春の七草にもなっているセリは、かつては青い野菜が乏しい早春にはかかせないものだったのでしょう。厳しい寒さが去った早春、きれいな浅瀬や田の畦道にセリの若芽を見つけるのは容易で、この時期のセリはことのほかやわらかくよい香りがあります。昔から日本人はセリの強い香気と濃い緑色をうまく生かし、お浸し、和え物、混ぜご飯、鍋物、すき焼き、天ぷら、炒め物など多くの料理に使ってきました。
セリ(Oenanthe javanica)は、日本全土、千島、樺太、台湾、東アジアからインド・オーストラリアに分布する多年草で、渓流、湿地、水田など湿った所に好んで生育します。細長い地下茎があり、その節から新芽を出して増えます。茎は多少枝を出し、葉は複葉であらい鋸歯があります。7〜8月に白色の花を咲かせます。欧米ではセリを食べる習慣はありませんが、東洋では2000年も前からセリを賞味していました。「セリ」という和名は競り合うように育つことからきています。日本では北海道から沖縄まで野生種が広く分布していますが、栽培している所も多く、関東、関西、中国、東北などの大都市周辺に特産地があります。
早春のセリ摘みは楽しいものですが、野外ではセリとよく似たドクゼリに注意しなければなりません。ドクゼリは、根茎が緑色で太く、縦に切ると中空でタケノコのような節があるのが特徴です。
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