シリーズ6・道産作物の主役たち(1996年)

2.ジャガイモ

 中南米原産で、世界の温帯地方で広く栽培される作物はジャガイモ (Solanum tuberosum)です。今では全国シェアの76%(258万t)が北海道で生産されていますが、日本には、慶長年間(1596〜1615年)にインドネシアのジャカルタからオランダ船で長崎に持ち込まれました。現在の品種は1869年(明治2年)に北海道開拓使が設置されてからのもので、最初は開拓使、次に札幌農学校(北海道大学の前身)、大正時代以降は北海道農業試験場などが外国からいろいろな品種を導入し、北海道の風土に適した優良品種を次々と生みだし普及していきました。また日本の代表品種である「男爵薯」は、明治40年ごろ函館ドック社長の川田龍吉男爵がアメリカ原産のアイリッシュ・コプラーを、亀田郡七飯町の自分の農場にイギリスから輸入したのがはじまりで、輸入者にちなみ男爵薯と呼ばれるようになりました。このイモは早熟で収量も多く、北海道の風土に適していたため全道に普及し、全国的にも有名になりました。

 ジャガイモはナスやトマト、トウガラシ、ピーマンなどと同じナス科の植物で、初夏に五角形の花をつけ、花の形をみるとこれらの野菜と同じ仲間であることがうなづけます。花は品種によって白から濃い紫まで多様で、畑一面にジャガイモの花の咲いた様子は初夏の北海道の代表的な景観の一つとなっています。私達が食用にしているイモの部分は、根ではなく地下茎の先端が養分を蓄え肥大して大きな塊茎となったものです。従ってイモは茎の先端なので、そこには将来茎になる部分の芽があり、ムロなどに春先まで貯蔵しておいたイモからは芽が伸びてくるわけです。ジャガイモを作付けする場合、種子をまくのではなく、イモを3〜4個の芽を付けるように切りわけて畑に植えます。このイモはタネイモと呼ばれ、農家は種苗店や農協からわざわざ買います。というのは、ジャガイモは親株にウイルスがついていると地下のイモにもかならずウイルスが伝染しており、病気をもったイモを植えると収量が落ちてしまうからです。そこでタネイモの生産は、他のジャガイモを作っている場所から離れ (近くにウイルスにかかったジャガイモが植えられていると虫の媒介でウイルスがうつされる)、さらに今まで病気や土壌にセンチュウが出たことのない場所で厳重に管理されて作られます。

ジャガイモ
Solanum tuberosum