日本の野生植物の6種に1種が、絶滅の危機にさらされていることについて前回までいろいろと述べて来ましたが、シリーズ最後は植物園がこれらの絶滅危惧種などの種の保護に対して、どの様な取り組みをしているのかを紹介しましょう。
?個体数が激減したり、減少しつつある種については、まず人工的に増殖を試みます。その場合、苗や種をどこから入手したのかをしっかり記録します。これは生育地によって、同じ種でも遺伝的形質や組成が異なるからです。さて人工増殖といってもそう簡単ではなく、野生植物の中には育成が難しい種がたくさん含まれており、育成技術の確立が植物園の重要な研究課題ともなっています。育成技術が確立されれば、山草業者による濫獲などを阻止することにもなるのです。また、一部の植物園や公的な研究機関では、人工増殖した個体を自生地にもどし復元を試みています。しかしこの場合、遺伝的多様性の確保やほかの生物への影響などを十分に考慮する必要があるので、復元事業は個人的には絶対行わず公的機関によって検討し行われなければなりません。
?さらに絶滅の危機にさらされている植物を保護するためには、その植物の性質を知らなければなりません。そこで植物園では、それらの種の繁殖特性、生活史、生理生態的特性、生育地の環境の特性と分布・生育状態との関係などを研究しています。
?また、現在、野生植物がどのような危機的状況にあるのか、調査を継続するとともに、地方の植物愛好者や研究家のデータを集積するためのネットワークづくり、日本のみならず世界の植物園や大学、研究所との情報交換をおこなっています。
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