最近の調査から日本の野生のシダ植物と種子植物、約5,300種のうち895種もが、すでに絶滅してしまったか、このまま放置すれば絶滅のおそれがあることが明らかにされました。この数は、日本の野生植物の約17%にあたり、6種に1種の割合で危険にさらされていることになります。ではいったい何が植物の生育を脅かしているのでしょうか。
原因は沢山考えられますが、3つの大きな原因を上げることができます。第1番目は、開発による生育地の破壊や環境の悪化です。この中には、森林の伐採、草地開発、湿地開発、ダム建設、道路工事などが含まれます。特に森林伐採と湿地の乾燥化は、野生植物を絶滅の危機にさらす大きな原因となっています。森林は植物のみならず動物や昆虫など沢山の生物が生活している共同社会です。森林の伐採はこれらの生物を直接殺りくしその生育地を奪ってしまいます。また湿地の植物は、過剰な水分条件という特殊な環境に適応しているので、開発行為にともなう湿地の乾燥化には極めて弱いのです。2番目の原因は、人間による濫獲で、野草愛好家や園芸業者などによる盗掘が主です。昔から日本人の間には、野草の栽培を通して自然にふれるという習慣がありましたが、今やそれがエスカレートしてしまい、野生植物の絶滅に危機を与える大きな原因になっているのです。珍しいものは高く売れるとなれば、たとえそれが一種の泥棒行為であっても平気になってしまうのは、異常な状態と言わざるを得ません。そして第3の原因は、人間の身勝手で今だかつて地球が経験したこともないスピードで、環境が悪化していることです。しかもこの地球環境の悪化は、私達が認識しているよりもずっと複雑で深刻な問題と考えられます。
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サギソウ
(Habenaria radiata)
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