会第一号のサンクチュアリ(野鳥の聖域)に指定しました。水深が浅いために水鳥の餌となる水草がよく繁茂し、250種以上の野鳥が確認されています。ネーチャーセンターや観察路が整備されており、自然観察会や探鳥会などが行われ、都市近郊の貴重で身近な自然として、人々の自然環境に対する関心を深めるために役だっています。

 ウトナイ湖は、いわゆる海跡湖で、約6千年前まで海だったところが、海の後退と砂丘列の発達によって海から切り離され、しだいに河川の運ぶ土砂や、恵庭岳、樽前山の火山噴出物、泥炭が堆積してできたのです。従って、湖周辺には湿原の植物が、湖の南西部の砂丘列には海岸性の植物が、火山灰の厚く堆積する丘陵地にはカシワやミズナラ・コナラの林が分布し、まったくタイプの異なる植生をこの地域で見ることができます。湿原部はかつて勇払原野と呼ばれる広大な湿地でしたが、農用地等に変換され今ではウトナイ湖とそこに流入する美々川が残るのみとなってしまいました。

 このように都市近郊に残された貴重な自然であるにもかかわらず、周辺の工業開発やゴルフ場造成などで湿原は徐々に変化しており、美々川源流部を通るとされる開発局の「千歳川放水路計画」など、保全への課題が山積みになっています。

クロミノウグイスカグラ(ハスカップ)
(Lonicera caerulea var. emphyllocalyx)