「絶滅危惧種」という言葉をお聞きになったことがありますか?これは、国際自然保護連合(IUCN)が、現在絶滅の危機に瀕している生物のデータ集を作成する際に用いた評価基準のひとつで、「個体数が極端に減少し、何らかの処置をせずに放置すれば、やがて絶滅すると推定されるもの」を意味します。たとえば、マスコミにしばしばとりあげられるトキやイリオモテヤマネコなどがそれにあたります。しかしながら絶滅の危機にさらされているのは動物ばかりではありません。植物も動物同様、多くの種が大変危険な状態にあり、しかも植物の場合は動くことができませんから事態は深刻なのです。私たちの身近にあった植物のうち、サクラソウやフジバカマ、オニバスなどは危急種(今すぐに絶滅する心配はないが、生育地や個体数が急速に減少しつつあり、放置すれば確実に絶滅の危険性が増していくと判断される種)にあたるのです。
南北に細長い日本列島は、亜熱帯、温帯、冷温帯、亜寒帯までの気候帯をもち、雨量が多く、様々な自然環境を有しています。そのため、わずか38万?2の狭い国土に約5,300種もの野生の維管束植物(シダ植物と種子植物)が生育しています。しかし近年の急速な開発行為などでその生育地の破壊が進み、1989年の調査結果によると、これらの種のうち895種が、すでに絶滅してしまったか、このまま放置すれば絶滅の恐れがあることが明らかになりました。この数は、日本の野生植物の約17%にあたり、6種に1種の割合で危険にさらされていることになります。
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サクラソウ
(Primula sieboldii)
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