シリーズ5・日本古来のハーブたち(1995年)

3.ハッカ

 全草にさわやかな香気をもち、古くから薬用、香料(薄荷糖、薄荷キャンデー、薄荷パイプなどの昔懐かしいお菓子)、清涼剤に利用されてきた日本産の植物といえばハッカです。ハッカ(Mentha arvensis var. piperascens)は、わが国全土および朝鮮、中国北部、樺太、満州、シベリアなどアジア東部の湿地に自生している多年草です。地下茎(ランナー)を出して繁殖することができます。葉は長さ2〜8cmで両面にまばらに毛があり、葉の表裏には多数の腺毛があってここにハッカ特有の香りのもとの精油を含んでいます。初夏、葉えき(葉の付け根)に淡紫色の小花を輪生花序につけます。全体に強い芳香がありハッカ油の原料として、18世紀のはじめには栽培の記録があり、19世紀はじめには、京都、奈良、大阪などで栽培されていました。その後、岡山、広島、山形などでも栽培され、明治になってからは北海道特に北見地方で大がかりに栽培されてきました。

 ハッカは精油約1%を含み、主成分のメントール(ハッカ脳)を70〜90%、メントーンを 10〜20%含んでいます。日本では刈り取った全草をその場で簡単な蒸留をして精油をとり、冷却して結晶したメントールを除いたものをハッカ油としています。このメントールの含量は日本種が世界最高でハッカ脳の原料としてはすぐれていますが、ハッカ油は西洋種に比べて香りが劣り、お菓子などには積極的に利用されませんでした。最近では、合成メントールの出現で、ハッカの栽培面積は極端に減少してしまいました。

 一方、セイヨウハッカ(M. piperita)いわゆるペパーミントは、ヨーロッパ原産で古くから栽培されており、お菓子などの香料としてすぐれています。形態的なハッカとの大きな違いは、花を枝の頂端に穂状花序につける点です。地中海に近い地域が原産のミドリハッカ(M. viridis)は、いわゆるスペアミントで、ペパーミントとは異なる香りがし、チューインガムやお菓子などに使われています。

ハッカ
(Mentha arvensis var. piperascens)