大通り公園の「とうきび」は札幌の夏の風物詩ですが、露地の道産のものがさかんに出回るのは8月になってからで、北海道では冷夏の影響を受けやすい作物のひとつになっています。というのはトウモロコシはもともと熱帯アメリカの原産なのです。16世紀にスペイン人によってヨーロッパにもたらされ、その後熱帯アジアから中国へ渡りました。日本には1579年、ポルトガル船で長崎に持ち込まれたのが最初で、江戸時代には各地で栽培されるようになりました。その後明治になってアメリカから優良品種が入れられ、西洋型の新しい農業をめざしていた北海道では、食用のみならず飼料用も含め作られるようになりました。
トウモロコシ(Zea mays)はイネ科の植物で世界の熱帯、温帯で食用および飼料用に植えられ、品種も多くつねに新しいものが改良されています。果実を食用とする品種はフリントコーンとスイートコーンで、私たちがゆでて食べるのがスイートコーンです。また主に飼料用にするのがデントコーンで、ハゼトウモロコシというのがポップコーンです。トウモロコシの果実の粉質部のでんぷんを取り出したものがコーンスターチで、でんぷんを採るときに取り除く胚からはコーンオイルをしぼります。また朝食で食べるコーンフレイクもトウモロコシから作ります。私たちが普通「トウモロコシ」とよんでいるのは、果実の集まった雌の果序で、粒それぞれが果実なのです。雄花は1〜4mにもなる茎の先につきます。トウモロコシの赤い毛は伸びた雌しべの先(柱頭)で、子房につながっていることから、粒の数だけ本数があることになります。雄花は雌花が成熟する1〜2日前に咲くので、雄の花粉は同じ個体の雌の柱頭には着きません。つまりトウモロコシは自分以外の他の株の花粉で受精する仕組みをもっており、交雑しやすいものなのです。
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