シリーズ6・道産作物の主役たち(1996年)

1.アスパラガス

 北海道の春をつげる野菜の代表といえばアスパラガス (Asparagus officinalis)ではないでしょうか。食用アスパラガスは南ヨーロッパからロシア南部にかけてが原産地といわれており、冷涼な気候を好むので北海道や長野、岩手、福島などで多く栽培されています。地上部は毎年秋に枯れますが根茎が土中に残り、翌年の春に若い円柱形の茎が発生しこの部分を食用にします。私たちが食べている若い茎の部分は、収穫しないでおくと、このまま直立して伸び枝分かれし、さらに葉のように見える糸状の葉状枝が各節に5〜8個束生し、高さ約1.5mにもなります。本当の葉は退化しており、茎の節に付き半透明で三角形の鱗片状になっています。

 夏に細長い花枝の先に黄緑色の釣り鐘形の小さな花が咲きます。アスパラガスがユリ科の植物であると聞くと不思議な気がしますが、この花をよく観察してみると確かにユリ科の特徴を備えており納得できると思います。秋になると球形の赤い実が着きます。ただし、アスパラガスは雌雄異株ですから、雌の株にしか実はつきません。

 一般に雌株の茎は太いのですが収穫できる量が少なく、雄株は雌株より元々茎数が多く出ることや適当な太さや大きさで収量が多いことなどから、栽培上は雄株の方が有利とされています。日本での作物としての栽培の歴史は新しく、 1923年に北海道岩内町で缶詰の原料用に栽培されたのがはじめで、その後北海道では作付面積が飛躍的に増加しました。戦前は缶詰用がほとんどでしたが、戦後は生食用の生産も増加しました。主に缶詰に利用するホワイトアスパラガスは、春先にアスパラガスに盛り土をして軟白させます。グリーンアスパラガスは、盛り土をせず緑のままの若茎を収穫します。

アスパラガス
Asparagus officinalis